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虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

1、2歳の子たちのレッスンの様子です。算数の時間を楽しんでいました。

2017-06-24 07:25:02 | 0~2歳児のレッスン ベビーの発達

1歳7ヶ月のAちゃんと2歳2ヶ月のBちゃんのレッスンの様子です。

 

コップの底にえんぴつで穴を開けるのが上手なBちゃん。こうした「できる」を下地にした工作をいろいろ楽しみました。

穴を開けたコップをそのまんま使った「じょうろ」。

細い風船を通して、「ひっぱるおもちゃ」や「けん玉」。

反対側に浅く切った紙コップを取り付けて、取り出し用のドアを切って、「ストロー入れおもちゃ」。

鈴を入れて「楽器」。

自分で作れたという実感がうれしいのです。

セロテープを扱うのも上手になってきました。

 

Aちゃんは輪ゴムをはずしたり、小瓶のふたを開け閉めしたり、トンカチでたたいたりするなど、

手を使った作業に熱心です。下の写真のカギのおもちゃは、そんなAちゃんにとって

とても魅力的だったようですが、、Aちゃんの力ではカギをひねることができませんでした。

手伝ってもらいながら、カギをひねっていって、あとひとつで全部ひねり終わる、というところで、

Aちゃんは別のことを始めました。

でも、ひとつのことを最後までやり遂げる持続力のあるAちゃんのこと、他の遊びをしてひと息ついたら

再チャレンジしていました。

こんな時、子どもが自分自身の中に抱いている目的意識やその子がどのように物事に取り組む子かということを

大切に扱ってあげなければいけないと感じます。

 

算数タイムに影絵をすると、ふたりとも大喜びでした。

自分で懐中電灯を使いたがります。

 

お魚釣りのゲーム。おさかなは10個のくぼみのあるトレイに入れて

数を確認。

 

覗くとイタリアの風景を見ることができます。

上部の紙を調節すると、空の色が朝と夕方に切り替わります。

1,2歳の子も、

それは熱心にていねいに覗いています。こうした心を込めて物を見る習慣は

幼い頃の関わりの中で育まれていきます。

「どうして?なぜ?」「きれい」「面白い」子どもの内面から、そうしたさまざまな気持ちが生じてくる

のを感じます。

 

ふたりが強い関心を示していた「100」という本。

一度、読み終わっても、Bちゃんが再び見たがっていました。

大好きな「金太郎あめが100」のページ。

 

アヒルの数を数えました。途中から水遊び。

あひるふが、「いっぱい」です。

 

教室で人気の「カツオ」を釣りました。

力持ちのBちゃん。


0歳児の個性

2017-03-24 19:46:51 | 0~2歳児のレッスン ベビーの発達

0歳8か月のAくんのレッスンの様子です。

Aくんは人が大好きなよく笑う赤ちゃんです。

まだ0歳の子たちも、その子とだけじっくり関わると、好みも遊び方も

その子ならではの個性がはっきりあるのがわかります。

 

教室に着いたAくんは、前回、3歳のお兄ちゃんが遊んでいたバンジーコイルを

見上げては、声をあげていました。そこでAくんが扱いやすいように

バンジーコイルをいくつかつなげて

紙コップをつけてあげると、やわらかいバネを引っ張って上機嫌で遊びだしました。

最初のうちは引っ張る手ごたえを楽しんでいましたが、

次第に自分が引っ張っているものがどこに

つながっているのか気にしはじめ、バネをたどって天井近くに視線を

投げかけていました。

 

