年度末の週です。・・・今週の会務予定は特にありません。
そこで、・・・という訳でもありませんが、3月21日に日調連から各会に送られた「調測要領改定案」について、何回かに分けて私の意見を書きます。
まずは、「総論」。
「調測要領」の改定が問題になった背景には、直接的には「筆界特定代理関係業務」や「ADR代理関係業務」のような、これまでと違う業務領域が新たにできたことによって、それらの業務に関する基本的規律を明らかにする必要がある、ということがあります。それは、より本質的には、土地家屋調査士の業務そのものに求められているものがこれまでと変わってきている、という大きな社会情勢の変化、ということがある、ということなのかとも思いますが、あくまで直接的な「立法事実」としては、「新規業務への対応」ということになるのだと思われます。
その意味での「必要性」は、確かに確認しうるのですが、その課題は、はたして「調測要領の改訂」という形で行われるべきものなのか?ということが、一つの問題としてあります。
直接的なこととして言えば、たとえば筆界特定代理関係業務に関するものというのは、「調査測量」に関するものとしてとらえるべきなのか?ということです。もちろん、私たち調査士が筆界特定関係の業務に携わる、というのは、「調査測量」がその基礎にあるからこそ成り立つのであって、筆界特定関係業務における「調査測量」の重要性を軽視することはできません。しかし、「新たな業務領域」として問題になるのは、むしろ「代理関係業務」である、という面においてだと考えるべきでしょう。この分野については、調査士法などの法令による規定を基礎に、「倫理規程」でも取り上げられています。それと区別されて「調査測量要領」において課題とするべきものがあるのか?ということが問題になります。先日読んだ「民法改正を考える」(3.20のブログで紹介)の中で、「民法典」というものの改正ではなく、個別法の改正の積み上げでも足りるのではないか、という意見もある、ということが紹介されていましたが、この問題についても同様で、「筆界特定関係業務要領」等の個別要領を「調測要領」と別につくる、という形で対応するのでもいいのではないか、という意見も成り立ちうるのだと思います。
なぜ、こういう、今更ながら、みたいなことを言うか、というと、今回の「改定案」のひとつのポイントは、「将来制定を見込んでいる執務規程」につなげる意味合いがある、とされているからです。ここに問題がある、と私は思います。
この「執務規程」という耳慣れないものをどのように考えるのか、ということが問題になります。調査士が業務を執り行うに当たって遵守すべき規程、ということになるのだと思います。業務に関する「要領」ではなく、守るべき規律であることを明確にすべき、ということなのでしょう。そのようなものとして、今回の「改定案」では、「義務規定」と「努力義務規定」の区別が設けられています。 しかし、もしそうであるなら、何故「執務規程」は「調測要領」の延長線に構想されるべきものとなるのか?ということが問われなければなりません。もう少し違う道を考えて、「規程」は「規程」として、「要領」は「要領」として整理してまとめて行く方向を基本的なものとして考えることができるのではないか、と思えるのです。
弁護士(日弁連)は、「職務基本規程」 というものを設けています。これは、
「日弁連では、弁護士を取り巻く社会の変化に対応して、弁護士の倫理的基盤を確立強化し、職務上の行為規範の整備をはかるため、会員に対する拘束力のなかった従前の「弁護士倫理」(1992年臨時総会決議)に代わるものとして、会規「弁護士職務基本規程」を2004年11月10日の臨時総会で採択しました(2005年4月1日に施行)。」 (日弁連ホームページより)
というものです。つまり、総会決議であり拘束力のないものであった「弁護士倫理」に代えて「職務上の行為規範」を拘束力のある「会規」である「弁護士職務基本規程」を制定した、ということです。
同様の考え方をするなら、土地家屋調査士の世界においても、「倫理規程」を「職務基本規程」にする、という道筋が考えられるように思えます。これが筋ではないか、と思うのです。そうではなく、「倫理規程」と別のものであるところの「執務規程」を、「調査測量実施要領」の延長線上に構想する、という道筋を選択するのがどのような意味を持つのか、私にはよくわからないところです。
このことは、後で個別的な条項について述べることになりますが、「規程」にすると「要領」として持っていた具体性が失われる、ということがあるのではないか、と危惧されるところからも気になることです。「規程」には「規程」の、「要領」には「要領」の独自の性格と内容があるのではないか、と思えますので、それをゴッチャにしてしまい、その後で「義務規定」と「努力義務規定」に振り分ける、というやり方は、あまり適当ではないのでは、と思えるのです。・・・・後日、具体的な条項に即して、このことはあらためて描くようにします。・・・・今日は以上。
所属する調査士会に届いていると思いますよ。
問い合わせてみましょう。
施策への批判は対案で返すべし。