以下のコンテンツは、BSドキュメンタリー「史上空前の論文捏造」を参考にしている。
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研究成果の捏造の先進国であるアメリカでは、研究公正局(The Office of Research Integrity:ORI)という、研究における不正行為を監視・調査する行政組織もつくられ、報告制度が設けられている。
この組織のクリス・パーカー長官は、番組内で次のように語っている。
>医学・生物学の世界で捏造があった場合、犠牲者は一般市民です。例えば医学データが誤っていたとしたら、市民の健康を損なうかもしれない。
医学・生物学の世界では、上のような理由から不正行為を監視する機関が設けられているが、物理学の世界にはそのような機関はない。それも、シェーンの捏造発覚を遅らせることになった。
実はベル研内でも、次々と超電導の記録を打ち立てていくシェーンに対する疑念が渦巻き始め、同研究室の同僚であるドン・モンローが内部告発をしたこともあったという。しかし、「おまえ、シェーンに嫉妬してるだけやろ」という感じでまともに相手をしてもらえず、告発を撤回してしまった(2001年12月)。
捏造の発覚のきっかけは、プリンストン大学のリディア・ゾーン助教授にかかってきたベル研研究者からの一本の垂れ込み電話(留守電)だった。
残されていたのは「シェーンの2つの論文をよく見てください」の一言のみ。
2つの論文に使用されているグラフは、なぜかノイズ部分が同じで、少しだけ値をずらせてあるものだった。実験でノイズがまったく一致することはありえない。シェーンは実験データを使い回ししていたのである。ゾーン博士は捏造を直感し、コーネル大学のマキューエン博士に連絡をした。そして、2人はベル研の告発を決意した。
2人はノイズの一致したデータという決定的な証拠をつきつけた。ベル研は調査委員会をつくらされ、2002年7月には、研究所の外部の人間も含めて5人の調査委員とシェーンは面接させられることになる。
委員の一人であり、かつて告発もした(その後撤回)ことのあるドン・モンローによると、シェーンはこう語ったと言う。
「実験データは、内容に合うものをファイルから適当に選びました」
おいおい…
その後の追求で、理論から期待される数値を計算で出し、それを測定した値として論文に載せたことも認めた。なんと24の論文のうち16の論文に捏造があったことになる。
2002年9月25日、このベル研のスキャンダルが大きく報道されることになる。
“ベル研 スター科学者を不正行為で解雇”
その後すぐ、シェーンは行方不明になった。
<④へつづく>