学びのプラスあるふぁ:日常の気付き

人の人生、それぞれが皆オリジナル。街を歩き人に話しかけることから「なるほど」と納得できる発見がある。

バンクシーの挑戦

2020-12-04 17:13:53 | 日記
大阪南港ATCギャラリーに出かけた。「天才か反逆者か」の衝撃的キャッチコピーのあの ’バンクシー展’ に足を運んだのだ。平日ということもあり、幸い蜜を特に気にするような状況はなかった。切符売り場への誘導テープの柵が空く邪魔な状態で張られていた。黒いスーツの案内嬢の姿がやたらと目立つ入り口付近でアルコール消毒と連絡先を書き込んでの入場である。連絡先を記入するのはコロナの感染のクラスターなどが起こった場合の対策である。入り口を入るといきなり映像が流されていて僕はスマホで例の絵筆を持つネズミを写真に収めた。大きな画面の絵筆の先には “I’m out of bed and dressed — what more do you want? (朝)ベッドを出て服を着替えて—-それ以上他に何が要る?” 赤いペイントでネズミが書いた想定だ。黒色のネズミ、赤いペイントの強烈な訴え、そしてキャンバスの白い壁。素晴らしいコントラストだ。
そこで解説!(すぐに解説したがる元大学の先生の悪い癖)社会の底辺を生きるネズミ達が人間に訴えるものはなんだろうか。人間社会の傲慢さ、贅沢と無駄を生み出す人間の日常… バンクシーは資本主義が産み出す悪に焦点を当てて訴えかける。バーコードやショッピングカートに資本主義を象徴させたたくさんのステンシル技法のポスターやビルの壁面に彼が描いた絵や落書き(?)がある。彼は人の欲望は際限がないと語りかける。朝起きて、自分が生きていることを実感して、それ以上何が必要と言うんだと我々に語りかけているのだ。僕は人々の消費活動への警鐘と捉える。自分の訴えを絵に託して人々の心の奥深くに訴えかけて、見る人に考えさせる。バンクシーは他に権威主義(例えば警察など)への嫌悪感や戦争反対などを訴える。“彼は反逆者か”と言われる所以である。
一方、自分の訴えを表現する手法とその発想の素晴らしさ、そして彼が描く騙し絵(人は騙されて幻想の中で生きている)の素晴らしさなど芸術表現に目を向ける時、やっぱりバンクシーは天才なのだ。どんな人にも物にも目に見える「表」があって見えない「裏」がある。隠れた部分をいかにして目に見える前面に引き出すかがバンクシーの挑戦だ。

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