Aくんは知的好奇心が豊かな赤ちゃんのようです。

AくんとErster Obstgartenn という幼い子向けのゲームのコマを出して

遊んでいた時のこと。

サイコロのカラスの面を見せてから、サイコロを転がして見せると、

拾いあげたサイコロを上手にゆっくり手で回しながら、

一面一面を確かめていました。

色つきの紙コップにゲームのコマのくだものを入れたり、

色のついた洗濯ばさみをつけたり、紙コップの底に穴を開けて、のぞきっこしたりして

遊びました。Aくんはわたしのすることにとても興味があるようで、

遊びの見本を見せたものは、必ず後から手を伸ばしていました。

でも、うまく真似できないとなると、いったんそれを口に入れて舐めてみて、

少しすると、こちらの顔をまん丸い目で覗き込んで、再度、真似っこにチャレンジしようしていました。

Aくんが熱心に遊んでいた、回転させてボールを下に落としていくおもちゃです。

 

上のくぼみにガチャポンのカプセルを入れてみせると、

Aくんも自分でガチャポンのカプセルをくぼみに入れたがりました。

まだ指が自在に扱えないのですが、わたしの手からカプセルを受け取って、くぼみの方へ持っていこう

として真剣そのものでした。

こうした遊びをする時、とても真剣で集中力があります。

また、「こういう風にしたい」という目的をしっかり持ち続けることが

できるようです。

Aくんとハリガリゲームを出して遊びました。

わたしが考えた適当な遊び方です。

「いちごがでるかな?」「いちごかな?」と言いながら、

カードをめくっていき、イチゴが出たら、

ベルを鳴らします。

Aくんは、わたしがベルを鳴らすたびに、真似してベルに手を乗せていました。

 

 


ショッピングリスト と 2歳児さんのお仕事

2016-11-25 19:38:38 | 0~2歳児のレッスン ベビーの発達

明日より3日間、熊本の遊びのアトリエさんのところにお邪魔してきます。

しばらくブログをお休みしますが、帰宅次第、熊本の方々との交流の様子を記事にさせていただきますね。

 

2歳7ヶ月のAちゃんと2歳10ヶ月Bちゃんのレッスンで。

ショッピングリストというゲームが気に入って熱心に遊んでいたので、(ルールを2歳向けに少し易しくして遊んでいます)お家用のゲームを作りました。

 

<遊び方>

買い物カードを裏向けておきます。

自分の番になったら、カードを1枚めくります。買い物リストにあったら自分のカートにおいて、なければ元に戻します。

ショッピングカートがいっぱいになったら勝ち。

 

この時期の子はブロックで囲いを作るのが好きです。

囲いの中に入れたビー玉を他のものに移してみるのに熱心。

 

ハンカチを広げて、お店屋さんごっこ。

しきりのあるお菓子の箱に入れています。

 

エルモにジュースをあげる予定。

 

ちょっと凝ったケーキ作りも楽しんでいました。

 

封筒(敏感期のお仕事用に適度なサイズに切った封筒をたくさん用意しています。)

の中に熱心に積み木を入れていきます。


1歳の子たちが熱中する活動

2016-11-15 23:00:22 | 0~2歳児のレッスン ベビーの発達

1歳6ヵ月のAちゃんと1歳7ヵ月のBちゃんのレッスンの様子です。

 

ドライヤーの冷風でゼリーのカップをぷかぷか浮かせる遊びに夢中でした。

 

ピンポン玉もふわふわ。最初に大きめのカップめんの容器を浮かせて遊んでいたのですが、小さい容器やピンポン玉を浮かせて、そろそろ終わりという段になって、Aちゃんが最初に遊んでいたカップめんの容器を自分で取ってきてドライヤーの上に乗せようとしていました。

そういえば、この時期(1歳半ば)の子たちは、2歳以降の子以上に、一度やったことをそのまんま繰り返したがることがあるな、と感じました。

AちゃんもBちゃんもドッツ遊びの時に、数の玉を見るたびに、前にやった数遊びを思い出してか、1本指をたてて(自分ではこちらと同じ数の指を作っているつもりのよう)、「3!」「5!」と声を出していました。

「5タッチー」というと、それだけはちゃんと5の手を作って、タッチしていました。

 

