とっぷりと日も暮れた頃、ベランダで洗濯をしていた私の耳に届いた声は…
「ぴゃうぴゃうぴゃうぴゃう!」
ここここ仔猫だっ!
ベランダから身を乗り出してみるも、住宅街ゆえに音が反響するので、どこにいるやらわかりません。
もしかしたら、マンション横の側溝に落ちたのかも…
そう思った私は、ピンク地に白い水玉模様の割烹着にスウェットパンツのいでたちで、スニーカーに足を突っ込み、懐中電灯片手にバタバタと飛び出しました。
声のするほうにてくてくと近づくと、なぜかぴたっと鳴きやみます。
おいおい、鳴いてくれんとどこにおるかオバチャンわからんちや。
そう心の中でぶつぶつ言いながら少し移動すると、やはりさっきいた車が数台停まっている場所あたりから鳴き声が聞こえます。
あまり足音をたてず、そろ~っと後戻りして、少しじっとしていたら
「ぴゃう~」
と思いもよらぬ近さで声が!
ばっ!と道路にひざをついて、車の下を覗き込んで懐中電灯を向けると…
かっ、かっ、かっ、かわえええええ!
と思わず叫んでしまいそうなほど、とんでもなく可愛い仔猫(生後2ヶ月くらいか?)が車の下に座っていました。
よしよし、そこなら車の向こう側にまわると手が届くぞ。
…あ、あれ、いない?
ふたたび車の下を覗き込むと、今度は隣の車に移動しています。
ちょ、ちょっとアンタ、オバチャンはアンタを助けてあげようと思ってるのよ。
オバチャンちにきたら、美味しいゴハンと暖かい寝床があるのよ。
見た目はピンク地に白い水玉模様の割烹着にスウェットパンツという怪しいいでたちだけど、オバチャンは優しいのよ。
しかし、そんなことを言っても仔猫には通じず、私が近寄るとささっと逃げます。
そのうちに、駐車場隣のアパート裏に逃げ込みました。
そこは裏に側溝もあるので、ちいさな仔猫はともかく、私は何度もこけそうになりながら追いかけました。
しかし仔猫は、アパートと隣の住宅の間を走り抜け、道路の向こうの民家の裏に逃げていってしまいました。
あれまー。
きっとあの仔猫は、母猫とはぐれたのでしょう。
家で飼っていたのを捨てたのなら、少しは人間にもなついていると思いますから、あれほど逃げないと思われます。
どっちにしても、人間に警戒心がある以上、弱った状態でもないと保護は難しそうです。
決してピンク地に白い水玉模様の割烹着にスウェットパンツのいでたちのオバチャンが怪しかったわけではないと思います…たぶん。
よく考えたら、なっちゃんも、うめちゃんも、みーさんも、助けてほしいと必死で鳴いて人間に寄ってきたので、あの仔猫と私はまだ縁がないのかもしれません。
本当に縁があるなら、きっとまためぐり会うことができますから。
しかし、可愛かった!
アホ彼は私が保護してきたらきっと少々ぶつくさ言うと思いますが
「里親さんを見つけるからそれまでのあいだよ」
なんて騙して飼っているうちに、あの可愛さにきっとメロメロになるはず。
寒いけど、母猫に会えるまで、もしくは新しい家族にめぐり会うまで元気で頑張るんだよ!
でも、どこにもいくとこがなかったらオバチャンちにおいで!
びびりだけど優しいなっちゃんと、最初は怒るけど面倒見のいいうめ姐さんと、喜んで遊んでくれるみーさんが待っているからね!
ブログの内容とは全然関係ないですが、お使いに行ったビルの地下駐車場にこんな車が並んでいました。
ちょっと暗くてわかりにくいですが、こういう連番も取れるんですねー。