goo blog サービス終了のお知らせ 

水彩画と俳句の世界

自然を愛し、感性を大切にして「水彩画と俳句の世界」を楽しんでいます。

五月の詩(霜柱)

2025年05月05日 15時34分23秒 | 冬の俳句

      賤ヶ岳の見える酒蔵(滋賀県北部) F6 水彩

    霜柱

掘り出して児の掌へ霜柱  惟之

年の瀬の大混雑や二寧坂

どくろ巻く蛇は黄金や児の賀状

初暦表紙めくれば句友の名

元旦やお節に集ふ季語あまた

   誌上句会 兼題「梅」

特選

めでたさや源平咲きの梅香る  正道

撫牛の目は赤赤と梅真白  惟之

熊野灘一望にして梅の丘  靖子

梅東風や坂をジグザグ杖の父  歌蓮

秀逸

梅真白巫女の立ち居の清しかな  三枝子

梅咲くや偕老集ふレストラン  珠子

晩節の言の葉おもし梅白し  畔

坂道を靴音響く梅月夜  鈴子

梅が香や花街奥の天満宮  藤子

飛び交へる鳥のあまたや梅満開  紀久子

めぐり来し友の忌日や梅白し  利里子 

塀にゐる猫もあくびや梅ふふむ  博光

梅が香や菅公の歌口ずさみ  安恵

入選

梅の香を分け合ふけふのふたりかな  謙治

道真を祀りし神社梅開く  博女

咲き継ぎし妣の手植ゑの梅真白  洋子

探梅や話上手の後に就き  まこと

梅の花主人の居ない車椅子  光央

あれ梅と妻の呟きローカル線  幹雄

みほとけの近江の里に梅日和  静風

梅見山中腹ほどに宴開く  秀子

寂しさに故人会ひたし梅の香  悦子

落梅も飢ゑの足しなる昭和あり  稔

堀越のしだれ梅待つ散歩道  敏子

梅が香に命の風の沁み渡る  三郎

梅の寺坊ん様直ぐに庭仕事  啓子

梅園の名札は長く香の中に  洋子

平九朗天馬で駆けて梅手折り  秀穂

梅日和十年来の友と合ふ  ふみ女

ほつほつと梅の蕾のほころびて  信義

福島へ嫁ぎ十年梅便り  泰山

献梅の紅のほころぶ天満宮  美代子

梅便り今年も綴る日記帳  孝子

体操と梅見が朝の仕事かな  捨弘

    やまびこ(三月号作品から)感銘・共鳴ー私の好きな一句

ちゃんちゃんこ重き昭和を生き抜いて  爽見

ニコライの鐘や攻黄落舞ふ街に  勝彦

シャツ畳む小春の匂ひ包み込み  安恵

ほんたうに卒寿となりぬ神の留守  圧知

栗むいてむいて素直になる心  千代

冬の日や稚の目ときに如来の目  清次

波音のざつぱざつぱと冬来る  うみ

  俳誌嵯峨野 五月号(通巻第646号)より

 

 

  

 

 

  

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

四月の詩(雪の女王)

2024年04月02日 14時30分49秒 | 冬の俳句

                              睡蓮池(大津市大萱) F6 水彩                      

        雪の女王

クリスマス王雪の女見にゆく子  惟之

冬天や猿飛佐助ゐた城址

冬晴や弘法杉の幹太し

街道に火の見櫓や遠伊吹

夜叉ヶ池照らしてをりぬ冬の月

   兼題(雑炊)

