学びのプラスあるふぁ:日常の気付き

人の人生、それぞれが皆オリジナル。街を歩き人に話しかけることから「なるほど」と納得できる発見がある。

マスクと間人主義

2020-07-21 17:14:26 | 日記
外に出かけてみるとレストランや街の食堂、居酒屋、モールのフードコートなど、店側はほとんどのところでソーシャル・ディスタンスを意識しているのがわかる。そうかと思えばマスクもしないで数人でガヤガヤと話しながら店に入っていく30歳前後の若者も目撃した。この人たちに対する店側の対応はどうだったのだろうか。少し気にはなったがそのままやり過ごした。何か言おうものなら“マスク警察”などと呼ばれて非難の的になるかもしれない。僕はたまに出かける時もマスクの装着には注意しているし、人がたくさんいる所は意識して避けている。
英語で3蜜は “three C” と呼ばれる。密閉、密集、密接はそれぞれ closed-space, crowds, close contact である。昔、大学で文化人類学の授業をとった時にまさにこの頃話題になるソーシャル・ディスタンスを学んだ。「近接学」として学んだのを折に触れなぜか時々思い出す。近接学というのは対人距離のことで、人と人がコミュニケーションをとる時にとる相手との距離感がお互いがどのような関係にあるのか知るヒントとなる。我々一人ひとりにとって自分の空間が社会という共同スペースを生きていく上で大きな意味を持っているという。例えば、非常に親しい者同士に存在する空間のことは密接距離と呼ばれる。家族や親友などとの間に存在する空間、距離、である。会話をスムースにする距離は社会距離、つまりはソーシャル・ディスタンスだ。日本人は社会距離は個人同士の立場などを考慮しながら割合しっかりと距離を意識していると思う。欧米ではハグの習慣があるので個人間の距離は近いように思われるけれど、結局個人主義的考え方のせいで個人間の距離は日本人のそれより広いのかもしれない。最近問題にされるマスクに関する日本と欧米の違いも近接学的に考えると、自分の都合を主とする「個人主義」的か「間人主義」的社会かでかなりの説明ができそうな気がする。日本では”人間”の二文字を入れ替えて“間人”とすることで、人は人と人との間で生きているという事実に意味を持たせている。我々日本人は他人の目を気にしながら間人主義の中でマスク装着が欧米の人々より浸透しているのだろう。

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