北山田漁港(草津市) 8号
さくらんぼ
七年の歳月実りさくらんぼ 惟之
朝日差す葉裏に百顆さくらんぼ
妻に摘む朝の一盛さくらんぼ
さくらんぼ掌に摘みお裾分け
ネット越し小鳥も突くよさくらんぼ
誌上句会 兼題「星月夜」
特選
カルザスのチェロの響きや星月夜 惟之
鯉跳ねて川面におどる星月夜 みどり
釣り船の連なる灯かり星月夜 東音
ベドウィンの露営のテント星月夜 清次
一張りのテントに親子星月夜 咲久子
秀作
賜はりし恩師の陶画星月夜 博女
星月夜あした佳きことある予感 珠子
貰い湯のあの日も遠く星月夜 洋子
潮騒の聞ゆ旅寝の星月夜 恵子
高原の音楽堂や星月夜 翠
クレーン伸ぶビルの屋上星月夜 洋子
戦争と平和読了星月夜 鈴子
田の中の一本道や星月夜 まこと
みやげ持ちこれから空路星月夜 祐枝女
十度目の富士八合目星月夜 捨弘
やまびこ(八月号の作品から)感銘・共鳴ー私の好きな一句
鐘朧力抜くと謂ふことも 勝彦
八十年の嘘の数数桜咲く 隆を
螺子蒔けばまだ鳴る時計昭和の日 洋子
二輪草語り合ふごと咲く山辺 治子
実家といふタイムカプセル鳥雲に 洋子
えいえいおふ拳を上げてわらび出づ 古奈
雨音の規則正しや柿若葉 志津
囀りの空は真青や風日和 懋
のぞきをる仏のまなこ藤の棚 博女
追伸に本音を少し春灯 方城
幼子の息七色にしゃぼん玉 紀久子
卒業の日の一礼や下宿の子 利里子
藩邸の一の間二の間風薫る 節子
春光をこぼして回る水車かな 邦弘
末の子も村を出てゆく桃の花 邦弘
一人居の安らぎもあり春炬燵 和江
日の永し疲れを知らぬ児の相手 順子
川端の花満開や風に酔ふ 早苗
俳誌 嵯峨野 十月号(通巻第603号)より