軍事と経済は不可分
日本を従属させる日米安保
五月一日の日米安保協議委員会いわゆる2プラス2で、日米両政府は米軍再編の最終合意をしました。この時の共同発表は「日米同盟は、基本的人権、自由、民主主義及び法の支配といった両国が共有する基本的な価値を促進する上で、ますます極めて重要となってきている」とうたっています。日米が基本的な価値を共有していることに注意してください。
その日米同盟、すなわち日米安保条約は、第二条で「経済政策における食い違いを除くことに努め、両国の間の経済的協力を促進する」とうたっています。「食い違いを除くこと」つまり「経済の一体化」です。日米安保条約の正式の名称は「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」です。日米安保条約は軍事だけではありません。経済も政治もアメリカに従属する仕組みになっているのです。
アメリカは「基本的な価値の共有」「経済の一体化」を盾に、市場開放、規制緩和、M&Aなど、経済面でも日本に様々な要求を押しつけることができる仕組みになっています。
六〇年の安保締結交渉で、アメリカ側の責任者はクリスチャン・ハーター国務長官でした。ハーターは六二年、ケネディ政権下で新設された特別通商代表(STR)の初代代表に就任した。このSTRが一九七九年に改組されて現在の米国通商代表( USTR )になります。STR代表としてハーターは、後に『年次改革要望書』へと行き着く「日米貿易経済合同委員会」を主導しました。この合同委員会の設立趣意書には、安保条約第二条に基づいたものであることが明記されています。
USTRは大統領直轄で、日本の経済政策にあれこれと注文をつけ、通商問題に関する交渉を一手に引き受けます。以前はUSTRの日本支部がありましたが今はありません。勝負がついたからです。今あるのは中国支部で、中国に通商問題でさかんに要求を突きつけています。
STRの初代代表のハーターが、六〇年安保締結交渉のアメリカ側責任者だったその人でした。このことからも分かるように、米国の通商政策は軍事と不可分です。日本は軍事だけでなく、経済や政治でも、アメリカに従属する仕組みに組み込まれているのです。
一部のエリート、特権的な人たちが、自分たちの私腹を肥やすために圧倒的多数の国民を貧乏に追いやる。若者たちはフリーターなど低賃金の不安定雇用に追いやられている。アメリカの志願兵と同じ構図が作られつつあるのではないかと思います。そういう若者をだましてこき使い金もうけをしている連中がいるのです。ミサイルは一基が何百億円です。日本はアメリカの指揮命令に従う米軍再編のために、三兆円を差し出します。その金に企業が群がっています。
こういう話をぜひ周囲の人たちに広めてほしい。戦争体験ある年輩の人たちが、被爆体験のある長崎の人たちが、ぜひ若者にきちんと話をしてほしいと思います。
(完)