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足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

No. 1643 ~ ハンショウヅル 咲く ~

2019年06月03日 | 植物

観察月日  2019 5.15.曇―俄雨 15℃

観察場所  松田町 寄 (秦野林道)

 

 ゲートを潜り、林道に入ると暗いスギの植林地になる。

「ハンショウヅルが咲いていますよ」と、Rさんが草叢の

中に入って行った。

 そこは以前シカ柵が設置してあった所らしく、赤く錆び

た太い針金が横に伸び、そこにハンショウヅルが絡んで

いた。茎から伸びた花柄の先に、赤紫に色付けされた4

枚の花弁が筒状に下に伸び、その先がめくれ上がり、

“明治の頃の半鐘のある風景”をつい連想してしまった。

 以上、ごく普通に暮している人の考えに立って書いて見

たのだが、何かを感じた人はいないだろうか。

 実は植物学?上から見ると、花弁ではなく、蕚なので

花弁は無いのです。何故、蕚と断定するのかその訳は、

考えてみて下さい。

 植物に花弁が生まれたのは、数億年の昔送受粉を昆虫に

託そうとした時、と言われています。ハンショウヅルの蕚片

が、赤紫の色を付け、半鐘形で下向きなのは、昆虫に対す

る情報の発信と思われます。人間が単に“花弁だ、蕚片だ”

と拘る間も、植物は柔軟に命を繋いでいるのです。

 花柄の中程に対の小苞も目に付いたり、葉柄が長く茎を支え

ている等々、私達の眠っている感性を呼び起こすのが、“観察”

というものでありましょう。

 この日は他に、、ヤマツツジ、ミツバウツギ、ヤブデマリ等のす

ばらしい株に目を奪われ、俄か雨に煙る森の中を帰路に着いた。

ハンショウヅルが咲く。

まだ蕾も。針金にからんで。

そう果も出来始める。

ヤマツツジ。

ミツバウツギ

ヤブデマリ

雨に煙る森

 

 


No. 1642 ~ 玄倉だより5月(2) ~

2019年06月01日 | 植物

観察月日  2019.5.12.曇 12℃

観察場所  山北町 玄倉

 初夏なのに日差しが強い。ケヤキの大木は日陰を作って

くれて、有難い存在だ。木の下に、今年もおびただしい程の、

“落とし文”が落ちていた。ルイスアシナガオトシブミのもの

で、生命のサイクルを感じる。

 先月、林道の片隅で気付いた幼芽の“イラクサ”は、30㎝に

も成長した。

 茎や葉を細かに観察すると、小さな“トゲ”が産毛の様に生えて

いて、これに触れると激痛が走ると言う“危険な植物”だ。小さな

トゲは、“シリカ”というガラス針で、これに軽く触れただけで針は

砕けて刺さり、毒液は皮膚に注入される。

 毒液はヒスタミン他、神経に作用する化合物で、トグ1本当たり

0.008mmℓだが、茎や葉にはトゲが何千、何万とあるので、人

によっては傷みが続き、その症状が異なるので注意が必要だ。

トゲのある葉を見ると、二つ折りに綴ってあるのに気付く。ピンセ

ット等で開くと、中に“アカタテハの幼虫”が体を丸めている。種

の命を繋ぐためアカタテハの雌親虫が若芽に産卵し、幼虫が

育っているのだ。

 イラクサが、動物から身を守る為に生み出した“トゲ戦略”を、

動物であるアカタテハが子育ての揺り籠と食餌に利用する巧

みさは、何処から生み出されたのであろうか。

ドクウツギは、葉腋から雄花と雌花を伸ばし、雄花は既に花期

は過ぎ、雌花は紅に染めた柱頭を開いて、花粉を待っている。

同花受粉を避けているのだ。次回は果実に進んでいるのだろう。

来月は〝つゆの頃“ どんな生き物に出会うだろうか!

