おわりに
「シティ・グループ」になって以降のグループの拡大はまさに破竹の勢いである。
1999年「シティ・グループ」はインターネット・バンクの「シティ・ダイレクト・オンライン・バンキング」(CitiDirect Online Banking)を創設。
同年3月「日興ソロモン・スミス・バーニー」(Nikko Salomon Smith Barney Ltd.)を設立。
同年3月チリ第2の商業銀行「フィナンシエロ・アトラス」(Financiero Atlas)買収、同年9月「リップルウッド」(Ripplewood)と組んで、日本長期信用銀行買収。
同年10月財務長官ロバート・ルービンが経営陣に加わる。
2000年メキシコの年金ファンド「アフォレ・ガランテ」Afore Garante)を買収。
同年3月1999年11月クリントン大統領の署名によって成立した「グラム・リーチ・ビリー法」の適用第1号銀行となる。
2000年5月「ソロモン・スミス・バーニー」が「シュローダーズPLC」(Schroders PLC)を買収し、ヨーロッパで「シュローダー・ソロモン・スミス・バーニー」(Shroder Salomon Smith Barney)を設立。
2000年には、ポーランド、アルゼンチン、イスラエル、ブルガリア、台湾、ハンガリー、ジュネーブでそれぞれの国のリーディング銀行を相次いで買収。
2001年にもメキシコ、ケニヤの銀行を買収、以後もミューチュアル・ファンドや年金等々の金融業務に乗り出している。
米国は銀行・証券・保険の垣根を取っ払ってしまい、ひたすらM&Aを通じる巨大化路線を走っている。それはまさにパソコン市場におけるマイクロソフトである。
権力に近い少数の超エリート人脈から外れてしまうとそれこそビジネスができないようになりつつある。こうした社会が安定性を示すとはとても思われない。しかし、どこから破綻がくるのかはいまだ誰にも分からない。