水彩画と俳句の世界

自然を愛し、感性を大切にして「水彩画と俳句の世界」を楽しんでいます。

六月の詩(糺すの森)

2024年05月28日 10時06分03秒 | 春の俳句

               赤い四阿のある森(栗東市安養寺)F8 

      糺すの森

霜焼けて幼に還る八十路かな  惟之

積雪の庭へ迷はず飛び込む子

三井寺の円空仏や春立てり

合格の笑顔のライン届きけり

春浅き糺すの森を妻とゆく

     誌上句会 兼題「鳥帰る」

特選

翳となり光となりて鳥帰る  三枝子

鳥帰る備前の山の皆まろし  紀久子

偕老の鍬振る上を鳥帰る  泰山

鳥帰る沖に巨船の居座りて  靖子

鳥帰るどこから見ても古墳山  憲勝

秀逸

残されし二羽は番か鳥帰る  洋子

鳥帰る切なきまでに首伸ばし  廣平

天心に声くぐもりて鳥帰る  藤子

鳥引くや運河に光溢るる日  幹男

病院の池に餌台鳥帰る  翠

転校の最後の授業鳥帰る  倫子

鳥帰る亀に別れを告げもして  つとむ

入選

静寂にはおのが呼気のみ鳥帰る  謙治

見上げれば比叡を越えて鳥帰る  博女

災害の街を残して鳥帰る  光央

鳥帰る田舎訛りの懐かしく  まこと

比良山に見えつ隠れつ鳥帰る  惟之

鳥帰る雲に入りゆく比叡山  靜風

鳥帰る列にはぐれし鳥一羽  万智子

鳥帰る今日から空を広くして  ふみ女

夢に見る生家懐かし鳥帰る  敏子

鳥帰る行くあても無き鳥も又  稔

カリヨンの遠音はるかに鳥帰る  祐枝女

鳥帰る絆深めて父祖の地へ  秀子

捨て難き縁深めて歳還る  悦子

安曇野の空四五羽づつ鳥帰る  秀輔

風かよふ多摩の河原や鳥帰る  洋子

鳥帰る飛行機雲をすぢかいに  文夫

東海の朝の光や鳥帰る  克彦

停戦の願いとどけよ鳥帰る  信義

防空監視哨跡や鳥帰る  三郎

鳥帰る入日の雲の流れをり  博光

引鳥や日に三本のバス無人  啓子

引鴨の入日横切る日本海  和夫

また来ると惜しみ旋回鳥帰る  歌蓮

鳥帰るたれかどこかで待つやふに  珠子

鳥帰る近江の湖のさざなみに  鈴子

小紋のごと行儀藪に鳥帰る  美代子

    やまびこ(四月号作品から)感銘・共鳴ーー私の好きな一句

一人居の灯してよりの寒さかな  勝彦

地に返る軽さとなりて落葉降る  紀久子

無人駅一人の下車の咳ひとつ  爽見

数へ日の一日は母に逢ひにゆく  優江

自動ドア出て寒風平手打ち  研二

枕元母の愛せし寒椿  裕世

数え日を数へて何もせずにゐる  優江

みかん剥く孫七人の真ん中へ  優江 

大晦日心に響く第九かな  和子

ひたすらに散る山茶花を見てひとり  鈴枝

幾年を巡りて今日の落葉踏む  勝彦

風音も味の一つとおでん鍋  爽見

顔見世やまねき見上げてより入る  洋子

       俳誌嵯峨野 六月号(通巻第635号)より 

 

 

  

 

 

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