消された伝統の復権

京都大学 名誉教授 本山美彦のブログ

 野崎日記(24) 新しい金融秩序への期待(24) 環境問題とビジネス

2008-12-09 17:12:10 | 野崎日記(新しい金融秩序への期待)

   アメリカこそが民主主義の権化だということに対してなにをいうか。第一段階は石油、第二段階はM&A、第三段階はサブプライムローンで、M&A時代は終わった。次はなにか。建前的にだれ一人正面きって反対できないものにいくでしょう。

  環境守りましょう、大事だ、だれも反対できない。ところが環境ビジネスが成り立っていく。問題は環境ビジネスの排出権、この値段をだれが決めるのか。まず排出権をだれが買うのか。買うのは日本です。京都議定書は非常にあやしい。今から思うとあれは偽物だった。

 当時、1990年、日本が一番エネルギー節約の大先進国だった。ヨーロッパは旧共産圏を吸収するわけですから、エネルギー問題は劣等生です。最も排出の少なかった日本もヨーロッパも、ともに、削減目標を設定された。だけど、もともとボロボロの状態で出発した1990年、東西ドイツ合併ですね。このときのヨーロッパはいくらでも削減数値を大きくすることができる。

 わが日本は8%に設定されたけどものすごく苦しいです。ほんとに節約は限界まできた。そうなると売り手はヨーロッパ、買い手は日本という構図になることは、初めからわかっている。

 そしてゴア(前アメリカ副大統領)。私は、彼を尊敬してません。カスピ海沿岸の石油関連はほとんどゴアの手にある。ノーベル賞自身があやしい。

 
私はノーベル基金100周年で京都大学で接待係りだったんです。裏話しいっぱい聞きました。あれはビジネスです。
ちなみにノーベル経済学賞なんてノーベル賞にありません。ノーベルを記念して作ったスウェーデン銀行賞なんです。だから金融論ばっかり賞をもらう。私みたいな反体制は絶対にもらえません。

   ゴアは石油問題でここまで世論作りに成功した。08年から現実に排出権の売買がはじまる。そして、ラテンアメリカでシェブロンをはじめとした巨大な石油会社が石油採掘をはじめた。世界環境問題がクローズアップされるやいなや、途上国がその被害をうけている。

  世界の企業が、環境ビジネスやって、排出権を日本に売る。京都議定書をアメリカは批准していません。カナダは途中でやめました。日本だけがまじめに一生懸命、削減に取り組んでいます。環境ビジネスのお客さんは日本です。売り手はおそらくヨーロッパです。アメリカもそうでしょう。平和な暮らしをしていたアマゾンの住民たちが、排出権取引のために犠牲になった。彼らは消えていく運命にある。そうしたこともあって、あいついで、先住民族出身の反米の大統領がラテンアメリカでは出てきている。

  日本ではチャベスしか有名ではないが、エクアドルもボリビアもいっぱい反米の大統領が出てきている。そういう問題の中で環境サミットが開かれている。つまり第4段階は世界から金を集めていく環境にします。日本は一生懸命金を払うでしょう。じゃあその値段を決めるのは、イギリスとアメリカのなんです。彼らが取引所を作っている。まだ始まって間がないですけど今年から売買開始です。ムーディーズやS&P、70%のシェアよりもすごいシェアをその2カ国の一会社がシェアをもつ。そうすることによって、また、アングロサクソンは自分たちの垂れ流した世界のお金を再び回収してつぎのビジネスに投資することができる。ファンドだけが繁栄し続ける。ファンドが売り付ける物を日本が買う。経済なんてものは生き馬の目をぬくものです。人のいい日本をいかに上手にだまして金をまきあげていくか。その中でヨーロッパとアメリカが裏面で駆け引きをしているのですなにも知らされないわが日本が搾取の対象になっている。

  話を変えます。ザンビアという貧乏な国があります。あるファンドがザンビア政府の債務、借金を、ある銀行から二束三文で、それこそ10分の1以下の値段で買い取った。そして、債務全額を払えと、ザンビア政府につきつけた。大統領はそれをのんだ。ザンビア大統領はスイスに秘密口座をもっていた。そこで秘密の企業を運営した。ファンドはそこへ献金していた。世界から途上国へ金が集まり、その金は途上国の民衆のためにあるんじゃなくて、一握りの先進国企業、ほとんどファンドに流れていってしまう。イギリスでそのことが問題になりましてた。ところが裁判所の判決はザンビア政府の決定が正しいというもので、民衆による支払い差し止め訴訟ははねつけられた。契約は契約だと。イギリスの議員たちは怒り出して、そんな悪法を作るイギリスの契約法は即刻無くせと、デモクラシーナウという国際的組織が放映したら、びっくりしたアメリカの議員さんたちがブッシュのところに押しかけた。こうして、ザンビア問題が世界から注目されるようになった。

  日本で『エコノミックヒットマン』という本が東洋経済から出ます。そいう裏話を紹介したものです。私達はそういう情報にあまりにも疎すぎて、事実があることすら知らない。それを、アメリカの良心的な市民たちがWeBサイトでたちあげて、全世界に発信していている。私達は少なくとも日本語になおして流していかなければいけないのではないか。

   ATTACさんはじめ、全世界的な規模で活動される組織はいっぱいあるんですけど、我々も国際的な分野で国際的な情報収集作業を皆の手でやれば、一握りのマスコミの論調に躍らされることはないだろうと思います。

 
最後に、日本のマスコミは、テレビと新聞とを兼営する。こんなことは世界ではありません。しかも大新聞は、株式を公開していない。こんな時に、NHKが民営化されたらどうなるか。結局やられますよ、フォックスの餌食になります。BBCがねらわれたように。

  話が大きすぎましたがなんとか分かっていただきたいと思います。金融の第4段階にきたんだということを。

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