Bちゃんは、教室でハリガリというゲームをしたのをきっかけに(1歳用のなんちゃってゲームルールです)お家でハリガリを購入したところ、毎日のように出してきて、カードを出してはベルを鳴らすという行為をしているそうです。

Aちゃんも(お兄ちゃんがハリガリを持っているそうです)同じように、なんちゃってルールで何度もハリガリをやりたがるのだそうです。

 

おまんじゅうなどの空き箱のしきりは、1~2歳の子たちにとって魅力的なおもちゃです。

1つのくぼみにひとつのブロックを入れていきます。こうした作業は、2歳に近づくにつれて熱心になるのをよく見ます。

 

1対1対応になるように人形をねかしていく遊びも、AちゃんBちゃんともに引き付けられていました。

 

大きい子向けのゲームに入っていた色付きコインを1枚ずつ手渡して、1回ずつ「10円」と言ってもらいたいBちゃん。

こうした行為も2歳前後にひたすらやりたがる子が多いです。

(ミニカーを1台ずつ手渡して、それぞれの名前を言ってもらいたがるといった行為)

 

1歳の子たちとの遊び道具のひとつとして、お母さん方に折り紙の封筒の作り方を覚えてもらいました。

 

小さい折り紙に、文字や絵をひとつだけ書いて、ていねいに折って封筒に入れておきます。

1歳児さんは、封筒から手紙を取り出して開いてみるのが好きです。

文字を読んでもらうのも好きですが、たくさん児が並んでいる手紙だと、まだ「なんちゃって」の読んでいるふりなので、1文字だけ書いてあげると、形を覚えてしまって喜びます。

 

Aちゃんがはさみで手紙をはさみで切り始めました。

黒やぎさんたら読まずに食べた~♪の童謡を地でいく1歳児さん。

 

封筒から小さいものを指さきで取りだすのが好きなので、数字の封筒を作って、数の文だけ切り紙を入れておきました。

 

自分ではさみを入れた紙をびりびり。

 

レジが大好きなBちゃん。

数字を指で押して、数字を読んでもらうのを喜んでいます。

 

数遊びが始まると、一生懸命指を作っていました。

でもすべて1の指か5の指に。

 

Bちゃんは、パズル風のおもちゃに強く引き付けられる子です。

カードとできたものを見比べて、自分でぱちぱち手をたたいていました。


0歳の赤ちゃんとしっかり遊び込むコツ

2016-11-01 21:21:45 | 0~2歳児のレッスン ベビーの発達

0歳7ヵ月のAちゃん、0歳11ヵ月のBちゃんとCちゃんのレッスンの様子です。

0歳の赤ちゃんを育てている親御さんに、「お家でどんな遊びをしていますか」とたずねると、

「あやすのと絵本を読んであげるくらいでしょうか」といった返事が返ってきます。

2人目、3人目の子を育てている子育てに慣れている方も、「0歳の子らがどんな遊びを喜ぶのかよくわかりません」とおっしゃることもよくあります。

0歳の赤ちゃんたちはとても好奇心が旺盛で、貪欲に遊びます。

さまざまな感触を試したがり、音や色や形を面白がり、推理力を働かせる遊びも大好きです。

引っぱったら、自分の方に来るとか、引っぱったら伸びるとか、押すと形が変化したり、音が出たりするとか、見えていたものが見えなくなったり、見えなかったものが目の前に現れたりするのを面白がります。

「いないないばぁ」などであやしてあげることも絵本を読んであげることは大切ですが、他の遊びのレパートリーを用意してあげたいものです。

 

0歳後半の子たちが喜ぶ遊びを紹介します。

この時期の子たちの目の使い方には、個性が見られます。

今回来てくれた7ヵ月のAちゃんは、首をさまざまな方向に向けながらかなり広い範囲まで見渡すように眺める子でした。

人と視線が会うと笑顔を浮かべ、こちらがそれをとらえてあやすと、キャッキャと笑いながら、もう一度あやしてくれるのを期待するように表情豊かに人の顔を見つめていました。

