虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

他の子が遊んでいる物をすぐに奪い取る癖がついてしまった子に。

2015-04-25 08:43:25 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

他の子が遊んでいる物をすぐに奪い取る癖がついてしまった子への

しつけに困ることがありますよね。

そんな時に教室でしている工夫をいくつか紹介します。

 

① 既存のゲームのルールに、

「相手の子持っているものと自分の持っているものを交換してもらえないか相談する」

というルールを加えて交渉する場面をたくさん体験させています。

 

おもちゃのやりとりを始終大人が見守るのは難しいです。

ゲームのように大人の監視下で遊んでいる場面で

何度も交渉する練習ができるようなルールをたくさん加えると、

すぐに相手の物に手を出さずに言葉で交渉することや

「イヤだよ」と言われたら断念することや、

状況や相手の気持ちを考えることなどを繰り返し学ばせることができます。

機械的に交換させるのではなく、

「それちょうだいって言われても、大事だからダメだよ。今はあげられないよって

時があるんだね」とか、

「それなら、いらなくなったら後でちょうだいねって言えばいいね」といった

アドバイスをしながら付き合います。

 

上の写真では、カードを引いて、連結させることができるカードを集めて、

電車を完成させるゲームをしています。

相手の子が自分のほしいカードを手にした時に交換を持ちかけて交渉しながら

遊んでいます。

 

トランプでもかるたでも

途中でこうした交渉して交換するルールを加えると

相手にものを頼むのが上手になってきます。

最初のうちは、交換場というスペースを作って大人が交渉相手になるといいかも

しれません。

その際「これは大事だから交換したくない」といった返事もするようにします。

 

 

②ごっこ遊びで

人形に向かって何かを借りるシーンや交換を申し出るシーンや

頼んだのに断られるシーンなどを作って遊ぶ。

その際、断られる場面にユーモアを加えて、

そうした事態に柔軟に対応できるようにしていきます。

 

③人形やイラストを使って

相手の子の持ち物がすごくほしくなったシーンを作って、

「こんな時にどう言えばいいかな?」とか

「こんな時にどうすればいいかな?」といったクイズを出します。

「ほしいけれど、相手の子もほしいはずだから

こんな時はがまんしなくてはならない」という状況で

自分自身をなだめる言葉や「それに似たものではダメか考えてみる」

「ブロックなどで作ってみる」「誰か相談できる人に言う」

「その場からいったん離れる」などさまざまなバリエーションの気持ちの切り替え方を

教えるようにします。

 

④友達間でトラブルが起きる度に

他の子らにも考えて意見を言わせて、こんな時にどうすればいいのか考えさせます。


⑤ゆっくりじっくり子どもの言葉に耳を傾けます。

子どもの思いや気持ちをたくさん表現させます。


「そうなんだね。それはつらいね。だんだんお兄ちゃんやお姉ちゃんになっていくん

だからね。しまいにお父さんやお母さんになって、おじいちゃんやおばあちゃんにも

なるしね。ずっと赤ちゃんのままだったり、毎年毎年、2歳のお誕生日ばっかりして、

ろうそくを2本だけケーキに乗せてお祝いするんだったら、いろいろがまんしなくても

いいのにね。大きくなっていくと、いっぱいがんばらないといけないし、

何かほしい時も、ちょうだいって奪い取るんじゃなくて……

えっと、どうするんだっけ?

お兄ちゃんやお姉ちゃんになると、どうするか知っている?」などと問いかけています。


それでもいったんついた癖を修正するのは難しいけれど、

家族ではなく第三者や友だちと過ごしている場で、

そうした働きかけをしていると、次第に場に適した行動を取れるようになっていきます。

 


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