ケヤキの大木は 木陰が出来て有難い。

オトシブミがいっぱい。

イラクサ が。

葉を折って合わせて。

中に アカタテハの幼虫。

ドクウツギ 雄花。

ドクウツギ 雌花。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


No. 1641 ~ 玄倉だより5月 ~

2019年05月29日 | 植物

観察月日  2019.5.12.曇 12℃

観察場所  山北町 玄倉

 山の緑の中に桜色が目立ち、「こんなに多いものか」と予

想外に驚いたのは、4月であった。

 それが今月は、サクラは何処へ行ったものかと探してみて

も、山の緑に吸収されて見付ける事は出来ず、逆に藤色に

カットされた布を、緑の山腹にパッチワークされた景色が目

に飛び込んで来た。5月はフジの花の季節なのだ。

 藤色は平安の昔より日本の伝統色、「枕草子」にも「紀貫之」

にも、同じ美学の歌を残していると言われる。今の時代はフジ

と言われれば、藤棚を連想するが、昔は自然の中のそれを

愛でていたのだろうか。

 林道の端にある大木の幹はコケに覆われ、そこには毎年5月

にはカヤランが花を付け、その出会いをみな楽しみにしている。

今年はけな気な一輪、私達を見降ろしていた。

以前はもっと株は大きかったのだが。

クロアゲハとモンキアゲハが飛んだ。その行く先にはミツバウツ

ギが花を開いて待っていた。昆虫にとってエネルギー・スタンド

開店なのだ。

残念ながらウツギはまだ蕾、開店前で客は0。と思ったら、“幼

虫の食餌がその蕾”というトラフシジミが産卵にやって来た。

 自然は柔軟に出来ているものだ!

フジの花の パッチ・ワークだ。

カヤランが けなげに一輪。

2015年は こんな株だった。 自然のものは 自然の中で!

クロアゲハの 行く先は。 ミツバウツギ。

サカハチチョウも 飛んで来た。

トラフシジミは ウツギの蕾に!

今日も 元気に 自然を探求!

 

 


No.1640 ~ ツツジに思う ~

2019年05月27日 | 植物

観察月日  2019.5.8.晴 23℃

観察場所  渋川市 赤城町 (赤城自然園)

 

 入口の大半を占める風景を埋めるサツキの大株に、私は

圧倒された。 

 宮が瀬ダムが作られる以前そこは渓谷で、よく昆虫採集に

訪れた。岩場には野生のサツキが点々と見られ、小さな株

であった事を思い出す。

 「この前来た時は、アカヤシオがそれは見事でしたよ。今日

はそれがシロヤシオで、又違った感じでしょう」とRさん。園に

入って右に曲がると、突然シロヤシオの白が視界をはみ出す

様に広がっていた。アカヤシオの華やかさとは違い、シロヤシ

オは総ての色を反射し、紺碧の晴空をキャンパスにして埋め

尽くしていた。

 シロヤシオと言えば丹沢の尾根を思い出すが、或る日大山

山頂から日向薬師へ下った折、新緑に染められた木々の中

にひらりと光った白い花、それは予期せぬシロヤシオであった。

 次に躑躅色の花が、目に飛び込んで来た。トウゴクミツバツ

ツジだ。雄蕊の数が10本はトウゴク・・・と先輩から教わったの

が、頭を横切った。

 次はサラサドウダンだ。壺形の花に赤い線模様が何とも言え

ない。鍋割小屋にあった大木はハナバチの羽音で溢れていた。

サツキの大株が 迎えてくれた。

シロヤシオ だ。

トウゴクミツバツツジ だ。

サラサドウダン

ベニサラサドウダン


No. 1638 ~ ハルユキノシタを訪ねる ~

2019年05月07日 | 植物

観察月日  2019.4.20.晴 17℃

観察場所  厚木市 不動尻

今日は、かながわトラストみどり財団主催の観察会で、不動尻の

ハルユキノシタを訪ねて歩いた。広沢寺入口でバスを降り、先ず

は広沢寺駐車場まで歩いた。

そこで、今日の日程、注意事項、観察出来る動植物等の話をして

出発。

サクラはすっかり葉桜となり、山は緑一色、天気快晴、絶好の観

察日和だ。

林道は総て舗装されているが、行きは登り一方、植林地の中を

ペースを整えて歩く。途中“石切り場”を過ぎ、道端にはミミガタテン

ナンショウが次々とあり、雌株を覗いては、キノコバエが入っている

のを見たり、トウゴクサバノオの花をルーペで見て、美しさに感激し

たり、やがて山の神隧道に着き、小休止。「アナグマが顔を出した」

との声もあり、自然の豊かさを感じた。

隧道を抜けると、渓谷は遥か下を流れ、山深く来たのを実感する。

山側は切り立った崖となり、細い滝が落ちている当たりからハルユキ

ノシタは現われ、崖の崩壊防止の金網が設置されたそこの岩場にな

ると急に増え始めた。

やがて、ハルユキノシタの白いヘラ状のはなびらが崖を埋め、谷を

渡る涼しげなそよ風に花弁を揺らし、参加者はカメラを向け、満足

した様子であった。

煤が谷への分岐、旧駐車場で昼食。

午後は、近くを散策いた後、私が撮影した“不動尻の花々”の写真

を使い、緑溢れる不動尻の自然の中で、ミニ写真展を開いた。

石切り跡

林道を行く。

トウゴクサバノオ。

ハルユキノシタが見えてきた。

ハルユキノシタの群落だ。

花弁が 揺れる。

自然の中で

ミニ写真展を開く。

★ すばらしい 一日だった!