また、何かを口に入れてなめている時、自分の手元を見ようと集中していました。

 

11ヵ月のBちゃんは、丸い形の箱やマグネットのついたおもちゃなどを手にすると、必ずひっくり返したり、立てたり横にしたりして、多方面から分析するように見ていました。

動くものをじっくりゆっくり眺めるのが好きで、他の子がおもちゃを扱っている時も、その様子を熱心に見続けて、次に自分がそのおもちゃで遊ぶ時は、そのおもちゃの扱いについてよくわかっているような知恵が感じられる遊び方をしていました。

 

この時期の子たちが喜ぶおもちゃとして、ティッシュの空き箱や透明の容器(乱暴に扱っても危険がないもの)などがあります。

ティッシュの空き箱は、空き口が透明の部分があって、ものを押し込みたくなる作りになっています。

(子どもがビニールを噛みちぎると危ないので、必ず大人が遊びを見守ってください)

入れたものが見えるけれど、出すのが難しいし、振ると音がして適度な手ごたえがあるので、0歳の子の好奇心を刺激します。

赤ちゃんによっては、見えづらくなったらすぐに興味を失う子もいれば、そうした音や手ごたえの原因となっているものを突き止めようとのぞき込んだり、手でつかもうとしながら指先を見つめたりする子もいます。

赤ちゃんが、好奇心や探求心を満たそうとして何かに働きかけている時、近くにいる大人も同じように赤ちゃんの関心に注意を向けていると、チャレンジする持続時間が伸びていきます。

 

透明の容器は、物が入っているのを外から確かめられるので、赤ちゃんにとっていいおもちゃになります。

写真は、おもちゃをくるむところをBちゃんに見せながら、ハンカチを容器に入れたところです。

Bちゃんはハンカチを出そうとして苦心していましたが、うまくいかなくて泣いてしまいました。

 

Cちゃんの物の見方は、目的や目標物をいちはやく見つけて、それを達成したり、手に入れたりするまで関心が持続するような見つめ方でした。

いろいろなパーツがそろっているおもちゃの中から、少し年上の子たちが選びそうな目立つものをさっとつかみに行ったり、椅子の上にのぼって万歳ポーズをしたりしていました。

 

数玉で遊んでいたときも、数の玉の上に乗せた人形がほしくて身を乗りだしていました。

0歳の子たちとする工作は、何か作るというより、工作素材や道具を使って、赤ちゃんといっしょに遊ぶという関わりです。

まず色画用紙をいっしょに選びます。

色画用紙のはっきりした色は赤ちゃんたちの興味を引きます。

 

穴に何かを押し込むのが好きな時期なので、色画用紙に切り込みを入れて、裏にヨーグルトや豆腐の空き容器を貼って、落とし穴を作りました。

指で押し込むとお人形や車が穴の中に消えてしまいます。

簡単なぺープサートを作ったり、穴あき絵本を作ったりして遊びました。どの子も熱心に取り組んでいました。

 

写真は、小さい穴から出てくるひもです。

指でひもをつまんでひくと、ひもがちょろちょろ出てきます。

 

切り込みを入れて作るジュースが出てくる機械やパクパクする人形なども、0歳の子らが喜ぶ工作です。

11ヵ月の子たちは、はさみやセロテープに興味しんしんでした。


1、2歳の子が夢中になる手作りからくりおもちゃ

2016-10-18 14:42:45 | 0~2歳児のレッスン ベビーの発達

1、2歳の子が夢中になって遊ぶ手作りおもちゃの作り方を紹介します。

3分ほどでできます。

 

基本は「お菓子の空き箱の底に穴をあけて、ひっくり返して土台となるものに貼っただけ」で、これはこれで、どんぐりを上から入れると下の取り出し口から出てくるのがうれしくて何度も遊ぶ子たちがいます。

