【わんちゃんの独り言】

毎日の生活の中で見たこと、聞いたこと、感じたこと、思いついたこと等々書き留めています
(コメント大歓迎デス・・・・・)

戦争を詠む PART3

2022-05-15 | 折々の花~散歩道で~
<高野公彦選>
 官僚の書きし作文読む日本 ゼレンスキーの魂の声(名古屋市)福田万里子
 太陽は大円となり沈みゆきウクライナの地を照らしに向かう(神戸市)松浦知恵子
 「子どもらの未来の自由を守るため」男ら言いてキエフに残る(観音寺市)篠原俊則
 馬の目も牛の目もやさし人間はさあどうでしょう続く戦争(高岡市)梶正明
 残念な生き物王座に輝くは戦争絶えぬホモサピエンス(川崎市)森八重子
 至言(しげん)「歴史は繰り返さずに韻を踏む」ヒトラーせしことプーチンがする(京都市)森谷弘志
 哀れなるロシア兵かな祖国ではあなたの死さえフェイク扱い(山形市)小林英則
 【評】 
一首目、確かにあの大統領の声は魂から湧いてくる感じ。
二首目、沈んだ夕陽(ゆうひ)は西方のウクライナを照らしにゆく。
 
<永田和宏選>
向日葵と小麦の大地に春近し銃を持つ手に種は蒔けない(日立市)加藤宙
 ウクライナ見れば軍備は必要とこの友までが言い出すのかと(神奈川県)神保和子
 地下壕にふるえ泣いてる栗色の髪の少女はあの日の私(八王子市)守屋栄子
こんな時に不謹慎だと迷彩の服着る我を戒める母(三原市)池田桂子
 キエフの街を泣き泣きひとり歩く子をカメラは前からうしろから追う(相模原市)武井裕子
 あの時も四十の母は乳呑児を背負って逃げた三月十日(草加市)伊藤真砂子
 戦場に掘られた穴に重なれり納体袋に納体袋が(観音寺市)篠原俊則
 国民が国家を動かす幸せと国家が国民動かす不幸(柏市)加藤安博
 パンのため兵士募集に応じたと出稼ぎのごと話すシリア人(北九州市)田部久美子
 CGの映像ではなく着弾の巨大な穴が市街地に空く(出雲市)塩田直也
 【評】 
時事を、社会を詠(うた)うことだけが歌の使命ではない。日常の機微を詠いとめることは作歌の大切な意味だ。
しかし、今回はすべ て ウクライナの歌になってしまった。私の脳がこの危機的状況に占拠されている故とお許し願いたい。
 
<馬場あき子選>
向日葵と小麦の大地に春近し銃を持つ手に種は蒔けない(日立市)加藤宙
 「kamikaze(カミカゼ)」と英語のニュース聞こえきぬ「空から突つ込む自爆ドローン」と(町田市)村田知子
 ウクライナへの防弾チョッキ積みて発つ機影の消えるまで画面見つ(一宮市)園部洋子
 ポンペイの灰に埋もれし死者たちに核戦争の未来重ねる(東京都)野上卓
 沖縄はいまだに戦場と訴える「辺野古のおばあ」は九十二歳(江別市)成田強
  【評】
第一首の上句はウクライナの平和だった頃への思い。下句に銃を持たない手への祈念がある。
【おまけ】
流氷の欠片漂ふトーサムポロ沼腰まで浸(つ)かり浅蜊掘りする(札幌市)藤林正則
北海道根室の春。海から流氷のかけらが流入する沼の浅蜊漁。昔ながらの辛く苦しく、冷たい光景が「腰まで浸かり」に如実。
トーサムポロ沼(北海道根室)こちら
 
<佐佐木幸綱選>
 三度目(みたびめ)の過ちとなる瀬戸際に晒されている大戦と核(尾道市)森浩希
 吐(つ)いた嘘無かったように新たなる嘘をまた吐(つ)く嘘吐(つ)きの嘘(川越市)西村健児
 世界中の三角形の頂点は底辺のこと何も知らない(綾瀬市)小室安弘
 ウクライナの空と大地が震へれば地下シェルターの人ら黙せり(小金井市)神蔵勇
こんな時に不謹慎だと迷彩の服着る我を戒める母(三原市)池田桂子
 【評】 
第一首、なんとしても避けたい第三次世界大戦と三発目の原爆投下。
今週もロシアのウクライナ侵攻にかかわる作が多くあった。
2022-4-24日曜日 朝日新聞:朝日歌壇 

【おまけ:散歩道で出会ったお花】
コバンソウ(小判草)イネ科


イネ科の植物は一般に地味。その中でコバンソウは小さいながら小穂(しょうすい)は丸くて少し膨らんだ扁平。熟すと黄褐色になり、小判の名がつけられた。明治中頃に観賞用にヨーロッパからもたらされ、逸出帰化植物:いっしゅつきかしょくぶつ(栽培植物が野生化したもの)

ゲンゲ(紫雲英、 Astragalus sinicus )マメ科 ゲンゲ属 中国原産。
レンゲソウ(蓮華草)レンゲとも呼ぶ。
 
 

昭和30年代には各地で見られた。姿を消したのは、米作りが早くなった理由が大きい。花後は田にすき込まれ、有機質の緑肥とされた。それが十分発酵するには一か月以上必要。五月の田植えでは、未熟なために腐敗し、害を与えてしまう。
室町時代に中国から輸入、ゲンゲは中国での呼び名がなまったものだといわれる。。


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2 コメント

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ウクライナ戦争・・次の一手を詠む (w2-54) (里山の里)
2022-05-21 17:29:18
ウクライナ戦争を題材にした朝日歌壇の紹介もPART3で3回目となります。今月(5月)の24日で、ロシアの侵攻から3か月になる。ロシアが「さばを詠み」すぎたか、「手の内を詠ま」れたのか、長期戦が予想される。
朝日歌壇の投稿者の歌や、選者4名の論評については、そのようなことだとおもいますが、私の個人的な意見としては、日本人はいかに平和に慣らされている(平和ボケな)のか、世界の情勢等にどう対応するのかについては・・「ボーット生きている」と思いました。勿論、政府の3億ドル支援、700人以上のウクライナ人の受け入れなどがありますが、次の一手は「独裁者」の「自然な天国ゆき」だと思います・・・政治的なお話は適当ではありませんので、このあたりで、私の御託をカットします。
朝日歌壇の投稿者には常連の方がおられ、今回も観音寺市の方が毎回登場されています。歌壇の題材は折々の情勢に左右されますが、万葉の時代から季節の花などが詠まれていまので、野原でよくみかける、ブログで紹介される、コバンソウ、レンゲ、西洋タンポポ、ナヨクサフジ、ヒナギキョウ、ムラサキゴケなどの野草(外来種が多いですが)を季節ごとに詠んだ歌は少ないと思いますので、・・皆さん、この題材で朝日歌壇に投稿しましょうか!!!選者には野草フアンがいるのでしょうか!!!
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里山の風さん こんにちは~ (わんちゃん)
2022-05-23 12:21:57
拳を高く突き上げて、声高に「戦争反対」と叫ぶも良し・・・
戦争を詠んだ歌を静かに読むも良しの心境です。
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