足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

No. 1642 ~ 玄倉だより5月(2) ~

2019年06月01日 | 植物

観察月日  2019.5.12.曇 12℃

観察場所  山北町 玄倉

 初夏なのに日差しが強い。ケヤキの大木は日陰を作って

くれて、有難い存在だ。木の下に、今年もおびただしい程の、

“落とし文”が落ちていた。ルイスアシナガオトシブミのもの

で、生命のサイクルを感じる。

 先月、林道の片隅で気付いた幼芽の“イラクサ”は、30㎝に

も成長した。

 茎や葉を細かに観察すると、小さな“トゲ”が産毛の様に生えて

いて、これに触れると激痛が走ると言う“危険な植物”だ。小さな

トゲは、“シリカ”というガラス針で、これに軽く触れただけで針は

砕けて刺さり、毒液は皮膚に注入される。

 毒液はヒスタミン他、神経に作用する化合物で、トグ1本当たり

0.008mmℓだが、茎や葉にはトゲが何千、何万とあるので、人

によっては傷みが続き、その症状が異なるので注意が必要だ。

トゲのある葉を見ると、二つ折りに綴ってあるのに気付く。ピンセ

ット等で開くと、中に“アカタテハの幼虫”が体を丸めている。種

の命を繋ぐためアカタテハの雌親虫が若芽に産卵し、幼虫が

育っているのだ。

 イラクサが、動物から身を守る為に生み出した“トゲ戦略”を、

動物であるアカタテハが子育ての揺り籠と食餌に利用する巧

みさは、何処から生み出されたのであろうか。

ドクウツギは、葉腋から雄花と雌花を伸ばし、雄花は既に花期

は過ぎ、雌花は紅に染めた柱頭を開いて、花粉を待っている。

同花受粉を避けているのだ。次回は果実に進んでいるのだろう。

来月は〝つゆの頃“ どんな生き物に出会うだろうか!

ケヤキの大木は 木陰が出来て有難い。

オトシブミがいっぱい。

イラクサ が。

葉を折って合わせて。

中に アカタテハの幼虫。

ドクウツギ 雄花。

ドクウツギ 雌花。