僕の家の道路を挟んで向かいに薬局がある。薬を処方してもらいに来た二人の若い主婦。僕の家の塀に寄りかかりながら井戸端会議である。PTAかなにかのいわゆるママ友の関係であるようだ。自分を含めて子供の問題を長々と話している。聞こうと思はなくても庭に出ればいやでも耳に入ってくる。要するに何かの“劣等感”が話題である。僕は立ち話をするのは嫌いだし、それを聞くのも迷惑だ。家に駆け込んだ。
An inferiority complex is just a state of mind. (劣等感は単なる精神状態である)
昔、大学で教えている時に研究室に相談に来る学生の中に時々自分の劣等感を打ち明けに来る者が数人いた。大学の先生だって全能の神ではない。どうしてそんなことを打ち明けるのかと疑問に思ったことは何度もあったが、要するに他人に聞いてほしいのだと思う。僕は「口癖には要注意」という話をよくしたのを思い出す。「僕はこういうことには弱いんです」とか何かが「苦手」という人は、何度もそれを言っている内に口癖になって自分の弱点を繰り返すことで本当に弱点になってしまうことを知らないのだと思う。
先ず彼らはすぐに自分を兄弟や友人と比べる。比較は劣等感を生み出すきっかけとなるのに。人は皆、それぞれ違うことに強みをもっているということを知らないために、自分で自分を劣等感の世界に追い込んでいくようである。
劣等感の落とし穴から抜け出す方法の一つは「まぁいいか…」と楽しくやろうという姿勢を持つことである。二つ目はどんな人にも長所、得意な分野があるということだ。自分の長所に一日でも早く気付いて伸ばそうとすることで人生が楽しくなると信じている。
(追)大阪は今日も蒸し暑い。梅雨はまだもう少しの間続くのかな。