特選

雑炊を炊く土鍋のひび古し  廣平

雑炊をカフェーで啜る日曜日  幹男

雑炊に溶かして啜るわだかまり ふみ女

秀作

世の隅に座り直して蟹雑炊  三枝子

一人身の朝昼晩のおじやかな  佑枝女

しあわせや両手に包む蟹雑炊  藤子

直箸の文化交流ふぐ雑炊  光央

妻ありて蟹雑炊のありがたし  泰山

雑炊やつつがなきをかみしめて  靖子

入選

病み上がり雑炊の味ためしつつ  博女

亡き友と語りし夜の締め雑炊  謙治

雑炊のひと匙づつを病む母へ  洋子

雑炊を囲む家族や外は雨  秀子

無事下りて仲間と囲む河豚雑炊  惟之

雑炊や夜回りの声彼方より  治子

雑炊の味に深みを残り野菜  万智子

年始めとて締めの雑炊うつくしく  稔

雑炊の出汁に畑へも笑顔かな   文夫

女子会のお開きそそと雑炊に  洋子

雑炊を吹いて猫舌まつろはす  秀穂

雑炊の椀あたたかき夕餉かな  翠

敗戦の雑炊を思ふ母の味  靜風

芋雑炊田舎銀座の里恋し  珠子

到来の具は大粒や牡蠣雑炊  知恵子

雑炊のふうふう吹いて過去しのぶ  喜美江

早朝の雑炊匂ふ亡き母の味  みどり

雑炊や誠実なまま生きてをり  紀久子

雑炊に昔語りのはじまりぬ  博光

おじや噛む乗せる三つ葉を好む夫  啓子

指白き女将の手際う雑炊  鈴子

卵黄を二つ落として締め雑炊  信義

円卓のこころ豊かに牡蠣雑炊  美代子

雑炊や万の神を祀る祖父  三郎

雑炊につまる感慨山のごと  つとむ

     やまびこ(二月号作品から)感銘・共鳴ー私の好きな一句

思い出に始まる母と子の夜長  鈴枝

表札に夫の筆あと秋深し  梅子

父母こゆる齢いただき今日の月  郁子

しなひつつ光をこぼす竹の春  爽見

ふり向けばまうしろに立つ秋の影  爽見

蓮の実の跳んで捨てたき過去のあり  三枝子

追伸に本音のありき秋の虹  怜

叱られた子供待ってる犬と月  方城

かえりみてこんなに生きて枯野人  憲勝

立話入れていれてと秋の蝶  布美子

川音は闇に吸われてちちろ虫  山女魚

烏瓜夫からもらひ生ける朝  文香

手に包む津軽のひかり林檎剥く  ひさ女

行く雲や山家の軒に干し大根  克己

   俳誌嵯峨野 四月号(通巻633号)より

  

 

 

  

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

四月の詩(浮寝鳥)

2023年04月01日 12時00分00秒 | 冬の俳句

 

                         三栖閘門の春(京都・宇治) 水彩 F8

     浮寝鳥

 朴落葉に目と口あけてムンクかな  惟之

 神農の虎のゐ並ぶ飾り棚

 障子貼る子らの声聞くラインかな

 冬の空ドーハの歓喜また涙

 緩やかな洗堰なり浮寝鳥

      誌上句会 兼題「水仙」

 特選

 水仙や戦火の野にも負けず咲け  つとむ

 水仙やこの手を借りる事ふえて  三枝子

 一輪の水仙の香に一人かな  靖子

 水仙の海の明るさ活けにけり  まこと

 出港の汽笛は三度水仙花  惟之

 父の忌や供花はいつも水仙花  秀子

 水仙や山の朝日の恣  治子

 手を添えて切る水仙の匂ひけり  廣平

 水仙の横たわりくるふるさと便  珠子

 秀作

 水仙花弁天池の小さき島  恵子

 玄関灯消せば水仙濃く匂ふ  清次

 水仙の真白き蕾はじけをり  東音

 水仙花しづくの一つ光をり  信義

 夕さりの日は水仙に残りけり  博光

 水仙を抱きて友への土産とす  紀久子

 風つれてうさぎの島や野水仙  京子

 水仙の香る古刹の上り坂  博女

 客を待つ壺に水仙溢れさせ  洋子

 子等去りて水仙匂ひはじめけり  美智子

 咲かす水仙よろこぶ人が側にゐる  稔

 野にあらば野の風受けて水仙花  みどり

    やまびこ(一月号の作品から)感銘・共鳴ーー私の好きな一句

 ふるさとへ各駅停車花すすき  東音

 白菊を活けて微かな風を知り  みどり

 余生とは今生きること大花野  京子

 山からの風の乗せくる秋の声  きぬ

 路地裏に背をさがす秋の暮  あや子

 十三夜たれもとほらぬ道に佇む  洋子

 縄文の音かも知れず瓢の音  隆を

 レクエイム聴けばちちろも鳴きやまず  怜

 ビル群へどかと居座る残暑かな  方城

 ままごとの母役は姉秋夕焼  布美子

 四方の風受けてあしらふ芒原  柱子

 贅沢は七輪で焼く新秋刀魚  孝一郎

 てのひらにとぼるる光今年米  多喜子

 木守柿空に孤高の風そよぐ  裕司

     俳誌嵯峨野 四月号(通巻621号)より

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

十二月の詩(夏の夕)

