水彩画と俳句の世界

自然を愛し、感性を大切にして「水彩画と俳句の世界」を楽しんでいます。

十一月の詩(万福寺)

2022年10月31日 15時27分53秒 | 夏の俳句

                   秋の訪れ 50号 三浦武弘(大津市)

      万福寺

 林間に四葩波打つ三室戸寺  惟之

 本堂へ鐘を打たばや時鳥

 梅雨晴れて一駅歩き万福寺

 大寺の門を叩かば隠元忌

 涼しさの廊下に下がる魚版かな

    誌上句会 兼題「渡り鳥」

 特選

 次つぎと湖北の山を渡り鳥  惟之

 宇和海のだるま夕日や鳥渡る  京子

 糸底を切りて一息渡り鳥  秀穂

 旋回し列を正して渡り鳥  三枝子

 この星に国境はなし渡り鳥  三郎

秀作

 あの山を越えれば湖よ渡り鳥  紀久子

 比良比叡越えて降りくる渡り鳥  博女

 この湖の水の匂よ渡り鳥  治子

 渡り鳥仰げば遠く海の音  美智子

 鳥渡る茜空なる日本海  和男

 斑鳩の三塔昏れて鳥渡る  洋子

 日章旗揚ぐる都庁鳥渡る  珠子

 鳴き声の一塊となる渡り鳥  博光

 県境の八ケ岳大橋や鳥渡る  翆

 リーダーの一声高き渡り鳥  詔義

 鳥渡る皆の信じるその道を  秀子

 海峡はこころして飛べ渡り鳥  まこと

 船旅を友とデッキに渡り鳥  文夫

 行く雲に道をゆずられ渡り鳥  篤子

 風に告ぐこの小川よと渡り鳥  篤子

 庭に来し紋をつけたる渡り鳥  胡蝶

 藍深むうぶすなの空鳥渡る  洋子

 長旅を休めるお濠渡り鳥  捨弘

 農終へ仰ぐ西方鳥渡る  泰山

 天空の城址よぎる渡り鳥  藤子

    やまびこ(九月号作品から)感銘・共鳴ーー私の好きな一句

 捩花を咲かせて婆の反抗期  三枝子

 風薫る心の通ふ人のゐて  和子

 夏の雲摩文仁の丘の鉄の雨  ともはる

 道おしへゆっくり来いよとふり返る  きぬ

 ありし日の妻の気配を白団扇  爽見

 薫風や男手前の足袋袴  洋子

 師と子らの鼓のひびく宵若葉  洋子

 山びこの声やはらかき若葉山  久子

 まだ奥に人住む気配山つつじ  隆を

 切り株の千年の黙鳥雲に  篤子

 米一合八十八夜の水で研ぐ  篤子

 どう食ぶる土筆三本子の土産  方城

 菖蒲湯の菖蒲の長さもてあまし  鈴子

 つれだちて越前平野麦の秋  悦子

 山に来て山の声聞く暮春かな  京子

 麦秋や日輪赤く沈みゆく  朋子

 家出でもしさうな妻のサングラス  泰山

 荒川の河童へそ出せ子供の日  博光

     俳誌嵯峨野 十一月号(通巻第616号)より

     

 

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10月の詩(頬の花)

2022年10月01日 18時17分18秒 | 夏の俳句

           懐かしい林檎 6F 水彩

     朴の花

通学の子らの見上げる朴の花  惟之

やはらかに両耳撫づる青田風

鎮魂の知床岬朴散華

曾良の墓詠ひし友よ沙羅の花

ゆっくりとお前も生きろ大蚯蚓

    誌上句会 兼題「爽やか」

特選

爽やかや風尖りゆく石切り場  洋子

爽やかに父とハミング赤とんぼ  治子

爽涼や天使の眠る乳母車  珠子

病癒ゆる人見送りぬ爽やかに  博女

爽やかや琵琶湖に浮かぶヨットの帆  靜風

秀作

爽やかや湖へ裾曳く近江富士  三枝子

爽やかに富士垣間見る小海線  啓子

爽やかなしぶきに黙す摩崖仏  みどり

山腹に一湖の澄みて爽やかに  紀久子

爽涼の風と走るや若き車夫  文夫

爽やかに挨拶散歩の顔なじみ  洋子

爽やかや藍染浴衣発表会  招義

爽やかや屋根から屋根へ大鉄塔  三郎

産土を風爽やかに吹く日かな  泰山

爽やかや海を遠見の牧に立ち  稔

伎芸天へ一礼深く爽やかに  洋子

爽やかに十国見ゆと言ふ峠  和男

爽やかや信州山清路の旅  秀輔

さやけしや今朝の目覚めの気持ち良き  祐枝女

爽やかや風吹き抜ける武家屋敷  敏子

整列の球児の涙爽やかに  まこと

爽やかやリズム刻んで山の雨  翆

風の吹く朝の牧場や爽やかに  美智子

爽やかや読経流るる九品仏  万智子

爽やかやお守り光るランドセル  博之

入選

せせらぎのひびき爽やか峡の谷  靖子

シュワ―シュワ―と炭酸水の爽気かな  恵子

爽涼や蘆を濡らして渚駆け  蒔子

爽やかや逆転満塁ホームラン  捨弘

爽やかや湖畔のテラス彩深め  克彦

土器を未来へ投げる爽やかさ  胡蝶

学僧の礼深深と爽やかに  廣平

爽やかにクラリネットのブラスかな  惟之

爽やかや嵯峨野を過る川の風  信義

爽やかやラのハミングの歌ひ出し  歌蓮

爽やかな目覚めの断捨離今日こそは  陽子

登校の朝の挨拶爽やかに  美代子

選者

平泉文化の里や爽やかに  東音

   やまびこ(八月号作品から)感銘・共鳴ーー私の好きな一句

藤房や風のもつれを風のとく  きぬ

ゆく雲に一句のそだつ暮春かな  きぬ

余命など人ごととして青菜飯  爽見

野仏の石にかへるやすみれ草  そよ女

逃げ水を追ってハーレーダビットソン  胡蝶

この家のものにござると軒燕  節

葉桜や戦火かなしきくにのあり  東音

春雨にゆるにきつたる水面かな  爽見

鳥帰る見知らぬ空へ身を任せ  道子

振り向けば今日が暮れゆく山桜  千代

空き家にも残りし屋号燕来る  節子

絵画展余韻の胸へ花吹雪  美枝

副作用と治療の狭間春帽子  紫陽

春北風や青き地球に戦下の火  咲久子

野に山に光撒きゆく若葉風  つとむ

   俳誌嵯峨野 十月号(通巻615号)より

  

 

 

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