これに回転する形を取り付けると、幼い子たちが考えながら遊ぶおもちゃになります。

お菓子の空き箱を土台にする箱に貼ります。

写真のように土台となる箱に穴をあけます。

お菓子の空き箱の上部にどんぐりやビー玉の投入口をあけます。

 

丸いチーズの空き箱を貼り合わせてから、上の写真のように箱の一部を切り取ります。

お菓子の空き箱の側面を切り取って、丸いチーズの空き箱を入れたらできあがり。

 

上からビー玉を入れてから、チーズの空き箱を回転させると、下の穴に落ちます。

 

こうしたおもちゃで1、2歳の子たちはとても集中して考えながら遊びます。

 

中が見えるように箱をくりぬいて、ガチャポンやプリン等の容器を貼ると中のようすが見えて面白いです。

 

2歳のAくんの希望で、先ほどのおもちゃに、回すと上がったりさがったりするしかけを取りつけました。

 


言葉の遅れ、人と関わる力の弱さ、叱られると笑うところが気になります 5

2016-08-23 20:47:37 | 0~2歳児のレッスン ベビーの発達

現在は、「子どもになりきる」まなざしがなくなりやすい環境です。

情報が多すぎるし、携帯電話やテレビやベビーカーといった大人と子どもの間に見えない壁を作ってしまいがちな道具があふれていますから。

 

また子どもの側に、生まれたときから、大人を不安にさせたり、挑発したり、無関心にさせたりするような素質があった場合、

いくら親御さんが良い親になりたいと考えていても、心優しい性格だったとしても、次第に親御さんの自信がくじかれていって、そうしたまなざしになれなくなるのも仕方がないことです。

 

ですから、「子どもになりきる」まなざしになれない自分は悪い……と捉えるのではなしに、ちょっと自分の心のチャンネルを子どもサイド見方に切り替えるくらいの気楽な気持ちで、この状態を意識的に作るようにしていると、子どもの言葉の遅れが劇的に回復することもよくあるのです。

 

言葉の遅れのある子のなかには、一方的に単語を言ったり、要求を口にすることはできるけれど、相手からたずねられたことに返事をすることがなかなかできない子がいます。

 

★ちゃんにしても、「これなあに?」とか「じいじいは?」とたずねても、自分に向かって何かをたずねられているということがわかっていない様子でした。

また、たずねられたことに自分から応じていこうという意志が感じられませんでした。

 

そんなときに、もし★ちゃんのお母さんが、完全に★ちゃんになり変わって返事をするのでもなく、「じいじいはお外っていいなさい」と指示を出すのでもなく、

★ちゃんが主体であることをわかった上で、★ちゃんになりきって、そっと★ちゃんの身体をたずねた相手の方向に向けながら、身体そのもので言葉を受け入れる態勢を作ってあげながら、

「りーんーご」とか、「じいじいは、えーと、どこかなどこかな、あっち」と身振りもまじえて、いっしょにお返事してあげると(最初のうちは大人だけの返事になるでしょうが)

★ちゃんが言葉を覚えていきやすいように思いました。

 

「子どもになりきる」というのは、絵本を読むシーンでも大事です。

★ちゃんは、絵本を手にして「読んで」という素振りをします。

でも、ただ絵本の文字を読んであげるだけでは、2ページ目に移る前にふらりとその場を去ってしまいます。

それを繰り返していると、★ちゃんのお母さんも拍子抜けして、「~してよ」と能動的な★ちゃんの働きかけに対して、

「どうせちゃんと聞かないんでしょ」といういやいや従うような態度で応じることになりがちです。


言葉の遅れ、人と関わる力の弱さ、叱られると笑うところが気になります 4

2016-08-23 06:57:43 | 0~2歳児のレッスン ベビーの発達

子どもに言葉の遅れがあるとき、その子のお母さんの子どもとの関わり方にちょっと気になる特徴を感じることがあります。

もちろん、言葉の遅れというのは子どもの側に原因があるかもしれず、

まるで育て方が原因で言葉の遅れが起こるかのような指摘はよくないのかもしれません。

でも、先に子どもの言葉の習得の遅れがあって、それが原因で後から親御さんの態度が変化したものかもしれないけれど、ひとつの共通する特徴のようなものがあるのです。

それはどのような特徴かというと、

「子どもになりきる」まなざしが少ないということです。

 

