パンとネクタリン
都鳥わがもの貌に橋わたる 惟之
虎河豚の鰭は貼られて売られけり
水晶玉数へて幾つ花八手
古希祝ひ手袋に添へ結び文
歳暮かに捌きは妻と決めてをり
冬木立隠し絵探す木の根道
しぐるるや岩に刻まる刀疵
ビルの影一際長き冬至の日
後ろ姿のしぐれていくか野田首相 (12月26日 朝日新聞夕刊 素粒子より)
パンとネクタリン
都鳥わがもの貌に橋わたる 惟之
虎河豚の鰭は貼られて売られけり
水晶玉数へて幾つ花八手
古希祝ひ手袋に添へ結び文
歳暮かに捌きは妻と決めてをり
冬木立隠し絵探す木の根道
しぐるるや岩に刻まる刀疵
ビルの影一際長き冬至の日
後ろ姿のしぐれていくか野田首相 (12月26日 朝日新聞夕刊 素粒子より)
テラスにて ルノワール (京都府立陶板名画の庭にて)
青い目と赤い冬帽テラスの子 惟之
風に揺れアンネ・フランク冬の薔薇
尾根道は分水嶺よ落葉踏む
目標は遠くにありて紅葉山
川の辺に落葉積もりし貴船かな
スタンプを押して歩みぬ色紅葉
神無月ネット討論にぎやかし
ヨルダン川の西岸沸きし小六月(パレスチナ「国家」格上げ)
北山山麓の水車小屋
瓢箪崩山登山五句
山裾の水車に冬日耀ふて
比叡のぞむ桜冬芽のほの紅き
鴛鴦の水輪重なり暮れなずむ
冬山の龍の如きの橡かな
寒風や八瀬の街並み比叡の底
三宅八幡宮二句
叡山の谷水汲みて初参り
初参り絵馬に描かる子の数多
鴛鴦(おしどり)の群れ(京都・宝ケ池)
ガンカモ科の水鳥。「おし」ともいう。雌雄異色。雄の冬羽は緑・藍・紫・橙色など多彩で美しい。雌は鴨と見まちがうほどの地味な暗褐色をしているが、雄も夏になると雌と同じようになる。夏季は山地の水辺に棲み、高い木の洞に巣を作って繁殖する。この鳥は雌雄つねに離れず並んで泳ぎ、眠るときも翼をかわし、頸をまじえるので、夫婦仲のいいことにたとえられる。雌雄どちらかが捕らえられると、他の一羽は思いこがれて死ぬといわれ、「匹鳥」ともいう。
静かさやをしの来てゐる山の池 正岡子規
鴛鴦に月のひかりのかぶさり来 阿波野青畝
鴛鴦のいずれ思ひ羽思はれ羽 鷹野狩行
現代俳句歳時記 角川春樹編(1998)より
下鴨神社参道(京都)
復興の願いを込めて除夜の鐘 惟之
禍のおほき年の瀬筆洗ふ
数え日をひとつ減らして花植ゑる
薄暗き冬至の明けや星ひかる
復興へ「絆」の一字冬至くる
復興へ師走の光ルミナリエ
鰭酒はまはりますなと囲碁談義
竜の玉環にして地蔵の首飾る
薔薇 フォルベルト・フォン・ゴッホ
銀杏の匂う古刹や伊賀の里 惟之
冬山の岩に刻まる六地蔵
小倉山お椀の如く山粧う
天辺へ節目の白き竹の春
枯蓮の残る一葉に陽の射して
渡月橋過ぎる群鳩秋の山
雲竜に睨められけり大襖
七五三碁盤飛び降る着袴の儀
冬うららGNHと謂ふ指標(国民総幸福)
冬薔薇や命みなぎるゴッホの絵
大手道の仏足石(室町時代の中期)
この仏足石は大手道などに見られる石仏と同様に築城当時単なる石材と集められ、石垣に使われていたもので、昭和の初期登山道整備のとき崩れた石垣の中から発見されました。仏足跡はお釈迦さまの足跡を表現したもので古代インドでは仏像に先立ち崇高の対象とされて居ました。わが国では奈良の薬師寺のものが現存する最古のものとして有名ですが、この仏足石は中世の数少ない遺物として大変貴重なものです。(そう見寺住職記載の立札より転載)
雪道に仏足石を見つけをり 惟之