知人に 世界はあらゆる頭脳を必要としている
というテンプル・グランディンさんの講演の動画を紹介していただきました。
テンプル・グランディンさんは、子供の頃に自閉症と診断された方です。
アメリカ合衆国の動物学者、非虐待的な家畜施設の設計者として成功を収めておられます。
動画では、テンプルさんが自分の脳の働き方について説明がなさっています。
彼女の“絵で考える”能力は、一般的な脳が見落としがちな問題の解決に役立つとおっしゃっています。
世界は、自閉症の領域にあるとされる人たち-視覚型思考者、パターン型思考者、言語型思考者や全ての風変わりな天才達-を必要としていると訴えておられます。
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テンプル・グランディンさんの話に、深く感動しました。ぜひ、動画をごらんになってくださいね。
私自身、ADD傾向があるので、思考の仕方が一般的な人とずいぶん異なるように感じています。
自閉症の方の思考法とは正反対と言えるような拡散的思考(創造的思考)に偏っている
ものの、ほとんどのものごとを「視覚で考える」ところは似ているな、とも感じています。
私のADDっぽい脳は、欠陥品みたいな面も目立ちますが、
得意なことに関しては、
他の人々が苦手なことを難なくやってのけるパフォーマンスも可能です。
脳なんて気にいらないから買い換えるわけにいかないものなので、
不便はあっても、その良い面を200パーセント引き出してうまくつきあっていこうと考えています。
今日は発達に気がかりな点のある小学2年生と1年生の★くん、●くん、◎くんのグループレッスンでした。
この3人、それぞれが異なる困り感を抱えています。
★くんは素直で聞き分けがよく、まじめで頑張り屋。責任感も強いし、根気もあります。
しかし言葉の理解に間違いが多かったり、想像力や推理力が弱かったり、
お友だちとのコミュニケーションで微妙な空気が読みずらかったりします。
そのためやる気はあっても、どのように取り組めばいいのかわからなかったり、
親切で優しい性格なのに、お友だちから責められたり、無視されたりすることが
たびたびあります。
見ていると、人の心に関することでは、★くんは失敗したからといって、
適度な接し方に気付くことはとても難しいようです。
心の理論の理解にかなり危ういところが多い子なのです。
対人関係で問題にぶつかった場合、話を聞いてみると、
たいてい間違った解釈をしています。
今回のレッスンではこんなことがありました。
●くんが、8個入りのフエラムネを持ってきてくれました。「みんなに分けてあげる」と言うので、
おやつタイムをとって食べることにしました。
●くんが、★くんと◎くんにラムネを1個ずつ渡して、自分も一個食べていると、
★くんがいきなり厳しい声で●くんに
「まだ余ってるし!1個ずつじゃないでしょう!」と注意して、
残りのラムネに手を伸ばしました。
★くんにすると、8個あるならば当然2個ずつ配るべきで、残りも対等に分けるべきと考えたようです。
「●くんったら間違っている!」と思ったようなのです。
でも●くんにすれば自分の持ってきたお菓子なので、★くんに配る量でとやかく言われる筋合いはないと
思ったのです。
それに残りを自分のものにしようとしていたのでなく、
ちゃんと分けてあげようとも思っていたのです。
でも「もらう側」の★くんに
先生口調で叱られたのは納得できない様子でした。
★くんは、ただ「正しいかどうか」だけに注目していたのです。
悪気はありませんでした。
でも、自分の態度がどうして●くんを不服そうな表情にしたのか、
どのようにすればよかったのかは、
私に説明されるまでわかりませんでした。
また、こんなこともありました。★くんは最近、けん玉に凝っています。
何度も根気よく練習して、とても上手にできるようになりました。
この「何でも一生懸命、練習する」ところは
★くんのすばらしいところなのです。
教室にもけん玉を持ってきて、「みんなこれで遊ぼう」と誘います。
でも、●くんも◎くんもけん玉がしたくありません。
★くんは、「みんながいじわるをしている」と感じて、私に訴えてきました。
それで、私が●くんと◎くんに「★くんがけん玉をして遊ぼうって言ってるわよ」と告げました。
すると、●くんと◎くんはふたりで線路や駅を作りながら、「いやだよ。そんなのしたくないよ」と言いました。
そこで私が、「だったら、★くんがけん玉をして、●くんと◎くんはそれを見る遊びをしましょうよ」と
冗談ぽく誘いました。
すると、●くんがひっくり返って両足を広げて上にあげて、「どひゃーん」と言いました。
「なあに?そのどひゃーんって?」とたずねると、
「どうしてそんなことしなくちゃいけないの?びっくりひゃっくりどひゃーんって意味だよ」と言いました。
「ああ、それ面白いわね。★くんもできる?」とたずねると、
★くんも◎くんも、ひっくり返って足を広げて上にあげて、「どひゃーん」とやってゲラゲラ笑いました。
「じゃあ、いいわ。3回だけ、★くんがけん玉をするのをみんなで見てちょうだい。それから別の遊びをしましょう」と言うと、
どひゃーんで意気投合したらしく、●くんと◎くんは★くんのけん玉技を見るのに付き合いました。
★くんはこんな風に他の子の気持ちを察することが苦手です。
ただ素直でまじめなので、正確に対処法を教えてもらうと、
次からは上手に対応できるようになるという
柔軟で器用な一面があります。
これまで溢れるような愛情を注がれて育ってきている
からでもあります。
他人の心を推し量る力は弱くても、
他人への信頼感がしっかり育っているのです。
前回のレッスンで、★くんは、ちょっとやんちゃな●くんが
自分勝手をするので泣いてしまいました。
それで、今回、私はかなりそのことを気にかけていたのですが、そんな心配を吹き飛ばすように
★くんは、前回までよりも
笑顔が増え、ちょっと強くたくましくなって、●くんといっしょにそれは楽しそうにふざけていました。
★くんは、場の空気に合わせて笑ったり、同調したりするのがとても苦手だったのですが、
自己肯定感が強いおかげか、
こだわりが減って、人と打ち解けて遊んだり、活動したりするのが
上手になってきました。
★くんは、視覚で考える子です。言葉を使って考えを追っていくことは苦手ですが、
視覚のイメージで物事を考えていくなら
大人顔負けの発想と思考力を発揮します。
ブロックで動きのある複雑なおもちゃを作ったり、
工作では科学的な仕組みを取り入れた高度な作品を作り上げたりするのです。
そうした★くんの長所を伸ばし、困り感を減らすために、
どんな支援が必要なのか親御さんと相談しながら働きかけています。
学習の面では、授業でいきなり学ぶのでなく、
動作や操作をともなった学び方ならきちんと理解できるので、
適切な先取り学習をするように努めています。
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