街歩きで外に出てみると、車椅子で散歩や観光をしているカップルによく出くわす。仲むつましく、ゆったりとしていて周りの人々に安心感を覚える二人組に遭遇するとホッとした気分を味わう。
そうかと思えば椅子を押している人との関係は知れたものではないが、皆さん譲るのが当たり前でしょうとばかりに自分たちを主張する組もある。皆が譲り合って、他人を思いやって生活するには何が必要なのだろうか。今日の日本に何かが欠けていると思うことが多い。
数年前にアメリカ、オレゴン州のポートランド市に学生を連れて夏季英語研修に行ったことがある。その時にWalk beside me, and be my friend.(一緒に歩いてください、そして私の友人になってください)というポスターのようなものを膝に乗せている車椅子の人をみた。ポートランドのMAXという車道を走る電車の中の出来事である。これこそ、人々が社会で共同生活を仲良く楽しむ原点ではないだろうか。
“一緒に歩き、友人になってください”は家族間、夫婦の間でも通じる心で、社会生活を営む人々すべてに当てはまる言葉で安心して暮らすための原点であると信じている。
人間関係で悩んでいる会社勤めの人々もちょっと工夫して、Work beside me, and be my friend. とwalk(歩く) から work(働く) に変えると周りが変わる。最初の動詞をいろいろ違った単語に置き換えてみると、はっとする生き方やユーモアが見付かるかもしれない。