以前のエントリーでご紹介した↓この書籍について。
『緑の帝国』-世界銀行とグリーン・ネオリベラリズム
マイケル・ゴールドマン著 京都大学出版会
なかなか核心に迫る内容である。
今回は、この書籍から注目される内容を紹介したい。
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この書籍『緑の帝国』-世界銀行とグリーン・ネオリベラリズムによると、どうやら世銀の連中の理屈というのは、どうやらこういうことのようである。
「モノの道理がわかっとらん途上国政府に連中の国土を任せたままでいると、自然が破壊されていくから…生態系の持続可能性を維持するには、先進国の専門家(コンサルタント)の介入が必要だ…」
実に独りよがりな物言いである(しかも本音は途上国の自然を財として先進国企業の所有として収奪したい、というところにあるのに、実に都合のいいキレイゴトを口先では主張するのもである)。
この大儀名分を振りかざして、実際には地域共同体が管理していた自然を、途上国政府に働きかけて競売にかけさせ、多国籍企業の所有物として奪い取り、線引きをして、一方ではそこをエコツーリズムなどと称して、先進国のエリートの観光地として儲け、一方では線引きの外側で、資源開発、動植物の乱獲、森林伐採や大規模な商品作物の栽培などを、地域の安い労働力を遣って推進していく。
「緑の革命」の失敗で世界中の途上国から非難を浴びてしまった世銀は、新しいダマシ手法を考え出して欺瞞だらけの“環境保護路線”に方針転換したのである。
「あなた方の国土にある土地や自然や水源などは、実はもっと価値(金)を生み出すことができる潜在能力を持っている。なのに、あなた方はそれを有効に使用できていない。我々のアドバイスに従い、有効利用のための制度や法律を整え、資本を投入しインフラを整備すれば、(ちゃんと環境も守りつつ)何倍もの利益を生み出すことができますよ」と世銀の息のかかったコンサルタントは途上国の要人の耳元でささやく。
しかも先進国の連中は、学者を金で釣って、己の都合のいいように理論武装するために利用している。プロ専門家のふりをした人々が捏造したデータを出されて、「権威」を主張されたら、途上国はなかなか正面から反論できない。
「はあ、わからんけど、そういうもんなんかなあ」ということになって、田舎者の途上国の人々はまんまと世銀や先進国企業のダマシしにひっかかってしまう。
そして国土は荒らされ、人心も荒廃していくのである。
融資の資格要件を満たすために、途上国は、しばしば、国家機関の再編、新たな土地と資源の商品市場を創設する国家法規の制定、その生態系の破壊と遅々として進まない経済発展の原因とその解決策に関する知識を生産する科学的手続き、手順、定式化の採用を要求される。グリーン・ネオリベラリズムの開発体制のもとでは、借入国は国家財政と税制の改革、銀行と保険部門の新たな外国入札者への開放、そしてWTO基準と規制への国内法の従属が徹底的に求められる。(中略)世銀の介入は特定の世銀の債権国、すなわち「先進国」の資本、金融、そしてサービス部門、とりわけ国際政治経済の運営を競っている世銀その他の国際機関の最大議決権をもつ「5大債権国(アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、フランス)」にとって特に高い利益をもたらすものであった。(『緑の帝国』P12)
世銀は、「地球温暖化を防げ」「生物の多様性を守れ」「自然保護」などを声高に叫ぶことで、自らのダマシを覆い隠し、さらに効率よく途上国から収奪をしようという作戦に切り換えている。
現在起こっている、世界の飢餓状況を改善するためには、このような世銀による収奪構造、欺瞞を白日の下に晒し、人々の共認によって封じ込めていくことが必要ではないだろうか。