2022年11月29日 18時42分40秒 | 冬の俳句

          せせらぎ(下鴨神社) 8F  寺西千賀子

       夏の夕

 ふるさとの山へ草矢を打つ八十路  惟之

 猿が出た知らせを回す夏の夕

 蝉鳴くや透明な羽ふるはせて

 サイレンの鳴り渡る明け秋暑し

 参道にここよここよと茸群る

    誌上句会 兼題「秋祭」

 特選

 とりどりの野菜のオブジエ秋祭  洋子

 村捨ててゆけぬ顔ぶれ秋祭  廣平

 秋祭鳰が仏の水を飲む  みどり

 高張の提灯鋏の秋祭  博光

 家家に火の入り早し秋祭  秀子

 秀作

 御座船の行く瀬田川や秋祭  惟之

 谺sする峡の日和や在祭   藤子

 教会の小さき中庭秋祭  京子

 兵児帯の跳ねる土橋や秋祭  洋子

 裃を衣文掛より秋祭  胡蝶

 田園の忍者の里や秋祭  三郎

 お神酒所に見馴し下戸も秋祭  珠子

 父と娘と神輿を肩に秋祭  咲久子

 ふるさとの深き絆や秋祭  博女

 御神酒所に靴屋も詰める秋祭  まこと

 多摩に住み六十年や秋祭  翠

 少女らの見慣れぬ化粧秋祭  知恵子

 秋祭り幼馴染みを遠目にし  歌蓮

 御神輿は五六年生秋祭  秀穂

 亡き夫の笛の音色や秋祭  篤子

 一族の団欒の夜や秋祭  陽子

 コロナ禍に夜店一軒秋祭  祐枝女

 秋祭り亡母が口伝の秋祭  靖子

 献灯に亡き父の名や秋祭  三枝子

 勇壮に獅子のたてがみ秋祭  美智子

     やまびこ(十月号の作品から)感銘・共鳴ー私の好きな一句

 合歓の花優しい人になりにゆく  洋子

 吊橋を引つぱつてをり蜘蛛の糸  爽見

 日盛りをおろおろ賢治にはなれず  東音

 明け易しこの世に長居して飽きず  隆を

 紫陽花や話ふくらむ友寄りて  靖子

 薪能火色に鬼の照らさるる  優江

 菩提樹の花に弱音をしまいをり  東音

 夫看取る多忙中閑の春の月  千恵子

 憂き事を遥か彼方へ髪洗ふ  千恵子

 免許返上ハーレーは夏の夢  憲勝oか

 六月や魔文仁の丘に鉄の雨  ともはる

 なめくじにヒマラヤの塩ひとつまみ  布美子

 さよならと言えずほおばる青りんご  幸江

 白靴やこの健康のいくつまで  史子

 魂は天にあづけて昼寝かな  柾子

      俳誌嵯峨野 十二月号(通巻第617号)より

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

志賀の大仏

2022年03月31日 19時35分12秒 | 冬の俳句

                                              蹴上の桜(京都) 六号 水彩 

 志賀の大仏

湖へ向く北向き地蔵冬日差す  惟之

冬晴や京への山路道祖神

微笑の志賀の大仏冬ぬくし

山中の崇福寺跡紅葉散る

大空へ杵たかだかと餅を搗く

  誌上句会 兼題「寒卵」

特選

寒卵茹でて庭師の一服へ  洋子

父帰還は祖父の祈りや寒卵  三郎

いつしかに向き合ふ予後や寒卵  藤子

癒ゆる人の粥に添ふ色寒卵  博女

母の荷のお米に埋もれ寒卵  知恵子

秀作

湯治場の笊に五六個寒卵  文夫

恢復へと真心からの寒卵  陽子

寒卵の黄身に命の張りの濃し  三枝子

退院の母の白粥寒卵  咲久子

つひの間に八十路も遠く寒卵  佳子

幸せのオムレツ青き寒卵  恵子

弟妹の揃って割りぬ寒卵  紀久子

足湯することも日課や寒卵  靖子

誕生日にと割れず着く寒卵  啓子

寒卵いとしと思ふこはれるな  万智子

親に子につつがなき日を寒卵  美智子

奇想など得むと夜に割る寒卵  秀穂

寒卵思案に借りる老いの知恵  珠子

もう八十だ八十や寒卵  篤子

コツと割り今日の始まる寒卵  洋子

輪島箸にとろろ混ぜゆく寒卵  加代子

鳥小屋へこはごはそっと寒卵  久代

戦時下の母の割りたる寒卵  秀子

前掛けに被ふ見舞ひの寒卵  まこと

