虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

相談  <発達の凹凸が気になる子。 専門家からは、個性の範囲と言われました。> 2

2013-03-20 06:11:30 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

-------------------------------------------------------------------

・粗大運動が不器用。粗大の協調運動が不器用。手先はハサミや運筆をみると普通。
・ユニークな遊び方をしたり、懲り性なので、群れて遊ばない。二、三人なら一緒にあそぶが、集団だとひとりになりがち。
・やりもらい文をいまだにたまに間違えたり、くれた、をあげた!といったり。手振りの真似がたまに逆になる。手の向きなど。バイバイは普通。
・こわがり気味、ちょっとしたことをきにしたりする。敏感。しかし過度ではない。
・会話の反応がにぶいときがある。友達とはりきって会話するときはあまり気にならないが、基本、ぽんぽんとかえってこない。
・絵本を読んだり、しりとりをしたり、文字や数字やアルファベットは、三歳ですぐおぼえた。

-----------------------------------------------------------------------

というご相談について、

「まだ4歳半ですから、

周囲の子に比べてゆっくりな部分とか、遊び方や行動の仕方の偏りなどがあっても

極端なものでない限り、おそらく自然に気にならないものになっていくだろう」ということを念頭に置いた上で、

先の相談内容ついて感じたことをもう少し細かく書かせてくださいね。

 

「絵本を読んだり、しりとりをしたり、文字や数字やアルファベットは、三歳ですぐおぼえた。」という一方で、

「やりもらい文をいまだにまちがえたり、会話の反応が鈍かったり、集団の空気を読んで動くのが苦手そうだったりする」

という部分からは、

何らかの情報処理能力の偏りのようなものも感じます。

成長するにつれて、勉強には苦手がなくても、

暗黙の了解といったものがわかり辛かったり、

周囲の変化に柔軟に対応していくことが難しかったり

するのかもしれません。

 

少し相談内容から脱線するのですが、

教室で、0、1、2歳の子たちと過ごしている時、

ご相談のお子さんのように

「知力の発達には気になるところはないのに

行動や反応の鈍さのようなものがどうも気になる」という特徴を持っていることが

よくあります。

 

あやすとキャッキャと笑い声をあげたり、

「こわいね、こわいね」と言いながら、何かをのぞきこむ時に、

「こわいけど面白い」というワクワクした表情を浮かべて、その対象とこちらを交互に見比べたり、

「ちょっぴり恥ずかしい」という動作をしたり、

「ママはこれをしても良いって思っているかな?」と振り返ったりする

といった感情のいきいきとした働きがあまり見られないのです。

 

「うれしい、楽しい」と「怖い、悲しい」という感情を感じたり、表現したりする上で、

そのふたつの間にあるさまざまな感情を感じたり表現したりするバリエーションが少なくて、

幼い子ながら無表情でいることが多いのです。

感情の興奮しにくさのようなものを感じます。

中間のバリエーションが少ないと、「ちょっと不安」といった場面で、ものすごく怖がることが

あります。

 

親御さんは、赤ちゃん時期の感情の感じ取り方や表し方の鈍感さのようなものを

あまり気にとめていないことが多いです。

もちろん気を揉んで心配しすぎるのはよくないのですが、

こうした赤ちゃん時期に、笑うことが少なく、ちょっとあやされたくらいでは笑顔がでにくいという子は、

大きくなるにつれて、

物との関わりでは集中できても、周囲で人がしていることに気づきにくく、

話しかけても聞こえていないように振舞ったり、

2,3人では遊べても、集団からがひとりだけ抜けて気ままに過ごしていたりことが

よくあるな、と感じています。

 

赤ちゃんの時期でしたら、「いないないばぁ」などのあやす遊びをたくさんしたり、

ベビーカーでの移動を減らして、歩いて散歩したり、だっこしていろいろなものを見せてあげたりして、

たくさん笑顔を引き出していくと気になる鈍さが減っていくことがよくあります。

 

