植物の生き抜く戦略
ジュラシック・ツリー ナンヨウスギ科
世界共通名: Wollemi Pine(ウォレマイ ・パイン)
この枝振りと葉っぱは?
上の方の枝は上に向いてるし、下の方の枝は完全に下を向いてる、
恐竜と同じ時代に生きていた木、1994年にオーストラリアのシドニーから西方に200km離れたウォレマイ国立公園内の渓谷で発見されました。
アメリカで挿し木苗が養成されました。
京都府立植物園に植栽の個体は日本植物園教会を通じてオーストラリア・クイーンズ州政府森林局から送られたものです
上から見ると360°枝が重ならないようになっている・・・重なってるとしても下の方の極々小さい枝、
枝を横から見ると葉っぱが枝に対してこんな具合、
太陽の光をもらおうと工夫してますねぇ、重なってません
この株は日本では物凄く珍しいモンです、世界でも20年前にやっと見つかったんですから・・・
オーストラリアのシドニーのウォレマイ国立公園のどっかにあるんです、見つかった場所はもの凄い渓谷のホントの谷底のところで、地元の保護官が研究散策していた時に見つけたそうです。今ではそこの現場に行くには研究者といえども目隠しをしないとアカンそうです。
恐竜と同じ時代に生きていたモノ、現地では個体が100本ほどという貴重なモノです、シドニーの植物園では植木鉢でこの木の挿し木をS,M,Lと売ってるんですよ、こんな貴重なモンを何で売ってるの?ソレは売った会社が利益を追求するんじゃなくってこの樹木を保護するための基金になるように売っている、んだそうです。現場の個体を守っていくように世界中の人に関心をもってもらうようにと言う意図もアリです。これからグングン大きくなっていきます、ちょこっと珍しい木なんで皆さんに関心を持ってもらいたいですねぇ。
ちなみにこれまで最古とされてきた第三紀(約6000万年前~)のメタセコイアより、更に古く現存する最古の種子植物(1億5千万年前~)で、希少種であるとされます。
ジュラ紀にも銀杏の黄葉輝けリ恐龍たちの街路樹として―安部尚子
↑ 道草さんよりいただきました。
ハリモミ(針樅)マツ科別名:バラモミ
葉っぱが針のようになってるんで針モミ、触って薔薇のように痛いンで薔薇モミとも・・・
日本固有種(日本だけにしかありません)
富士山には樹林があって天然記念物に指定されてます
近畿では大台ケ原。
京都府立植物園でのハリモミは世界一というお墨付きをもらっている、そうです。
山に行くといっぱいあって、隣同士キュウキュウになってて下の方の枝なんかには太陽が当たらないんで枝が落ちてしまってる、このハリモミは回りにさえぎるモンが無いので十分に太陽の光を受けてて下の方の枝はグ~ンと垂れ下がってまた上の方へ伸びている、コレがこの木本来の姿です
木も草も太陽の光が一番生きる源、太陽の光をもらうために物凄い戦略を持っています、ちなみにこのハリモミの葉っぱを見てください。葉っぱ(針葉樹)の付き方は枝という枝に付いている、葉っぱの付き方がどんな角度かと言うと、いろんなところから出てる、まんべんなく太陽の光が当たるようにね。
マツボックリ
この木は枝の先に松ぼっくりが付いてて下向いてます。
アカマツ、クロマツはどんなところに付いててどっち向いてるのかな?ソレは宿題に・・・
モリンダトウヒ(モリンダ唐檜) マツ科
別名:ヒマラヤ唐檜
葉っぱの付き方は長い枝があってそれにカーテンみたいに下向けに細い枝があります細い枝に葉っぱがいっぱいついてます、そういう付き方をして太陽の光をいっぱいもらおうという戦略ですね。
コウヨウザン スギ科
中国南部、台湾原産の常緑高木
葉っぱの先にスギボックリが付いている
3年ぐらいの枝から細い葉っぱが付いている、ず~っと元の方へ辿っていくと、古い枝になって太くなります、その辺りには太陽の光は当たらないので葉っぱを出す必要が無い、出しても光合成しません、外に向かって伸びる枝には全部葉っぱを付けてちょっとでも光をもらおうと・・・
枝の先の葉っぱをジックリと見ましょう、ナルホドな葉っぱの付き方。
それぞれの落葉樹たち、今は葉っぱは無いけれど、無ければ無いなりに枝の姿が美しい、木々の種類によって太陽の光を取ろうとする戦略が違ってくるのですが、基本的には太陽の光を十分にもらって光合成をして大きくなってゆく、ソレが戦略です。
夏には葉が茂ってて枝振りの観察は難しい、落葉してる今の時季が枝振りの観察にはもってこい、と言いながらエノキの下で。
エノキ(榎)ニレ科
エノキの枝ぶりどうですか?キレイでしょ?
いっぱいいっぱい他の木と重なってない独立木なんで、十分に枝ぶりを伸ばすことができる、そうすることによって太陽の光をもらうという枝の出し方をしてますねぇ
木の種類によって枝の出し方が違うんですが、針葉樹なんかはゴッツイ枝で細い枝はあんまりありません、このエノキ(落葉樹)は枝の先まで細い枝がいっぱい、細い枝ということはその先につく葉っぱは小さい
【おまけ】
松谷名誉園長さんの言葉
無茶苦茶寒い日も無茶苦茶暑い日もものすごく楽しい!!
何でかと言うと、お客さんが少ない、こんな広くって静かな空気のいいところを独り占めできるから・・・
寒い寒い日も暑い暑い日も植物は動いている、場所を移動すると言うのではなく、動いているのが確実に解る、例えばチューリップの芽が出かかってる
1週間後に来て下さいチューリップは確実に動いてます、植物園はちょっと間隔をあけて来ていただくと確実に動いてるなっていう感覚がすごく解りますよ。
植物園の基本は植物なんで植物を見にきて欲しいなと思います。
園長(金子)も私も1ヶ月交替で、また職員は毎週土曜日にミニミニガイドやってます、植物園の関係者が植物の持ってるメッセージを伝えるということをやってるんだなということです、それって、教科書や図鑑に載ってないこともたくさんいろいろと話をすることと思います、それがおもろいなぁとか楽しいなぁとか不思議やなぁとかいっぱいありますしぜひ植物園に足を運んで下さい。