思ひ切り投げてみたきや寒卵  廣平

入選

寒卵トンガに火山噴火の日  稔

高高と明けの鶏鳴寒卵  惟之

あけぼぼの明りに透かし寒卵  翠

塗椀にとろり透けゆく寒卵  洋子

寒卵ぽろりと放し飼ふ畑に  みどり

きのうけふ僧侶のすする寒卵  克彦

籾殻に迷つて選ぶ寒卵  鈴子

皿に盛る下宿の朝の寒卵  富治

卓上をころがる音や寒卵  信儀

籠りたる親の情愛寒卵  捨弘

寒卵割りたる妻や子と吾に  和男

寒卵昼餉に一つおとなりへ  祐枝女

中流の生活ありがた寒卵  美代子

なつかしや母の情けの寒卵  静風

滋養てふ言葉懐かし寒卵  治子

体重の減りゆく我や寒卵  敏子

  やまびこ(二月号作品から)感銘・共鳴ーー私の好きな一句

十三夜日本一の妻は亡く  爽見

コスモスの風や畝傍へ香久山へ  洋子

煙なき暮らしに慣れてさんま焼く  アイ子

小鳥来て賑やかになる一軒家  和子

話また昭和へもどる温め酒  鈴枝

妻のこゑまたきこえくる夜長かな  爽見

野路菊や道なつかしく母の里  洋子

茶の花や卒寿を越えて見ゆるもと  梅子

後継ぎのなき田や終の落し水  勢津子

穭田の轍にひかるよべの雨  通幸

繰り返すピアノの曲や萩の雨  みどり

ただいまと呟き秋を灯しけり  布美子

まあええかそれも我なり烏瓜  小鈴

さび鮎や峡にせり出す発電所  明子

いつしかに支え合ふ身やとろろ汁  和男

セーターの一目一目は母の息  悦正

  俳誌嵯峨野 四月号(通巻第609号)より

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

四月の詩(冬うらら)

2021年03月29日 09時29分12秒 | 冬の俳句

 

            明智越え(京都市亀岡) 50号 水彩  

      冬うらら

  今庄の卯建卯建よ柿たわわ   惟之

  冬うらら駅のベンチに座すゴジラ

  冬至風呂子らと遊んだ浮寝かな

  蜜避けて煤払いなり御影堂

  花八つ手朝日に映えて八十路へと

     誌上句会 兼題「野焼」

  特選

  翔けるもの追ふかに野火が挙がりけり   稔

  田の神へ畑の神へ野火一柱   清次

  野焼あとどこか芽の出る音がして   静風

  野を焼ける抜きさしならぬ炎のあがり   三枝子

  蒲生野の野焼が覆ふ比良比叡   惟之

  秀作

  縄文の石の遺構や野火赤し   恵子

  遠巻きの子ら躁がせて野火猛る   洋子

  松明をかざす村長野焼煤   京子

  風なくば風をたたせて野火走る   篤子

  故郷は箱根の麓野火走る   佳子

  てらてらと頬なめ過ぐる野焼風   まこと

  境界に仁王立ちして野火守る   和男

  遠野火の焔に追われたる鴉かな   みどり

  根こそぎはせず火の走る阿蘇野焼   啓子

  野焼して空の広さのどこまでも   紀久子

     やまびこ(二月号作品から)感銘・共鳴ーー私の好きな一句

  老いて尚習ふ日日あり鶏頭花   惠弘

  大役を終へし案山子のすまし顔   テル

  秋深しシチューをぷくりぷくり煮る   遼子

  夕暮れの静寂まとひ曼殊沙華   爽恵

  咲きつくし命傾く秋の薔薇   治子

  小春日や古びし法衣つくろひぬ   惠弘

  山の日の行きつく所ななかまど   道子

  廃校の校歌を歌ふ秋思かな    淑子

  引き直すスタートライン秋澄めり   布美子

  名月や母屋へつづく石畳    鈴子

  麦とろや柱に志士の刀疵    謙三

    俳誌 嵯峨野 四月号 (通巻597号より)   

  

  

  

  

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

三月の詩(木之本宿)

2021年02月26日 14時23分30秒 | 冬の俳句

 

             北野天満宮(2019年3月)

