水彩画と俳句の世界

自然を愛し、感性を大切にして「水彩画と俳句の世界」を楽しんでいます。

六月の詩(春の雪)

2023年05月31日 13時02分42秒 | 春の俳句

           大津港のタグボート 40号 水彩 

       春の雪

赤き面かぶり追儺の下校の子  惟之

山寺へ続く丁石寒明くる

湖のぞむ二の丸跡や風光る

シャンシャンを見送る人や春の雪

表紙絵の赤きベンガラ春日陰

    誌上句会 兼題「桃の花」

特選

夕飯は夫の手料理桃の花  安恵

桃の花復興の地に根を張りぬ  泰山

句碑一基野辺に立ちたり桃の花  みどり

人生は七十からや桃の花  捨弘

屋敷神まつりし生家桃開く  藤子

癒ゆる友囲んで桃の花畑  東音

秀作

通院も一日の旅や桃の花  翠

桃の花バレーを習ふ兄妹  惟之

里染むる十万本の桃の花  靖子

桃の花桶に束ねて売られをり  三枝子

招かれて桃の節句の十畳間  珠子

ありし日の友の笑顔や桃の花  博女

ふるさとはあの道この道桃の花  洋子

愛らしき赤子の指や桃の花  鈴子

子が選ぶ田舎暮らしや桃の花  京子

始めての制服写真桃の花  清次

入選

桃祭りひそと聞こえし郷なまり  謙治

一輪に人佇ませ桃の花  篤子

トンネルの長さと歩み桃の花  啓子

笛吹の全山染める桃の花  秀子

青空の甲斐路に続く桃の花  三郎

一本や狭庭しめたる桃の花  初枝

公園の夜のブランコ桃の花  博光

お澄ましの童と活ける桃の花  洋子

不動堂へバイパス往くに桃の花  稔

幼子の手折てかざす桃の花  敏子

訪ひくれし久に逢ふ友桃の花  靜風

甲府盆地眼下一面桃の花  加代子

山間の茅葺屋根や桃の花  信義

桃の花あしらひごと葉の少し  美代子

桃の花咲きて彩る狭庭かな  祐枝女

甲斐路きて桃源郷や桃の花  秀輔

水音の近づく桃の花の里  美智子

   やまびこ(四月号から)感銘・共鳴)私の好きな一句)

米寿越す我に夢あり日記買ふ  千恵子

ままごとのかかあ天下や木の実飯  方城

玄関の大きなこけし雪の宿  そよ女

恵弘尼の太き筆跡山眠る  洋子

病みて沁む恩や感謝や冬ぬくし  勢津子

独り居の灯を煌煌と毛糸あむ  三枝子

風を呼ぶ力残して枯尾花  篤子

LPのかすかなノイズ霧の夜  憲勝

焼藷を割って正論言わずおく  憲勝

のびる波たたむ波あり島小春  布美子

撫で肩をまたすべり落つショールかな  布美子

捨てきれぬアルバム繰りて小春の日  万智子

眠らざるもの懐に山眠る  幸江

叱る人いま誰も居ず冬銀河  富治

表札のそのまま空き家石蕗咲きぬ  節子

樅の木にも台詞のありて聖夜劇  雄彦

捨てるには惜しき端切れよ一葉忌  郁子

日溜りの母ちやん床屋年の暮  博光

    俳誌嵯峨野 六月号(通巻623号)より

 

 

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