夕方のニュースは平昌オリンピックのフィギュア男子、羽生結弦選手の活躍で賑わっている。リンクいっぱいをところ狭しと躍動する彼の演技にみとれてしまった。右足首靱帯損傷から、まだ3ヶ月しか経っていないという。
練習の積み重ねからくる自信、その上に立ったプライド、障害は乗り越えて見せる、執念のようなものを氷の上で舞う彼の姿に見てとれた。一歩、一歩の積み重ねで人は夢をつかむことができるという英語の格言のようなものがある。昔、現役の時、次の英文を黒板に書いて、一言付け加えて授業に入ったことを覚えている。細かいコメントは付け加えず、黒板の右端上部に、その時間中消さずに残しておいたことを思い出す。
Taking one step at a time, you will achieve your dream.(一歩、一歩、人は夢を達成する)
Just keep going. You will get there. (ただただ続けなさい。君はそこ――目標、に到達するでしょう)
アメリカのワシントン州に留学した教え子のS君、この英文を大学の寮の壁に貼りつけて頑張ったということを誇らしげに話してくれたことがあった。ちょっとした一言に人の心は反応する。羽生選手の活躍が、日本のどこかで、誰かを刺激して、また一人“そこ”を目指す人が出てくるのが楽しみだ。