観察月日 2019 5.15.曇―俄雨 15℃
観察場所 松田町 寄 (秦野林道)
ゲートを潜り、林道に入ると暗いスギの植林地になる。
「ハンショウヅルが咲いていますよ」と、Rさんが草叢の
中に入って行った。
そこは以前シカ柵が設置してあった所らしく、赤く錆び
た太い針金が横に伸び、そこにハンショウヅルが絡んで
いた。茎から伸びた花柄の先に、赤紫に色付けされた4
枚の花弁が筒状に下に伸び、その先がめくれ上がり、
“明治の頃の半鐘のある風景”をつい連想してしまった。
以上、ごく普通に暮している人の考えに立って書いて見
たのだが、何かを感じた人はいないだろうか。
実は植物学?上から見ると、花弁ではなく、蕚なので
花弁は無いのです。何故、蕚と断定するのかその訳は、
考えてみて下さい。
植物に花弁が生まれたのは、数億年の昔送受粉を昆虫に
託そうとした時、と言われています。ハンショウヅルの蕚片
が、赤紫の色を付け、半鐘形で下向きなのは、昆虫に対す
る情報の発信と思われます。人間が単に“花弁だ、蕚片だ”
と拘る間も、植物は柔軟に命を繋いでいるのです。
花柄の中程に対の小苞も目に付いたり、葉柄が長く茎を支え
ている等々、私達の眠っている感性を呼び起こすのが、“観察”
というものでありましょう。
この日は他に、、ヤマツツジ、ミツバウツギ、ヤブデマリ等のす
ばらしい株に目を奪われ、俄か雨に煙る森の中を帰路に着いた。
ハンショウヅルが咲く。
まだ蕾も。針金にからんで。
そう果も出来始める。
ヤマツツジ。
ミツバウツギ
ヤブデマリ
雨に煙る森