少し大きくなった子でしたら、ふざけっこや追いかけっこなどをして

キャッキャと笑わせたり、

「だーるまさんがころんだ」などの伝承遊びをしたりするのもいいのかもしれません。

 

次回に続きます。

 

 

 

 


最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
春休みの人との関わりの相談です (K)
2013-03-21 10:48:46
記事と異なってすみません。小学支援クラスの自閉、知的障害の息子ですが、周りを認識できるようになり、逆に人を意識しすぎて以前より遊べません。好きなおもちゃもないのでこれならと思える遊びもありません。
この春休みおばあちゃんや、ボランティァの学生さんなどが来るのになおみ先生とは違うので、お互いどう楽しく過ごせたらいいのか悩んでいます。基本リビングにいるのが好きですが、他人が入ると前より時間を気にしたり隣の部屋へ逃げてしまいます。相手も方にも悪くて、なかなか人への中間が難しく感じます。以前の記事を読んでて、仕切りやダンボールの穴からのやり取りが安心するでしょうか。感覚的にすきな豆を手ですくってじゃらじゃらする・・をつかって何か出来ないかなど、環境、物、相談したいです。

1、環境は1番好きなリビングがやはりいいのか、逆に遊びの部屋として違う部屋の方が気持ちが変わるのか。
相手と仕切ったほうがいいのか。
2、好きな感覚を利用するのがいいのか、特に物はないほうがいいのかなど解からなくなったままなので質問させていただきました。春休み楽しく過ごせるよう少しでも何かお答え頂けたら嬉しいです。
返信する
ありがとうございます (M)
2013-03-22 15:24:31
先生のアドバイス、大変感謝しております。
突然、このような相談をさせていただいたのに、丁寧に、お返事をいただけて、本当に嬉しく思います。
質問の答えだけでなく、すべての記事が非常に勉強になり、これからも引き続き読ませていただきたいと思います。
息子の、細かい状態像をはっきりさせることばかりにエネルギーをとられていましたが、そうではなくて、凸凹があるのは事実なのだから、その都度、よく観察して、彼にとって必要なことを愛をもってやっていけたらと思います。
先生がまとめてくださったように、情報処理に偏りがあるのだと思うので、わたしも勉強しながら、息子のためになることをやってみたいと思います。
これからも、ぜひ様々な気付きを、記事から勉強したく思います。
引き続き、回答も心待にしております。
ありがとうございました。
返信する
情報処理に関しまして (M)
2013-03-26 22:21:51
先生こんばんは。
たびたびの質問失礼いたします。
先に相談させていただきました息子ですが、たしかに情報処理に偏りがあるのだと思うのですが、わたしの素人知識により判断するに、視覚的な処理が優位で聴覚認知がよわいという単純な話でよいのか、わかりかねるところがあり、再び質問させていただきました。聴覚認知に関しては、記憶や理解や音韻理解、音を拾う、などはまあ普通かなあと思うのですが、会話の反応がにぶいときがある場合はやはり聴覚認知の問題なのでしょうか。それとも、場の状況を読めないという視覚的認知の問題なのでしょうか。いまいちハッキリと情報処理に偏りがある現状の原因がわからず、対策しづらい状況です。息子のようなタイプの、苦手な処理、得意な処理、起こりうる問題、を詳しく知りたいと思うのですが、伺えますでしょうか。たびたび申し訳ありません。ちなみに、おすすめいただいた本を読み、イラスト理解状況をしらべたところ、表情は細かいものまでわかるようで、絵の説明もまあそんなに偏りは感じず、気持ちの概念理解もあるようで、あるとしたら、空想しているために反応がにぶい、まわりをみてない、ということかなとかんじました。また、手振りの問題などは、やはりイラスト理解はしていても、シングルフォーカス気味ということなのでしょうか。まとまっておらず申し訳ありません。
返信する
M様 (なおみ)
2013-03-27 09:11:24
こんにちは。
事務のものからメールをさせていただきますので、
メールのアドレスと電話番号を
コメント欄に書き込んでください。
非公開で見させていただいて、連絡させていただきます。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。