つまりいつも大人から、他者から……というまなざしで子どもの動きを捉えているように見えるということです。

 

それなら、「子どもになりきる」というのは、どのようなまなざしかというと、たとえば、子どもが重たいものを引きずって運び始めたら、

見ている方も知らないうちにふんばって息を止めて、「よいしょ、よいしょ」と心の中でつぶやくことってよくありますよね。

子どもがすっぱいものを口にすると、こっちまで肩をしぼめて、すっぱいときのキューッと顔の筋肉を縮めたような表情をしてしまうものです。

特に幼い子を育てている親御さんは、本能的に子どもの姿を目で追いだけで、そうした「子どもになりきる」状態にしょっちゅう

なっていることと思います。

子どもに何かを教えるときも、自分の身体までが勝手に動いて、言葉がただの言葉ではなくて、

「こーうしーて~こーうしーて~」と見聞きしている側のかもしだしているリズムに合わせて提示しているのです。

それを真似ようとする幼児の動きを今度は教えていた側が、真似ているような形で、さまざまなことが伝えられます。

 

こうした大人の側が「子どもになりきる」形の伝達は、幼い子が言葉や生活習慣を学んでいく上では、必ずといっていいほど必要なものだと思います。

とても本能的で普遍的な活動だからです。たいていの親御さんは、遊んでいるときも、いつの間にか、子どもの目線で世界を見、子どもの感じるものを自分で感じているかのように反応しながら、遊びに興じています。

知らない間に、呼吸の速度まで子どもと同じになっているのです。

でも、言葉の遅れのある子の親御さんのなかには、いつでも大人の立ち位置、大人のまなざし、大人の判断、大人の思考、大人の分析を手放さないで、

とまどいながら子どもと接している方が多々あるのです。

 

次回に続きます。


言葉の遅れ、人と関わる力の弱さ、叱られると笑うところが気になります 2

2016-08-22 13:08:50 | 0~2歳児のレッスン ベビーの発達

★ちゃんと★ちゃんのお母さんの関わりを見ていると、いくつか気になるところがありました。

★ちゃんの自分から人との関わりを求めていこうする力が弱いからでしょうが、★ちゃんと★ちゃんのお母さんの関係は希薄に見えます。

お母さんをお母さんと認識していないかのように見えるときもあります。

★ちゃんのお宅にお邪魔して遊ぶ様子を見せていただいたところ、★ちゃんの興味は遊び道具より、フックのようなものや仏様に備えてあるお線香やガラスのコップや木のささくれのような

おもちゃでないようなものに向かっていました。

そのため、★ちゃんが遊び出したとたんに、★ちゃんのお母さんが「ダメダメ」と注意することがあって、

するとなぜか★ちゃんがケタケタとうれしそうな笑い声をあげるということが何度もありました。

見ていると★ちゃんが、お母さんとの関わりで、いきいきとうれしそうにしているときは、このように「ダメダメ」と注意されているときだけでした。

そのためか、★ちゃんはちょっとめずらしいものに興味を示すときだけでなく、お茶を飲んでいる最中や、ペンでなぐりがきをしているようなときも

わざわざ「ダメダメ」という関わりを求めるように、はめをはずしがちでした。

虹色教室でこれまで出会った人と関わる力に弱さを持った子たちもお母さんとの関係が希薄で、心と心がしっかり通いあうというシーンが少ないのに

「ダメダメ」と注意するときには、いきいきしてきて笑い声をあげるというちょっと気になる親子関係があった場合、年を追うごとに悪ふざけや

大人の嫌がる行為をするのがエスカレートすることが多々ありました。

そのため、★ちゃんのお母さんには、次の3つのアドバイスをしました。

 