     木之本宿

  山霧のゆるりと流る賤ヶ岳   惟之

  木之本の牛馬市跡初時雨

  鐘楼の鐘は打てずに冬に入る

  漆黒の戒壇巡り冬の銅鑼

  軒下の杉玉ずしり冬めける

     誌上句会 兼題「寒」

  特選

  寒雀丸くなり尚丸くなり   万智子

  なかんずく青信号の灯の寒し   清次

  寒鯉寒鯉釣りも動かざる   三枝子

  曳き売りの距離を計らふ寒鴉   京子

  寒の星動く生きよと亡妻の声   洋子

  秀作

  稚魚遊ぶ底に動かぬ寒の鯉   惟之

  寒禽の風強ければ強く鳴く   篤子

  ちぎれ雲寒空を来て海へ出て   つとむ

  夕厨不意にヒューズのとぶ寒さ   恵子

  寒日和児に小庭の石に猫の来て   紀久子

  嵯峨野の夜の竹打つ音や寒に入る   円町

  飼い犬の聞き耳立てる寒さかな   里子

  走り根に浮くアスファルト寒日和   葵堂

  寒き夜の母にせがみし民話かな   捨弘

  寒風を斜めに受けて六地蔵    信儀

      やまびこ(11号作品から)感銘・共鳴ーー私の好きな一句

  赤とんぼ地蔵の膝がほんに好き   素岳

  衣被好みて歳を重ねけり    喜志子

  還らざる遺骨啾啾雁渡る    ともはる

  少年がやや大人びる九月かな   ひさ女

  平凡に日日を老いゆき秋ざくら   惠弘

  むさしのの秋は水より芒より   東音

  右読みの屋号の町や秋灯し   東音

  恙なき今日を惜しめとちちろ鳴く   きぬ

  蟲の声ちつと途切れて新聞来   圧知

  満月の裏にあるやも能舞台   怜

  子の古き机に燈火親しめり   近子

  鈴虫のこゑのふくらむ明けの土間   布美子

  友逝きてはやひととせや夏深し   悦子

  小流れの果ては海原秋気澄む   正弘に

  太刀魚のくの字くの字に釣られけり   睦美

  花すすき活ければ風の生まれけり   古奈

      俳誌 嵯峨野 三月号(通巻596号)より

  

        

           

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

四月の詩(ゆりかもめ)

2020年03月24日 10時29分59秒 | 冬の俳句

 

