大分単身赴任日誌

前期高齢者の考えたことを、単身赴任状況だからこそ言えるものとして言ってみます。

「教員採用取り消し」違法判決

2015-02-24 18:11:07 | 日記
昨日、大分地裁で大分県が行った「教員採用取り消し」を「違法」とする判決がありました。

全国ニュースになっているものなのかどうかわからないので、ざっと内容を説明します。

8年ほど前、大分で教員採用や校長・共闘への昇任をめぐって現金授受などの汚職・不正事件があった、ということは、記憶している方も多いかと思います。この「不正事件」に対応する中で、2008年度の教員採用試験についても検証がなされて、08年度試験で合格した人のうち21人について得点が不正に加点されていた、として「採用取り消し」の処分が行われました(もっとも、15人は自主退職したので採用取り消しは6人)。このうちの2人が、処分撤回を求めて提訴して、その一人についての判決が出た、というものです。

この判決は、きわめて妥当なものだと思います。県教委が勝手に不正操作をしたとばっちりを受けて「合格」だ、「取り消し」だ、と振り回されてしまうのは、とんでもないことです。しかも、県教委が、十分な内部調査を尽くしたとは思えない状態で無理やり幕引きをして、犠牲を「08年度合格者」だけにかぶせてしまう、というのは、とんでもないことだと思います。

驚いたのはこの判決を受けての「大分県教育長」の反応です。新聞に報じられているところによると、野中信孝という教育長は、判決を受けて「あぜんとした。納得できない」と言ったそうです。国や地方自治体などが敗訴した場合のコメントというのは、普通「検討の上適正に対処したい」とかの何を言っているのかわからないものが多くてつまらないのですが、なかなかエキサイティングな反応で、その意味での面白味はありますね。

判決が「不正な加点は県教委内部で行われ、その非は県教委側にある」として、どのように不正な加点がなされたのかの究明を行っていないことを指摘して、「取り消し処分を行おうとする行政庁は、事実関係を慎重に調査・検討すべき義務がある」としていることに対しても、「その問題(県教委の不正)とこの問題(採用取り消し)は違う。教壇に立つには能力が足りないとできません、と判断した」と言っているそうです。「その問題」があったから「この問題」が出てきているのであって、「違う」ということこそが問題ですし、適正な教育行政をやっていく「能力が足りない」と思えるような言い分です。不正加点の経緯を明らかにできてないのに「やれることはやった」と居直ってもいるそうで、「やれること」が少なすぎて、他人にエラそうなことをできる立場ではない、ということを全くわかってないようです。

大分県をすっかり全国的に有名にしてしまった「県教委不正事件」ですが、それだけ痛い目にあっても自らを反省することをしない人がいて、そういう人が「教育長」という枢要な立場にいる、というのが、大分県の現状なのだ、ということがわかりました。せめて、こういうことではいけない、ということを教訓にしたいと思います。


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