「お兄ちゃんは足が早いからええわ」と言いながら家の前を走りすぎた女の子がいた。ちょうど雨が降り出してランドセルを背負った妹の小学生には走りづらかったのだろう。人と比べる弊害については何度も耳にして来たように思う。兄弟同士、友人同士、その他いろんな状況の中で、我々は当たり前のように人を比べてしまっている。自分を他人と比較することはうまく行っても悪くいっても碌なことはない。自分を苦しめたり、他人を苦しめたりもする作用があるからだ。人と比べることで、場合によっては自分を傷つけることになる。自分にとって都合が良くても他人を傷つけることになるかもしれない。教育の場は考えてみれば意図しなくても人間関係の微妙な環境を作ってしまう場なのかもしれないと現場から離れて感じることがある。
物事にはいつも両面があって「早起きは三文の得(徳)」すら場合によっては逆になる。夏の場合は別として冬の早起きはストーブだの暖房の無駄遣いと言えるかもしれない。「命長ければ蓬莱(ほうらい)に会う」などといって長生きは良い事に出会う機会も多い、などと言っているかと思えば「命長ければ恥多し」などと時代に遅れて恥をかくことも多くなるかもしれない。「居心地の良さ」と「学び」は反意語だと言った人がいた。「心地よい場所(コンフォートゾーン)」から脱出できない人は「学びの場・機会」を失うという意味だ。諺や偉人の名言はいろんな苦い経験を通して生まれることが多い。それでも何か良いことや予想外の幸運が来ることを楽しみにしているのが人間だ。「イワシ網に鯛かかる」という諺もあるよなー。