湖岸の春(守山市今浜)
木之本
木之本のコバルトブルー秋の空 惟之
賤ヶ岳望む酒蔵秋うらら
山頂は古戦場なり秋澄みぬ
境内の寄進瓦や秋燕
桑酒の徳利に魅入り秋みやげ
誌上句会 兼題「息白し」 東音選
特選
白息の児ら熊除けの鈴鳴らし 幹夫
しみじみと我が吐く老いの息白し 葵堂
返答に困り白息吐くばかり 洋子
駅員の目力清し息白し 啓子
物言えば息の白さとなって消ゆ 敏子
秀句
洗堰に網打つ人の息白し 惟之
駆け寄って諸手の孫の息白し 初枝
白息に混じる言の葉清らなり 睦御
ランドセルかたかた鳴って息白し 収子
朔北の凛と駅長息白し 基雲
音もなき百間廊下息白し 珠子
ひきしまる朝の読経や息白し 靖子
富士を背にスタートライン 須美子
お揃いのジョギングウエア息白し 陽子
大路行く祭礼の馬息白し 洋子
気合入れ白息の時句を詠まん 十二朗
滑り台の筒抜け出る子息白し 奈緒世
老いてなほ勢ひある息白く吹き 紀久子
句会へとはやる心や息白し 幸子
やまびこ 感銘・共鳴ー私の好きな一句
鬼やんま女大工のきびきびと 志津
ラムネ抜くぽくんと昭和の音たてて 素岳
蓑虫の糸一本の力かな 敏子
爽やかやほ句ありてこそ恙の身 千恵子
悪餓鬼を坊ちゃんと呼ぶ金魚売 素岳
風折れのバジル香るや今朝の秋 久子
筑波峯の弓手にかかる秋の虹 東音
影よりも影のやうなる吾亦紅 爽見
秋灯火いまだ師として古き辞書 爽見
水澄むや鯉ゆるやかに鯉を避け 素岳
秋耕や野川へだてて遠会釈 素岳
鎌倉の五山の一位虫の闇 怜う
草の花わたくしは此処わたくしも 憲章
天の川b分水嶺へ一滴 梨里子
呼び合うて遠ざかる鳥秋髙し 侑久子
老犬と歩幅合わせて秋夕焼 節
オクラ切る金太郎あめ切るごとく 満子
俳誌 嵯峨野 三月号(通巻第560号)より