水彩画と俳句の世界

自然を愛し、感性を大切にして「水彩画と俳句の世界」を楽しんでいます。

六月の詩(牡丹の芽)

2020年05月29日 18時09分54秒 | 春の俳句

  

                             酒蔵と十石舟(京都・宇治) 6号 水彩

         牡丹の芽

  氷原や砂蟕長長と国境へ   惟之

  逞しく土突き上げて牡丹の芽

  暁や魞挿す舟に影ふたつ

  春寒し母の憂ひに大泣く子

  入学を揃うて祝ふ孫三人

     誌上句会 兼題「東風」

  特選

  東風に乗り仏師のみ魂下り来る  博女

  眠る児のくるみ引き上げ桜東風  美樹

  朝東風や海へとつづく町が好き  京子

  桜東風休校続く小学校  保子

  秀句

  桜東風石山寺の川そよぎ  惟之

  垂り尾の光る神鶏桜東風  珠子

  朝東風を道連れにしてペダル踏む  惠子

  夕東風や連絡船は沖を差し  みどり

  朝東風や嘶く都井の野生馬  克彦

  強東風や農機具手入れの老いの黙  和男

  朝東風や孫の運転頼もしき  佳子

  梅東風や托鉢僧の帰る寺  勝彦

  荒東風や岩礁に立つ日蓮像  研二

  梅東風の丘に展ける相模湾  美智子

  東風よ吹け太宰府めざし今日も吹け  万智子

  強東風の波や初鳥踏ん張りぬ  啓子

  強東風や敗者の涙美しき  まこと

  朝東風や火入れの窯に清酒添へ  胡蝶

  強東風や目に浮く父の頬かぶり  靜風

  朝東風や沖に巨船の銀の影  翠

  吉野山の一目千本桜東風  初枝

  夕東風や金星凛と瞬きぬ  章代

  半身の馬の絶筆桜東風  秀穂

  強東風やセット仕立のみだれ髪  テル

     やまびこ(四月号作品から)私の好きな一句

  振り向かず応へてゐたり紙漉女  爽風 

  浮かび出る駄句を沈めて冬至風呂  布美子

  湯豆腐や裏は怒涛の日本海  基雲

  句を記す薬袋や冬のバス  睦美

  耳元を音なく過る雪蛍  志津

  幸せな母の横顔毛糸編む  鈴枝

  布団干す心に母の来てゐたり  勝彦

  わが町の川の流れも十二月  勝彦

  誰彼の励まし嬉し実万両  道子

  緒の緩き宿下駄鳴りぬ寒夜かな  素岳

  妹山よ背山よ眠れわが在も  憲勝

  山茶花や角を曲がればカレーの香  裕司

     俳誌 嵯峨野 六月号(第587号)より 

 

      

  

    

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竹生島遠景

2020年05月23日 15時22分50秒 | 風景

             竹生島遠景(長浜市) 6号 水彩

 湖北野鳥センターの湖岸からの竹生島。夕陽を背にした景観は奥琵琶湖代表的なカメラスポットといわれる。水鳥の風景には出会えなかったが、竹生島遠景は琵琶湖八景にも選定されているとおり美しい。

 竹生島には、724年に聖武天皇の命に行基が建立したといわれる宝厳寺があり、さらに奥に進むと420年に雄略天皇の命により建立された、日本三大弁才天のひとつに数えらている竹生島神社がある。このように竹生島は古来より人々の信仰の対象であり、弁才天の琵琶が琵琶湖の名前の由来と伝えられている。ちなみに琵琶湖と呼ばれるようになったのは江戸時代以降で、古くは近淡湖(ちかつあわうみ)、淡海の湖(あふみのうみ)、鳰海(におのうみ)などと呼ばれていた。(琵琶湖・淀川 里の川をめぐる<総集編>平成28年3月より)

   弁才天の琵琶が由来よ鳰の湖  惟之

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沖島港

2020年05月15日 16時20分57秒 | 風景

 

                沖島港(近江八幡市) F6 水彩

  2016年に写生会で訪れた沖島を再掲しました。びわ湖に浮かぶ、竹生島、多景島、沖島で唯一人が生活しているのは沖島。居住者は300人あまりで、移動は徒歩と三輪車。信号もない。遠足の子らがいた奥津神社や鮒ずしの倉庫、貝殻の軒下の道が懐かしい、機会を見つけまた訪れたい。

  桟橋は猫の居場所よ秋日和    惟之

  軒下の神への道や秋桜

  軒下は貝殻の道秋の昼

  船陰に猫の居眠り秋の午后

  さよならと子等と声掛け秋の船

  奥津島の絵馬に差しゐる秋日かな

  犇めける屋根より望む湖の秋

  弁財天の足元揺らす矢車草

  鮒ずしの樽はいくつも並びゐて

  霊仙山は入江の向かふ秋霞

  

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