                         赤いプラムとパン  F6  水彩 2010年              

      ゆりかもめ

 飛行雲にのってサンタは還るとや   惟之

 年の瀬や似顔掲げて歌ふ第九

 巫女の舞ふ里の神楽や笛鼓

 出港のデッキに群れるゆりかもめ

 雪囲終へて昇りぬ湯のけむり

     誌上句会 兼題「湯ざめ」

 特選

 吾子とゐて宇宙を語る湯ざめかな  三枝子

 あと一句封するまでの湯ざめかな  富治

 耳掻くや湯ざめの膝に子をのせて  ひさ子

 透きとほる波を見てゐる湯ざめかな  勝彦

 湯ざめして見えぬ会話の長電話  秀子

 秀句

 時忘れくくる名簿や湯ざめして  博女

 推敲の決まらぬ座五や湯ざめして  研二

 笑ひ声湯ざめを知らぬ孫子らや  美樹

 釘付けの逃亡ニュース湯ざめして  万智子

 湯ざめして今日振り返るボールペン  珠子

 星の下語り明かして湯ざめかな  胡蝶

 黙し読む子の絵日記や湯ざめして  みどり

 十時打つ柱時計や湯ざめして  紀久子

 迷路なる宿の廊下や湯ざめして  章代

 湯ざめして話も尽きず里帰り  加代子

 スターウォーズごっこに湯ざめ童どち  惟之

 久に逢ふ友と旅寝の湯ざめかな  篤子

 風音や湯ざめ案ずる夫は亡く  保子

 島の湯の星降る中の湯ざめかな  京子

 湯ざめして母の形見を羽織りけり  佳子

 町の灯のゆらぐ川面や湯ざめして  洋子

 湯ざめしてやうやくマウスオフにせり  秀穂

 新聞を深く読みゆく湯ざめかな  洋子

 メール受け湯冷めの覚悟の空見上ぐ  啓子

 湯ざめして推理小説終はりまで  信義

      やまびこ(二月号作新から)感銘・共鳴ー私の好きな一句

 去り難き夕日の花野老ゆるとは  東音

 尼寺の仏小さし貴船菊  素岳

 ざわめいてゐそうで靜か芒原  喜美恵

 秋扇ひざにたたみて通夜の席  きぬ

 ねこじゃし雨はいやよと首をふる  きぬ

 杉箸に残る柚味噌の香りかな  勝彦

 郷の秋語り尽くせぬ父母のこと  勢津子

 湖底へとつづく村道鳥渡る  篤子

 ひとつづつ音を違へて木の実ふる  みどり

 杉玉の揺るる酒蔵秋澄めり  紀久子

 夫の臥す窓辺も照らせ眉の月  洋子

 ギター持つ案山子を囃す雀どち  良精

 棚田いま突つと火を噴く曼殊沙華  邦弘

 仲直りするか住まいか赤のまま  朋子

 温め酒老ひの正論孤立せり  廣平

 白糸の滝音さやに秋の声  龍策

 虫の音や父の人生語るとき  鈴枝

 鶏頭の頭小突いて下校の子  素岳

 雨戸繰る音にも毀れ金木犀  洋子

 草虱まみれ幼のかくれんぼ  久江

 コスモスや一人暮らしも少し馴れ  敏子

 古希と喜寿二人で祝ふ茸飯  惟之

 秋の歩や地図と磁石と万歩計  捨弘

 台詞なき菊人形の主人公  廣平

     俳誌嵯峨野 四月号(通巻第585号)より

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第九を歌う

2019年12月23日 17時35分18秒 | 冬の俳句

                                ベートーヴェン

 ベートーヴェンの交響曲第九 第4楽章「歓喜によせて」を24人のメンバーで歌いました。練習は7月から12月までのべ6回。第257楽章から330楽章までをNHKのビデオをスクリーンに映し、楽しく合唱しました。歌えるかな やってみようを合言葉にして歌うことができました。

  楽聖の似顔を掛けて歌う第九   惟之

  

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

五月の詩(稲荷山)

2019年04月29日 05時04分43秒 | 冬の俳句

 

                   英国庭園(大津市)

     稲荷山

  鳶舞うて大河合流初御空   惟之  

  赤赤と千本鳥居の淑気かな

  五福餅食べて家族と稲荷山

  逆光の冬日波打つ湖辺かな

  次次に来ては湖に向くゆりかもめ

      誌上句会 兼題「海苔」または「春浅し」

  春浅し魚拓の墨の匂ひゐて  三枝子

  春浅き海辺に立ちて空仰ぐ  優

  海苔焙る香りに食のすすみけり  たかすけ

  児の声や海苔で包みし握り飯  初枝

  入園のグッズ作りや春浅し  惟之

  百度踏む父と少女や春浅し  洋子

  焼海苔に海の香青し朝の膳  まこと

  春浅し鉢植えの向き変えにけり  よう子

  地海苔とて高値をつけて恵方巻  稔

  春浅し孫の成績気にかかり  テル

  春浅し売地に杭の打たれゐて  祐枝女

  店先に猫の座布団春浅し  美智子

  春浅しされど賑はふ京の街  博女

  磯波にさはぐ光や春浅し  靖子

  さざ波に鳰の湖春浅し  静風

  草原の茫洋として春浅し  珠子

  春浅し歌手願望の絵馬揺れて  美枝

  海苔炙る酢飯のできる頃合ひに  秀子

  メールにて返す返事や春浅し  十二朗

  春浅きマラソンランナー古都駆けて  泰行

  海苔炙りついと校歌に海苔魚目  啓子

  無造作に干さし海苔や道の横  捨弘

  海苔味の赤穂の塩や梅真白  ひさ子

     やまびこ(三月号の作品から)感銘・共鳴―私の好きな一句

  この人と老いゆく幸や落葉踏む  鈴枝

  音立てて足踏みミシン窓小春  ひさ子

  オリオンを見上げ勇気の塾帰り  緋莉

  冬の朝箸置くやうに母逝きぬ  怜

  ひとつづつ風の甘さの吊るし柿  静風

  出仕舞の煙残して村眠る  きぬ

  内子座の奈良の冷えへ下りにけり  勝彦

  木漏れ日を縫ひつつゆけり冬の蟻  勢津子

  本音出る寄せ鍋の貝ぱつと開く  素岳

  鳴きながら家の真上を鶴の行く  志津

  冬紅葉逢えぬ人またひとり増え  東音

  なにげない母の一言榾明り  勢津子

  担がれて案山子の役も了りけり  みどり

  包丁も逃げる蒟蒻冬真近  繁子

  どの家も苦楽こもごも十二月  悦子

  吾亦紅何処か気の合う干支同士  アイ子

  柿落葉肩を抱き合ふ道祖神  信義

     俳誌 嵯峨野 五月号より(通巻574号)  

 

 

  

  

  

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする