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足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

No. 1669 ~ ベニシュスラン 種の不思議 ~

2019年09月25日 | 植物

観察月日  2019 9.08.晴 29℃

観察場所  山北町 玄倉

 林道沿いの暗い林床で、ベニシュスランを見付けたのは、7月

14日雨の日であった。

 その場所は、ビジターセンター開館以来、毎月第2日曜日に歩

いていた林道で、今まで沢山の目に付かなかった筈はなく、初

開花の日だったのだろう。

 植物生育の始めが“種”だとすれば、このランは何処からやっ

て来たのだろうか。

 その後、8月11日には花は終わり若い実に、9月8日には約

1㎝のラクビーボール型の実が2個、外皮には縦に切れ込みが

入り、中には膨大な数の種が用意されていると思われた。仲間

に断りを入れ、借りたミルビンに入れて持ち帰った。

 家でミルビンの底を見ると薄茶の埃で塗されていた。超マクロ

レンズを用意、ステージ上でランの実を軽く振ると、微細な粉が

落ちた。カメラを覗きピントを合わせると同時に、私は「エッツ」と

疑問を交えた声を出した。

 そこには、微細な埃の様な粒ではなく、細長い翼を持った形の

タネが現われた。アバウトなスケールで計ると翼の長さ約1.6mm、

翼の中心にタネらしい膨らみがあり、0.2か3㎜程で計れなかっ

た。種子は微小で軽い程大量に生産出来、風に託して遠く広く

散布可能なのに、翼までの用意には意外であった。

 少々調べてみると、中央の膨らみ、タネの中味は超未熟で、

子葉も胚乳もなく、未熟な細胞の塊だという。ランの進化は、

土壌のラン菌が無ければ、発芽も成育もない所まできている。

限りある地球号上の人間世界も、何処まで来ているのか、

頭をよぎった。                                        (ナンバンギセルの種子)    

毎月第2日曜日 玄倉に10時集合 林道を歩いている。 

見つけたのは 7月14日雨の日であった。

8月11日は 若い実であった。

9月8日 今日は1cm程のラクビーボール型。

ベニシュスランのタネ。

拡大して見ると タネのふくらみが解りますか。

シランの タネ 長さ約2.2mm ふくらみの部分約0.4mm (厚木市 七沢) ベニシュスランと同拡大率

 

 


 No. 1663 ~ 玄倉だより 8月 ~

2019年08月26日 | 植物

観察月日  2019 8.11.曇のち晴 28℃

観察場所  山北町 玄倉

 6月、7月の観察会は2カ月続いて雨であった。今月は久し振りの

青空、西丹沢の山の上には夏空らしい白い雲が盛り上がり、クマタ

カが円を描いた。 

 まだ、穂には早いススキの茂みを覗くと、黒い艶の甲に白ゴマを振

った“ゴマダラカミキリ”が長いアンテナを動かし、体が赤味を増して

きたミヤマアカネが、小虫を狙っている。

 昆虫も夏の種類に変わって来た中で、こればかりは「ごかんべんを」

と言いたいのは“ウシアブ”の仲間だ。花に来る“アブ”はベチタリアン

だが、“ウシアブ”の仲間は吸血性の昆虫だ。

 山間の温泉宿に行くと、“アブに注意を”の張り紙を見掛ける。

 Oさんがリックの中から取り出したのは、先月この林道で観察したマ

タタビをホワイトリカに漬けこんだものだ。手の平に2~3滴落として、

味わってみた。

「すっきりとした味わい」「マタタビの香りがステキ」「また、旅に出られそ

う・・」味わった人が、それぞれ呟いたとか?

 最後に、先月ベニシュスランの発見があり、その後の経過を探す事に

なった。いざ探して見るとあった場所が中々特定出来ない。あきらめ掛け

たその時、「ありました!」と、私達とは少しずれた所を細かく探していた

Rさんの声。既に種子になっていた。

今日も、自然の素晴らしさを満喫した。

西丹沢の山々に 夏の雲が。

ミヤマアカネ が。

ゴマダラカミキリ ダンディーね。

吸血性の昆虫 ウシアブ(アカウシアブ)の仲間。 太い口器。 刺されたら痛そう!

Oさんが、採り出したのは・・・・・・・。

マタタビの虫こぶ。 薬効があるとか。

足元にあった ベニシュスラン種子

地上を這う

8月の 仲間


No.1661 ~ メタカラコウ群落 ~

2019年08月09日 | 植物

観察月日  2019.8. 6.晴 32℃

観察場所  清川村 宮ケ瀬

 今年の夏は気温が異常に高い。熱中症に注意と、TVが連日報じている。そこで私も

 “丹沢大山山麓歩き”を止めていた。が、そろそろいいかな?“宮ケ瀬の林道”なら、平

だし、日陰はあるし、と、ブラリと出かけてみた。

 9時、早戸川林道へ入るが風がなく、蒸れるような暑さだ。温度計を見ると 32℃。

 暑さの為か、鳥も、昆虫の姿も少ない。この暑さに自然を親しみに来る人などいない

だろう。

 林道を曲がると強い太陽が一杯の道になり、遠くから見たような青年が長いレンズを

抱えてくる。相手は「あれ?」、私も「あれ?」、と互いに接近、よく観察会で会う

( I )さんで驚いた。「午後から仕事なので、自然を感じようと林道へ来たのだ」という。

 「林道入り口に咲く黄色い花は、何ですか?」と(Ⅰ)さん。聞かれた私は「それはね

・・・」と話を続けた。

 メタカラコウで、林道が出来た頃は小さな株であったが年々成長し、最近では林道沿い

に西の方向に広め、立派な群落に定着している。神奈川植物誌によれば、主としてブナ帯、

ときにシイ・カシ林下に見られ、県内では清川村と隣接の津久井のみらしい。

 私はここに立つと、同属のオタカラコウを思い出す。以前信州の白馬尻で白馬大雪渓、

を背景に、舌状花は多く、イカリモンガと多数のヒラタアブが吸蜜に来ていた光景を!

(県内では、箱根の林内に小株のみとか)

 「暑いから、体に気を付けて下さい」と言われて別れた。

林道沿いのフサザクラは茂って、みどりのトンネル。

山側に メタカラコウの群落が続く。

上から見ると 葉の形がよく解かる。

舌状花が 1枚~ と少ない。

同じ属のオタカラコウを思い出す。

白馬尻から大雪渓を眺める。

メタカラコウと比べると、大きく、舌状花も多く、見事だ。

 

 


No. 1657 ~ 玄倉だより (1)~

2019年07月25日 | 植物

観察月日  2019 7.14 曇時々小雨 20℃

観察場所  山北町 玄倉

 雨粒がフロントガラスを叩く。

 「あら!丹沢湖カヌーマラソンの→印の標示があるわ!」とRさん。私は

気付かなかったが、「車と人が溢れているのではないか?」と心配の気持

ちになった。

 玄倉に着いてみると、案の定、車と人が溢れ、元ビジターの入口には、

“満車”の立て看板が立ち車を止められず。失礼な!

 車を反転し駐車スペースを探す。Rさんが係員と話し、自然観察グルー

プの駐車場所を確保して先ずは安心。

 「ビジターセンターを早々と閉鎖していなければ、多くの人の役に立ったの

に」「公共施設の県民に対する役目とは、サービスとは?」元ビジター開館

以来の観察ボランティア仲間のひとりごと。

 元ビジターの庭のススキの茂みを覗くと、葉裏にヒグラシが雨を避けてか

、下っていた。

 林道を行くと、トンボが飛び立ち5m程のたかさの葉上に止まる。ウスバキ

トンボだ。雨に濡れ、避けずに止まっている。

 暗い林床に淡い紅色のランを見付けた。地表から少し茎をもたげた先、花は

横に筒状3cmのベニシュスラン。Wさんが「目立ち過ぎて、ラン誘拐者に会い

そう」と心配の表情。

先月見たアシナガバチの巣は、蛹は羽化した様だが成虫不在。

玄倉は,車と人で大混雑。

庭のススキの葉裏に ヒグラシが 雨を避けてか。

ウスバキトンボは 雨に濡れて。

ベニシュスラン が!

フジウツギが花を付けて。

アシナガバチノ巣には成虫がいない?

今日も 元気な 観察グループ。


No. 1644 ~ 最初の花の形  ホオノキ ~

2019年06月05日 | 植物

観察月日  2019 5.19.晴 23℃

観察場所  厚木市 七沢 (県自然環境保全センター)

 5月は花木の季節だ。そこで樹木園に回ってみた。ホオノキの

大木があり、緑の大形の葉の茂る中、色々の状態の花が浮き

出る。

 花被片は9~12枚で、外側の3枚は短く蕚状で色が付いてい

る。内側の6~9枚が花弁状だ。雌蕊と雄蕊は多数が螺旋状に

着いている。

 花は3日花。朝開いて夕方閉じるのを繰り返す。

 初日は雌蕊の日。花弁が壺形に半分開き、中では赤紫の花柱

が反り返り花粉を待つ。花に食糧はないが間違って中に入った

昆虫は、出るのに花柱を登り飛び立つ。その時昆虫の体に花粉

が付いていれば受粉する。

 2日目は雄蕊の日。雌蕊の柱頭は花粉を受け付けない。

 雄蕊の花糸は赤紫で短く、平板状の葯から花粉を出し、花弁

上にぱらぱらと落ちる。蜜は出ないがマルハナバチやハナアブ

が花粉を採りにやって来る。

 3日目は、残っている雄蕊が花粉を出す。そして、4日目には花

はしおれてしまう。

 ところで、ホオノキの花は、“植物に最初に出来た花の形を残し

ている”と言われるが何故だろうか。

 “花のパーツは、葉が変化したもの”と解ってきた。立った茎

の頂きから、葉の付き方を追って行くと、螺旋状についている事

が解る。頂上の葉が雌蕊に、次が雄蕊に、次は花弁に・・・・と。

 ホオノキの雄蕊の落下した跡に、螺旋模様を見る事が出来る。  

 クレマチス、スイレンの花はどうだろうか。

花を つける。

花は 立派だ。

螺旋模様が 見える。

ミズキ

ヤマボウシ

センダン

今月の観察仲間