① 悪いことするとき以外のことで、笑顔を引き出すようにすること。

喜ぶ遊びは繰り返ししてあげること。

★ちゃんがお母さんに抱きついたり甘えたりしやすい態勢を取ること。

自然でリラックスした態度で接して、少しでも甘えるそぶりを見せたら、心地いいようにだっこしてあげるか、ぎゅっと抱きしめてあげること。

反りかえるなど、抱かれるのを嫌がるときは、どのような抱かれ方を喜ぶか、慎重に接しつつ、次第に甘えることを気持ちがいいことだとわからせていくこと。

 

② 悪いことをはじめたら、静かにきっぱり注意して、怒り声を楽しいもののように感じさせて興奮させないこと。

 

③ 「ちょっと変わっているなぁ……」と共感できない遊びに没頭したり、大人にとって嫌な物を好むときには、叱ってやめさせるよりも、何を喜んでいるのか(感触か音か動きかなど)を見極めて、大人にとっても困らない遊びにして提案すること。

(たとえば汚いものを好んで触りたがるようなときは、糊を画用紙に塗りたくる造形遊びに誘うといいです)

次回に続きます。


言葉の遅れ、人と関わる力の弱さ、叱られると笑うところが気になります 1

2016-08-22 07:38:06 | 0~2歳児のレッスン ベビーの発達

2歳2カ月の★ちゃんのレッスンです。

★ちゃんのお母さんからは、1歳半検診で指摘された言葉の遅れと、日常関わる中で自閉傾向があるのではないかと心配していることをうかがいました。

虹色教室は病院ではないので、そうした心配の正誤についてはアドバイスしかねるのですが、遊びを通して見えてくるものや必要な関わりを探ったり、親御さんの不安を和らげるお手伝いはできます。

★ちゃんは名前を呼んでも、振り返らずに知らんふりしているところがあります。耳の聞こえを心配して耳鼻科に行ったところ異常がなかったようです。

言葉はぼちぼち出ているけれど、「これなあに?」とか「~はどこ?」「~はどれ?」といった質問は、理解しているように見えません。

こちらの表情を読もうとする意欲が弱くて、ちらっと見ても、すぐ目を別の方向に移します。

ままごとのお鍋をスプーンでかきまぜていたので、手を差し出して、「ちょうだい」と言うと、気づかないかのようにいつまでも無視しています。

背後から背中をさすると、それも気づいていないかのように無視していました。

 

お家で家族が集ってくつろいでいるときも、★ちゃんはひとりだけふらりとその場を離れて電気のついていない部屋で一人遊びをすることがあるそうで、そうした姿が気にかかるというお話でした。

また外出先で触りたいものがあると、祖父母の手をつかんで、触らせようとするクレーン現象のようなものもみられるということでした。

★ちゃんといっしょにいろいろな遊びをしてみたところ、確かに気になる点も多々あるのですが、

「なかなかしっかりしているところがあるな」
「働きかけ次第で、気になるところは軽減しそうだな」

とも感じました。

というのも、★ちゃんはだっこしておもちゃを指さすとちゃんとさしている方向を見ますし、「ちょうだい」とやりとりに誘っても無視しているようなときも、

こちらの求めていることに全く気付いていないのかといえばそうではなく、何となく兆しとしては、「ちょうだい」と頼まれたら、「どうぞ」と渡すやりとりを学んでいけそうな柔軟な雰囲気をかもしだしてはいるのです。

こうした兆しは、言葉にして表現しにくいのですが……。

★ちゃんは、「できるか」「できないか」でチェックしていくと、「できない」がたくさんある子ではありましたが、「できそう」という可能性を含んだ「できない」がほとんどなのです。

今後もきちんと病院での検査等は必要でしょうが、同時に親子関係の質を向上させていくことで、心配なところはひとつひとつ減っていきそうな子でもありました。