玉鷲というモンゴルからやって来たお相撲さんがいる。日曜日に34歳で初優勝を勝ち取った。若くして日本に来て日本語もろくに理解できない状態で厳しい相撲の世界に足を踏み入れた。19歳の初土俵以来休みなしの皆勤だ。優勝を祝っているその日に彼の二人目の赤ちゃん(男子)が誕生するという二重の喜びだ。13勝目の勝利は絶対勝つという気迫が感じられた。
もう一人、優勝に輝いた人がいた。大坂なおみの全豪オープン優勝である。精神的に弱いと言われ続けてきた彼女、ついに苦しい競った試合をものにした。なんと彼女の試合を振り返っての言葉で、inner peace(インナー・ピース)、つまり精神的(心の)安定という表現を優勝の一因としたのである。彼女がそれを言ったことに本当に驚いた。相手はチェコでの事件で負った左手の負傷を克服しての決勝進出のクビトバ(28)である。お互いに意地をぶつけ合った素晴らしい試合であった。
荒鷲、大坂なおみ、そしてクビトバ、この3人、苦難の克服を経験したプラス思考の人達だ。スポーツの栄光の裏に隠れたさまざまなエピソードは人の心を打つ。人が学ぶことができる何かが隠されているのだ。
ぼくの頭を横切った英語の単語はpotential / potentiality (可能性、潜在性)である。英語のプラス思考の中にThere is potential everywhere.(可能性はそこら中に存在している)という文があったのだが、ただこの文章、続いてうしろに―if you have the right attitude、 もし正しい気持ち、(姿勢)を持っているならば、というものがある。
正しい気持ちや姿勢とはどのようなものを言うのだろうか。何もしないでただじっと座っていて文句ばっかり言っている人が行き着くところはない。例えば、飛行機の善悪を問題にして文句ばかり言う人と、あの鉄の塊が人を運んで連れて行ってくれる所を夢見る人の違いをつくるのは、プラスの方向をみる正しい気持ち、姿勢なのではないのだろうか。。