水彩画と俳句の世界

自然を愛し、感性を大切にして「水彩画と俳句の世界」を楽しんでいます。

九月号の詩(マーガレット)

2024年08月30日 17時46分54秒 | 夏の俳句

            卓上の朝 8号 水彩

   マーガレット

耳飾りしてゐる小犬夏はじめ  惟之

大輪の薔薇の数数遠汽笛

筆談と手話の茶房や麗らけし

絹莢を今朝も摘みゐて五つ六つ

マーガレット子の手作りの花器に活け

   誌上句会 兼題「植田」

特選

歌垣の山を田毎に植田かな  珠子

山間のしづもる植田八ヶ岳映す  翠

電線のすずめ映りし植田かな  敏子

山合の植田に月の渡りゆく  利里子

秀作

決意さへ映す千枚能登植田  謙治

植田中盗人歩きの鷺一羽  廣平

ふみゆけば生家にとどく植田道  博女

変はりゆくふる里淋みし植田かな  静風

手庇に植田の機嫌観てをりぬ  洋子

町中に貸農園の植田かな  鈴子

忘れじの駅や姥捨植田道  啓子

各停に植田広がる太宰の地  東音

入選

田を植ゑて水の匂の濃くなりぬ  三枝子

吹く風の田植労ふ色のあり  まこと

早苗田の轍に足を取られけり  光央

テニスボール浮かび氏ままの植田かな  幹男

比良見上げ子ら賑やかに植田かな  惟之

水車より落ちる水音植田まで  みどり

背の山うつし植田や風そよぐ  祐枝女

棚田はや植田となりて山の影  靖子

植田かな条の狭間に雲を置く  稔

水ありて水から映す植田かな  征子

親も来て過疎の植田の草を抜く  泰山

百人の手による植田漫然と  洋子

青青と学習田の植田かな  秀輔

水満ちる植田の上に星満ちる  文夫

俯瞰してモザイクごとき植田かな  藤子

貸し田園個性の光る植田かな  倫子

踏切の警報音や大植田  紀久子

さざ波の立ちて夜明けの植田かな  ふみ女

連峰の影の眩しき植田かな  信義

遠目にも風景全て植田かな  悦子

逆しまに山の溶け込む植田かな  美代子

近江富士へ続く平野や植田風  三郎

手庇の中を植田の並びをる  博光

ふるさとへ車窓植田水あかり  和夫

三十年過ぎて嫁の座植田風  歌蓮 

園児らの手になる植田みづみづし  選者

   やまびこ(七月号作品から)感銘・共鳴ーー私の好きな一句

白椿息吐くやうに落にけり  勝彦

何するも母の笑顔や梅香る  鈴子

車椅子の姉にかざして春日傘  優子

じゃんけんに負けてふらここ押してをり  きぬ

桜鯛皿はみ出して誕生日  鈴枝

反抗期鰊の骨をとってをり  勝彦

こだはりも生きる力や梅白し  梅子

月おぼろ古刹の奥の能舞台  仙命

春風を句帳に挟む散歩道  胡蝶

菜の花の丘駆け抜けて妻逝けり  捨弘

耕して無心の時を得てゐたり  秀輔

春愁や亀一匹の甲羅干し  つとむ

たぽたぽと春潮寄せる浜離宮  道子

   俳誌嵯峨野 九月号(通巻638号)より

 

 

 

 


 

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