建仁寺の春(2017.4.14)
帆柱
雪中の煤払なり三井の鐘 惟之
虎河豚の鰭は貼られて売られけり
群立の帆柱染める初日かな
初場所の小兵の一本背負かな
初暦幼の好きなぐりとぐら
誌上句会 兼題「初蝶」より
初蝶や今日は新しき風に会ふ 洋子
すつと来てすつと去りたり初喋喋 初枝
諸手あげ初蝶となる幼き子 秀子
初蝶のたどたどしさや草むらへ 美枝
初蝶やどこまで飛べる危なげに テル
初蝶やつかずはなれず径はさみ 幸子
初蝶の句碑よむごとく縺れあふ 惟之
やまびこ 感銘・共鳴ー私のすきな一句より
冬の蝶小さな花を選びけり 海男
純白の富士冬天を引き絞る 勝彦
健脚の九十歳の冬帽子 近子
風花や終の握手と知る無言 ちか
三千歩やつと歩けて赤のまま 志津
茶柱の立つよろしさや冬の朝 のの女
山茶花や無一物とはなりきれず 和子
人声の川に沿いゆく小六月 鈴枝
乳母車から秋空を蹴ってをり 方城
初霜や野面の果ての備前富士 収子
万葉の里を彩る柿たわわ 惟之
花梨の実触れさせてやる肩車 克水
一粒の葡萄含みて返事待つ 睦美
脳外科の入口広し冬大路 つとむ
水影の杭に降り立つ冬鴉 勝彦
鈴生りの柿や湖北の観世音 勢津子
免許証まだ返しかね秋深し 博女
俳誌 嵯峨野 五月号(通巻第550号)より