ある料亭が偽装で問題になったとき、昔のテレビ番
組を思い出しました。 その料亭の創業者が晩年近
くになって、家族などとお気に入りの料理屋に行った
時のことを番組にしたものです。
胡麻豆腐が出され、箸で触れた途端「今日のは、
この間のより大分良さそうやなぁ」(他の店のものより
ずっとおいしそうだ、との意味です)。 家族などが揶
揄(やゆ)して、「まだ食べてもせぇへんのに...」
(まだ食べてもいないのに)と言うと、苦々しげに「箸
触りが違うがな!」(まったく違うじゃないか)。
箸触り(はしざわり)、食品の滑らかさや感触でその
食品の出来を感じ取る感覚の鋭さに驚くと共に、創
業者が亡くなればこの料亭の値打ちも無くなってし
まうのか、と嘆かわしく思いました。
晩年に近いのに、料理の基本のひとつである箸触り
すら受け継がれていない。 弟子だからといって、師
匠をすべて受け継げるわけではない。 伝承武術の
ひとつを学ぶ者として、伝承の奥深さ、恐ろしさを感
じています。
組を思い出しました。 その料亭の創業者が晩年近
くになって、家族などとお気に入りの料理屋に行った
時のことを番組にしたものです。
胡麻豆腐が出され、箸で触れた途端「今日のは、
この間のより大分良さそうやなぁ」(他の店のものより
ずっとおいしそうだ、との意味です)。 家族などが揶
揄(やゆ)して、「まだ食べてもせぇへんのに...」
(まだ食べてもいないのに)と言うと、苦々しげに「箸
触りが違うがな!」(まったく違うじゃないか)。
箸触り(はしざわり)、食品の滑らかさや感触でその
食品の出来を感じ取る感覚の鋭さに驚くと共に、創
業者が亡くなればこの料亭の値打ちも無くなってし
まうのか、と嘆かわしく思いました。
晩年に近いのに、料理の基本のひとつである箸触り
すら受け継がれていない。 弟子だからといって、師
匠をすべて受け継げるわけではない。 伝承武術の
ひとつを学ぶ者として、伝承の奥深さ、恐ろしさを感
じています。