大阪北部地震の余震に怯える知人が数人、震源地の高槻市に住んでいる。余震が来る度にカタカタと家や部屋の中にある何かが音を立てる状況だという。落ち着いて家に居れないという状況で不安が増幅して、心理的にそうとうの圧力になっているだろうことは想像に難くない。自分ではどうしようもない無力感が恐怖心となって人々を苦しめるということをアメリカ留学中の学生時代に心理学の授業で学んだことを思い出した。
確か狭い2部屋に別々に入れられた犬の実験だったように思う。一匹が入った部屋の床には軽い電流が流されて、頻繁に電流が流れたり止まったりする。自分では制御できない環境である。
別のもう一匹の部屋は所々に電気が流れない場所があって、犬はそこに避難することが出来る。少なくともその犬は避難場所を学習することが出来るのである。
最初の犬は完全に無力感に支配されて、まったく無気力になってしまうという実験だった。
余震が続く中での日常生活の大変さに思いを寄せてあげることはできたとしても、それ以外に他に何ができるだろうか。
Try not to be always in fear. (いつもビクビクしていないように頑張ろう)という英語表現がある。他人ごとのような冷たい表現に聞こえるかもしれないが、そういう意味で言っているのではない。罹災されたみなさんには、なんとしても怯(おび)えるという心理状態から脱してほしいという励ましとしてとらえてもらえることを望んでいます。