水彩画と俳句の世界

自然を愛し、感性を大切にして「水彩画と俳句の世界」を楽しんでいます。

三月の詩(水打つ蜻蛉)

2024年02月29日 17時22分41秒 | 秋の俳句

       開設110年の東京駅 8号水彩

     水打つ蜻蛉

次次に水打つ蜻蛉山の池  惟之

津田梅子を印刷中や秋の暮

菰巻いていろは松なり彦根城

結ひ上げて七五三なり椿山荘

木之本の地蔵菩薩や初時雨

    誌上句会 兼題「初時雨」

特選

感染症ひとけたへりし初時雨  博女

イマジンの聞こゆ公園初時雨  光央

仮縫ひの針の軋みや初時雨  三枝子

初時雨こんにゃく色の武相荘  秀輔

秀作

発つ子等の尾灯潤ます初時雨  稔

初しぐれ漆の椀の出汁の味  文夫

竹林の中の明るさ初すぐれ  博光

これよりは西国街道初時雨  鈴子

風の音舟軋む音初しぐれ  みどり

初時雨昭和の路地をぬらしけり  信義

初時雨俳句の道の果てもなし  珠子

入選

窓叩く小さき手のひら初しぐれ  廣平

初時雨背に気配の夜坐かな  謙治

待つ人の遅れ気になる初しぐれ  洋子

初時雨無断で借りる寺の門  まこと

大比叡のケーブル待や初時雨  知恵子

軒先に犬は遠見の初時雨  幹男

朝市に出会ひの村や初時雨  藤子

初時雨ちょつと寄道したやうに  ふみ女

初時雨比叡の道を修行僧  靜風

山里の茅葺屋根に初時雨  裕枝女

初時雨いろ増す京の四方の山  秀子

故郷は無人駅なり初時雨  紀久子

晩鐘のしづかな里や初時雨  靖子

嵯峨野路の童地蔵や初時雨  惟之

寺前の片手拝みや初時雨  富治

芭蕉像の菅笠ぬらす初時雨  敏子

感情をぽつりとこぼす初時雨  悦子

はじめてのペットを迎え初時雨  倫子

孫作るカレーの味し初時雨  翠

マンホールの蓋に市の花初時雨  美代子

庭しかフエードアウトの初しぐれ  啓子  

異国語の飛び交ふ渋谷初時雨  洋子

明け方の土の湿りや初時雨  つとむ

    やまびこ(一月号作品から)感銘・共鳴ーー私の好きな一句)

たんたんと流る暮らし走馬灯  久子

花芒さみしき時は野を歩け  みどり

肩車の小さき手の捥ぐ林檎かな  咲久子

コスモスの乱れに山の動きけり  東音

鰯引く水平線を曳くごとく  勝彦

稲の花憲法九条ありてこそ  爽見

赤とんぼ小首かしげて止まりけり  悦子

老いて尚飽きぬこの里合歓の花  和江

寝入る児の薄き爪切る夏の夜  久代

オラショ聴く島の教会秋日和  藤子

秋夕焼乳房ひきずり牛帰る  泰山

   俳誌嵯峨野 三月号(通巻第632号)より

 

 

  

 

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二月の詩(こぼれ萩)

2024年02月01日 10時58分14秒 | 秋の俳句

                                             懐かしい林檎たち 6号 水彩

      こぼれ萩

穏やかに上る八十路やこぼれ萩  惟之

秋天へ祈る平和や慈母観音

秋寒や一億円の束重し

秋の宵ラクビ―を見てバレー見て

十歳の孫が三人秋うらら

      誌上句会 兼題「浮寝鳥」

特選

クレーン車伸びゆく中洲浮寝鳥  洋子

浮寝鳥はやくも一陣来て睦む  靖子

長旅を終へて浮寝の鳥の群れ  安惠

心置きなく浮寝鳥数へをり  東音

さざ波の揺れにまかせて浮寝鳥  三枝子

秀作

山迫る余呉の湖浮寝鳥  清次

小魚を追ひし辺りや浮寝鳥  治子

ただ一羽湖岸離るる浮寝鳥  翠

浮寝鳥それぞれそっぽむいてをり  文夫

群れゐても一羽一羽の浮寝鳥  廣平

子守唄漏るる病窓浮寝鳥  謙治

浮寝鳥淵に夕闇迫りけり  洋子

浮寝鳥寄り来てやすむ浮寝鳥  博女

湖の波に抱かれ浮寝鳥  鈴子

ありなしの風にも揺れて浮寝鳥  賀代

大池の一隅占めて浮寝鳥  佑枝女

晩節の吾に等しき浮寝鳥  珠子

暮れなずむ堰に群れゐる浮寝鳥  惟之

陣形を変へ浮寝鳥風任せ  まこと

神の池はなれて四五羽浮寝鳥  紀久子

内堀の夕日ゆるるや浮寝鳥  敏子

入選

櫓の揺れに合わせ舟漕ぐ浮寝鳥  光夫

漂いて夢の最中浮寝鳥  泰山

目つむりて遠き過去追ふ浮寝鳥  みどり

薄日さす都会の川の浮寝鳥  幹男

浮寝鳥静謐の世を願ふかに  秀輔

星こぼる湖のしじまや浮寝鳥  秀子

余生にも波風ありて浮寝鳥  靜風

浮寝鳥久美浜湾てふ里の浦  稔

身軽さを羨ましとも浮寝鳥  美代子

夕光に向きさだまらぬ浮寝鳥  藤子

母恋し夕日の湖の浮寝鳥  三郎

浮寝鳥写生の我もまどろみぬ  啓子

浮寝鳥の影やまたたく夕の星  信義

東雲や尾羽振りをる浮寝鳥  博光

    やまびこ(十二月号作品から)感銘・共鳴ーー私の好きな一句から

武蔵野にふくらむ入日橋涼み  東音

走馬灯みんな回ってみんな影  利里子

さらさらと風の文字生む稲田かな  廣平

昼寝覚水のやうなる夢のあと  梅子

蚊帳に入る作法うるさき母なりき  方城

初秋の波に漂うごと二度寝  洋子

西瓜切る十の瞳にみつめられ  そよ女

まつさらの風と山会ひぬ今朝の秋  耕

原爆忌心ひとつの一分間  小鈴

    俳誌嵯峨野 二月号(通巻631号)より    

 

 

 

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