水彩画と俳句の世界

自然を愛し、感性を大切にして「水彩画と俳句の世界」を楽しんでいます。

冬の雷

2008年05月19日 04時14分53秒 | 冬の俳句
冬の雷湖を平らに走りけり
木洩れ日の奥にひそりと寒椿
三体の北向き地蔵冬木立
冬日燦アロエの棘の柔らかき
高枝の木の実に群れし都鳥
年金の立話なり歳の暮れ
ならまちの格子の家の冬灯かな
  
2006.12   惟之
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

飛火野

2008年05月19日 04時12分34秒 | 秋の俳句
飛火野や鹿の眼怖し角切る日
料理屋の店先灯す黄菊かな
豆腐屋の客の眼とめる菊白し
軒下に俎板(まないた)を干す小春かな
山霧に一村ひそと隠れけり
懸崖の匂い広がる菊扇
鳥啼くや菊満載の帆掛け舟 
  
平成十八年十一月  惟之

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

南大門

2008年05月19日 04時08分19秒 | 秋の俳句
逝きし人偲ぶ山唄秋の通夜
通夜の人絶えることなく菊献花
竜胆や妻の喘息治まりし
栃の実を空に数えし山路かな
天高く聳え立ちたる南大門
ひらひらと風の舞来る落葉かな
熊除けの鈴音響く古道かな
  
2006年10月  惟之
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

栃の実

2008年05月19日 04時04分01秒 | 秋の俳句
松根より天に吊る巻く葡萄かな
濃竜胆空の青さを集めおり
奥琵琶の松の浜辺や稲光る
手土産や栃の実ひとつ掌に
ゆっくりと空を動かす鰯雲
蛇谷ヶ峰まむしに出会い小休止
ご来光待つ間の静寂ちちろ鳴く
  
平成十八年九月  惟之
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大花火

2008年05月19日 03時59分29秒 | 夏の俳句
夏の雲湖上で頭突きはじめおり
エンジンは全開なりし蝉時雨
大花火どよめき後の拍手かな
大桃の香りの満ちて昼餉かな
湖風より生れて群れ飛ぶ蜻蛉かな
夕暮て花火待つ間の舟溜まり
鬼やんま操縦席は空の色
  
2006年8月  惟之
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

水中都市

2008年05月19日 03時54分47秒 | 夏の俳句
サラダバー色あざやかなプチトマト
暑き日や御焦(おこ)げの鍋を磨きおり
睡蓮や水中都市の闇深き
夏の昼浜に聴こえし汽笛かな
流星の群れて眠れぬ夜は古し
短夜やジダン退場仏負け
鰻屋の傘差す列は土用かな
 
2006.7 惟之
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

象の背中

2008年05月19日 03時51分21秒 | 夏の俳句
咲き初めて早や散りかかるえごの花
大津絵の鬼も傘さす梅雨じめり
みんみんと蝉を呼ぶ声おんぶの子
朝靄にぬっと出会し鹿の子かな
新緑の谷に落ち込む棚田かな
轟轟と滝落ちにけり岩裂け目
草取て象の背中の如き丘

2006.6  のぶゆき
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大牡丹

2008年05月19日 03時47分27秒 | 夏の俳句
散るさくら花芯の紅のまだほのか
ずっしりと雨を吸いおり花の屑

千尋の谷へ木霊す不如帰
母の日の特製オムレツ二十歳の娘

大牡丹一夜の雨に沈もれり
新緑の山肌かすめ雲行けり
初夏の日を弾き返して棚田かな

2006.5  惟之
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

花明り

2008年05月19日 03時39分46秒 | 春の俳句
春燈や寄進瓦に名を墨す
鉈彫りの円空仏の春微笑

戯れて二匹の蝶の競上り
つちふりて空も琵琶湖も銀の色

比良山(ひら)晴れて畦に土筆の群れおり
楼門の奥より零る花明り
比良望む天井川の花吹雪
 
二〇〇六年四月
         惟之
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする