お灸!

お灸にはまっています。 お灸や漢方などの勉強をまとめてみたいと思いました。 「個人的感想」ですけど...

古書の読み方?

2007-06-30 11:17:25 | Weblog
たまたまなんでしょうが、深谷先生のご紹介をした後、「名灸穴の研究」
を府立図書館で借り出そうとしたら、3冊ある蔵書がすべて「貸出中」、
おまけにお一人の予約まで入っています。

お灸に興味を持たれる方が増えるのはうれしいんですが、こうした先人
の古書(と言ってもそれほど古くはないんですが)を読むには、ある程度
基礎となる知識を持っていただく必要があります。

「こういう症状にはこのツボ」、専門書ではなく一般の鍼灸の本では大概
このように書かれていますが、ほとんどの場合、何故そうなのか基礎と
なる漢方の考え方には触れていません。 そのため読む方は単なる対処
療法しか頭に残らず、鍼灸の底力が実感できなくなってしまいます。
これに対し古書は、漢方の考え方に裏打ちされたものです。

古書は初めは「ざっと」読む。 気に入ったツボにお灸を続ける。 そして
基礎となる考え方の勉強が進めば、また読んでみる。 お灸する、学ぶ、
また読む、お灸する、学ぶ... こうしたプロセスがあるんだ、ということ
を知っていただきたいと思います。 私もまたこのプロセスを実行し続け
ている一人です。

忙しいとき?

2007-06-29 10:33:59 | Weblog
お灸はいいんだろうけど、なにせ忙しいからなぁ、と言うときに重宝する
のが中[月完](ちゅうかん)です。 ツボの漢字は、なかなか一般の
辞書には無いので困りますが、月へんに完了の完と書く一字です。

手の人差し指から小指まで4本を揃え、お腹の「おへそ」から上に置き
ます。 小指がおへそにかかっていれば人差し指の端が、おへそから
3寸になります。 中[月完]はここから親指の幅上がったところ、つまり
おへそから真っ直ぐ上に4寸です。

この辺りを、少しずつ指を動かして押していきます。 お腹にズーンと
響くところ、そこにお灸をします。 この中[月完]の上下左右1-2寸
を探ると、同じように感じるところがあるかも知れません。 ここにも
ついでにお灸しておくと良いのです。

中[月完]の主治は胃腸の調子を整えることですが、ここには複数の
経絡が交わっているので、神経を静め、不眠症を軽快させる効果も
あります。 ストレスの強い現代の忙しい生活には、頼もしい健康穴
だと思います。

痛いところ?

2007-06-28 10:12:58 | Weblog
 ミズノのアイスバッグ(手のひらサイズの小さなものです)

圧痛点と「炎症での痛み」とは、しっかりと区別しないといけません。
痛いからここへ、というのは多くの場合危険です。 皮膚表面だけで
痛みがあることも多いからです。 また特に「強い痛み」は炎症を伴っ
ていることが多いので要注意! 炎症が無いか、必ず患部を実際に
確認します。

はれぼったい、熱を持っている、など炎症を感じたら、アイスバッグ
(氷嚢ひょうのう)などでまず冷やすことが大事。 炎症部にお灸を
すえてしまうと、もっと痛みがひどくなるときがあります。(私も何度
か失敗しました...)

間接部の痛みは、冷やすことで軽快することが多く、スポーツ・リハ
ビリではアイスバッグは必須用品となっています。 20 - 30分冷や
して痛みが引くのなら、炎症です。

炎症の無い間接部にお灸をすえるときも、痛んでいるところはなる
べく避け、その周辺のツボにすえると、痛んでいたところが軽快する
ことが多いものです。

ツボと圧痛点?

2007-06-27 10:38:16 | Weblog
自分自身またはお灸される側が感じる、ツボ周辺での深部に届く鈍い痛み
を「圧痛点(あっつうてん)」と言います。 ここは、炎症での痛みと違い、この
圧痛を感じるところ自体に医学的な障害があるわけではありません。

人間の身体にはエネルギーを循環させる経路があり、この経路が身体の
すべての部位にエネルギーを供給しています。 これを東洋医学では経絡
(けいらく)と呼びます。 これは西洋医学で言う血管やリンパとはまったく
違う、東洋医学独特の考え方です。 この考え方については改めて書いて
いきますので、今はこういうものがあるらしい、程度で了解してください。

この経絡は身体を循環していますが、この流れが皮膚に近いところに来る
と、受け持ちの部位の異常を知らせる反応を示し、また外からの刺激を
受けて異常を修正するポイントになります。 これがツボです。

ツボを押してもすべて痛むわけではありません。 圧痛を感じるのは、経絡
の受け持っている部位が何らかの異常事態になっている、ということです。

押し方?

2007-06-26 11:13:17 | Weblog
初めの頃女房にツボの辺りを押させても、押し方の要領を得ていないの
で、こちらもイラ立ち、口げんかになってしまうことがありました。 チョン
チョンと触れている程度では、相当訓練を積んでも分からないでしょう。
肌の上に指を「遊ばせている」だけでツボが判別できるなら、それこそ
名人と言えます。

昔のお灸名人と呼ばれた人は、こうした技能を持ち合わせていたよう
ですが、凡人の私達は、経穴マップなどで大方の位置をつかみ、その
周辺に親指を置き、指先を静かに押し下げます。 この「静かに」が
重要で、グイグイではダメなのです。 感覚を言葉で表すのは難しい
ですが、指先にジンワリ「重し」を乗せてその重さで押し下げる、押し
込むという感じになります。

ツボに入ると、親指で静かに押し下げるだけで、鈍い痛みや深部に
届く「何ものか」、または身体の他の位置に反応が出ます。 また
慣れてくると、指先に固まりのようなものを感じることができます。
ここにお灸すると著効(ちょこう・際立った効果)が現れます。

ツボの取り方?

2007-06-25 11:54:33 | Weblog
どういう症状でどういうツボを取るのか、一番手っ取り早いのは前にご紹介
した「経穴マップ」の主治のページを参考に、大体の位置にお灸をすえて
続けてみる、というのが良いでしょう。

ツボの取り方やお灸のすえかたには、ある程度の経験(と言っても2週間も
あれば十分)が必要です。 まずツボや経絡の勉強をしてからと思っても、
実際にお灸しなければ、ツボや経絡自体も分からないものです。

鍼灸は理屈(りくつ)ではなく実践です。 お灸は江戸時代には国家が
認める療治法となり、中国も含めれば何千年もの治療実績があります。
経絡など中国・東洋医学の考え方を哲学と呼ぶ人もいますが、本来は
治療実績を集大成、整理してまとめ上げたものです。 実践しながら学ば
なければ、結局何も分からないものだと思います。

さて、ツボの取り方は、「どう押すか」というところにつながります。

古武道と合理主義?

2007-06-24 15:54:30 | Weblog
大阪で行われた古武道大会を見学しました。 失礼ながら聞いたことも
ないような全国の流派が集まり、大変盛況でした。 ただ気になったこと
があります。

居合をされる方も多くなっていると聞きますが、近頃、力で振り回したり、
勢いでという方が増えました。 本来刀の能力から言えば、巻藁(まき
わら)や竹は十分切れます。 力や勢いは必要が無いのです。

武士と武士とが立ち合う時は、相手の腕を見ています。 力や勢いを
使うと、太刀先よりも手の方が先に落ち、また構えにスキが生じるの
で、相手に気づかれ逆に切られてしまいます。 また力はそうは続か
ないものです。 武道はわけの分からない精神論ではなく、生き延びる
ための徹底した合理主義です。

本物の先生は、力も勢いも使われません。 お灸も含め、古来のもの
を現代の人間が学ぶのは難しいものです。 しかし精神論よりも合理
主義・実証主義、アマチュアのブログではありますが、これを今後も
続けていきたいですね。

どこでもツボ?

2007-06-23 10:24:15 | Weblog
ツボが動くのであれば、多くの本に書いてある、何々の骨から何寸などと
いう表示は意味があるのでしょうか? うーーーん、とうなっていても仕方
が無いので、とにかく取穴してみましょう。

一応表示を信じて取穴してみると、その「近辺」に筋肉や筋の境目、へこ
んだ所などがあります。 ここかな、いやあっちかな、と迷うところもありま
す。 結局は、はっきりしないのですが、押しまくっていると、鈍い痛みを
感じるところ、身体の内部にずーーんと響くところ、さほど感じないところ
が出てきます。

この何ものかを感じるところ、これがツボになります。 そのツボが、どれ
かの書籍に図示してあるツボとずれていても、問題はありません。 お灸
し続けている間に正しいツボは現れてきます。 これは実践しないと分か
らないことです。

押しまくる、押して押して押しまくる、というところが大切です。 失礼な
言い方かも知れませんが、漢方では眼から鼻に抜ける、一を聞いて十を
知る「秀才」は必要無いので、毎日少しずつやる、続けるということが
要点になります。

ツボは動く?

2007-06-22 13:29:58 | Weblog
昭和に鍼灸師として名前が知れた方はたくさんおられるでしょうが、私達
が今書物などでその姿の片鱗に触れられるのは、沢田流の沢田健先生、
深谷流の深谷先生などでしょう。 このお二人は名人と呼ぶにふさわしい
方達で、「xx流」などと家元じみていますが、それぞれ取穴や療治に独創
性を持たれました。

市立図書館にはあまりありませんが、大阪府立図書館は鍼灸関係の蔵
書が多く、よく利用させて貰っています。 深谷先生の著作を何冊も読ん
でいく内に、「ツボは動く」と書かれているのに目がとまりました。

一般に言われているツボの位置は基本ではあるが、これにとらわれて
いては療治はできない。 お灸の最中にでも、ツボは移動するものだ、と
言われるのです。

後になって知りましたが、同じ事をずっと先輩の沢田先生も言われていた
とのこと。 私の経験でも、何壮か続けてすえていると、ツボが「現れて
くる」、明確になってくることがありました。 その位置がはっきりしていな
かったのに、お灸の間に反応が強く出て、ツボの在処が分かってきます。

同身寸?

2007-06-21 10:27:59 | Weblog
経穴マップの始めでも「手指同身寸」について解説してあります。 この
考え方がいつ発生したのか明らかではありませんが、身体とその人の
手指の寸法が比例する、というもので、鍼灸に関する書籍には必ずと
言って良いくらい出てきます。 手の親指の一番太い部分の幅が1寸、
人差し指・中指・薬指を横に並べると2寸、という具合で、手首の横紋
から何寸にどういうツボがある、と表示します。

初めの頃は「なるほど、なるほど」とやっていたのですが、これおかしい
ですよね。

手や指の大きさは、労働や生活環境によって大きく変わります。 私は
事務系の作業ばかりですから、手も指も細いですが、武道を学びだして
から少し手も指も大きく太くなりました。 筋肉もつきましたが、骨の長さ
が飛躍的に伸びるということはありません。 それに身体は小さくとも、
手が大きな人はいくらでもいます。

何か原理原則が違うのか、特別な真理がひそんでいて、それがただ私
には分からないだけなのか... 悩めば悩むほど分からなくなります。
この時に出会ったのが深谷伊三郎先生でした(ご本人ではなく、著作で、
ですが)。