龍谷大学瀬田学者で戦時下の瀬田国民学校の小学5年生(担任西川綾子教諭)が描いた絵日誌が公開された(6月13日から6月23日)。大津市歴史博物館に保管されていたわら半紙の絵日誌191枚は、私をタイムマシーンに乗せて、戦中の昭和19年4月から20年3月の60余年前の世界に運んでくれた。印象を17文字に詠んでみた。
戦争の影濃き絵日誌夏の展
桜咲く建部神社の祭かな
国のため誓いも新た始業式
巣作りの藁を銜えぬ親燕
憎らしき頭上に敵機黒き影
実験の教材黒ぐろ瀬田しじみ
天長節の唱歌練習しかる声
楽しみやえんどう豆の試食会
蜂取りや道具の一つかんかん帽
大根を遺影に供え授業かな
壮行式終えて下校や麦の秋
麦刈りや「かかえ刀」の薙刀(なぎ)の形
苗代の虫取り数え50匹
疎開の子足元軽き夏衣
瀬田の子のモンペ姿の草鞋かな
草取りの子らに手を振る汽車の人
遠足で模型飛行機飛ばしおり
七夕の笹に飾りぬ兵隊さん
にこにこと胡瓜の花や学習園
女の子田草抱える素足かな
秋の朝日の出の刻を計りおり
芋蔓と唐辛子炊く試食会
警報や頭巾の奥の冬めがね
雪の日の「敦盛の最後」の授業かな
湯たんぽや甘酒作りの麹菌
左義長や伊勢神宮に焼夷弾
麦の芽のぐんぐん伸びて敵機来る
玉入れは敵機落しの運動会
運動会胸ドキドキと一等賞
教室の国語の時間菊一輪
稲すずめ飛びて案山子も風揺れる
裁縫の針の運びや赤い糸
冬の日や東京・大阪大空襲
戦争の記憶展
冬の夜の灯火管制深き闇
オクラホマ轟沈記事のセピア色
鍋囲む出征前夜の子ら若き
終戦のあとの戦死の多かりし
惟之