河野美砂子の「モーツァルト練習日記」+短歌+京都の日々の暮らし

7/27(土)13時30分 NHK文化センター京都 ショパン「マズルカ」Op.59全曲、「バラード第3番」等

KV301 vn.ソナタ ト長調に救われる

2008-03-31 02:36:16 | モーツァルト関連
明日というか、もう今日になるけど、東京本番。

母のことがあるので
本番当日東京入りというコワイことをすることになった。

明朝はグリーン車で行くぞ~。

エクスプレス予約の新しいカードが来たので、
ケイタイで予約、その後チケットなしでカードをタッチするのみで乗車できるようになった、というのを
明日はやってみるつもり。

今日は
愛犬ろくの散歩を夜中の12時頃するというようなめちゃくちゃさで
なかなかハードな毎日だけど

こういうとき
明日の本番で最初に弾くのが
モーツァルトの「ピアノとヴァイオリンのためのソナタ ト長調 KV301」だったので
本当にすくわれる。

2楽章のみの曲、1779年モーツァルト22歳の時の作品で
ほんとーに上等な曲(特に第1楽章)。

小さいソナタだけど
無駄な音符が一個たりともなく
なんでもないようなパッセージが
いちいち私の「音楽魂」を刺激してくる。

明日弾く他のどの曲よりも
「音楽」として素晴らしい。

明るくて、屈託がなくて
でもどこかに陰影があって……。


きつい毎日に
こういう曲を練習するのって
本当に本当にうれしいというか
清められます。

モーツァルトさん、
こんな曲を書いてくれてありがとう。♪



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hard days

2008-03-29 02:08:34 | 京都の暮らし
31日の東京での本番を控えながら
病院にいる母が目の離せない容体なので
けっこうきつい日々。

と言っても
私は本番がある、という理由で
ここ3日ほど
病院の泊まりこみはすべて妹がやってくれている(感謝)。

妹も家族持ち、また仕事があり夜がけっこう遅いので
綱渡り的な毎日。

昨日は
泊り込んだ妹が
仕事のため朝8時には病院を出る、というので
父(80歳を越え、骨折がようやく治癒しかけている)が
朝6時45分に家を出て病院へ。

私はその間
練習や、その他父の家の家事一般(洗濯、夜ご飯の用意など)や
お風呂の用意(父はまだ骨折が完治していないので、お風呂はプロの介助の人が来宅。)をして
3時ころ病院へ。

父と交代。

その後、夜8時頃に
仕事帰りの妹と一旦交代。

私は、京大病院内にあるドトールコーヒー(京都一の売り上げだそう)にて
パニーノ・ペスカトーレ(トマトソース味の魚介類を挟んだイタリア風パン)と
カフェラテをテイクアウト、
車を運転しながら晩御飯。

帰って2時間ほど練習。

その後また病院へ行って妹と交代。

妹はその日初めて帰宅(前日は病院から仕事場へ行ったので)、
家事やお風呂など後
夜中2時前に病院に到着、選手交代。

私は2時半に帰宅、お風呂などのあと
明け方5時前に寝たのでした。


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音楽やってる人四人のうち三人

2008-03-26 01:30:10 | モーツァルトに関係ないですが。音楽関連♪
今日の午後のこと。

入院している母の病室で
担当の先生と看護師さんがいろいろと処置をして下さっているとき
医療用の接着テープ(いわゆる絆創膏?)をさかんに使われる。

それを見たわたし、思わず
それって楽譜作るときに使うんですよね♪
と言ってしまった。

というのも
その若いK山先生(男性)は
お母様が、もと東京フィルのヴァイオリニスト、
ご自身もN響ヴァイオリニストのもと弟子、という方(!)。

驚いたのは
そこにいた看護師さん(女性)も
そうそう、そうなんですよね、と言って
楽譜の話をしゃはったこと。

彼女は
才能教育(鈴木メソッド)でヴァイオリンを勉強してたとか。
妹さんだかがチェロをやってるって!

病室にいる4人のうち
3人が音楽やってました。

あ、
母も、むか~し
ピアノをちょこっとやってたのですが。
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ニュース・来年公演決定

2008-03-23 23:41:22 | モーツァルトに会いたい・3
「モーツァルトに会いたい」シリーズ最終回「ピアノコンチェルト」の公演日程が決まりました!

09年3月20日(祝)、京都府民ホール「アルティ」(地下鉄「今出川」より徒歩5分)にて。
開演時間は、今のところ午後6時の予定。

コンサートミストレスは
あっと驚く玉井菜採さん(今売れっ子のソリスト・東京芸大准教授・芸大オケのコンミス)!

他に
fl.長山慶子(センチュリー主席)、cl.小谷口直子(京響主席)、vn.梅原ひまり、vla.山本由美子、vc.河野文昭、timp.山本毅(京都芸大教授・同級生です)、trp.竹森健二 などの皆さんが今のところ決まってます。

室内楽の延長のような演奏にしたいので
編成はなるべく小さく、と考えてます。

それでも30人くらいにはなるかしら?

23番イ長調KV488 と 24番ハ短調KV491 の2曲です。

今からたのしみ~。

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プログラムノート・「指の練習 KV626b/48」

2008-03-22 22:40:38 | モーツァルトに会いたい・3
3月10日「モーツァルトに会いたい3・モーツァルトマニアック」の
当日のプログラムノートの一部を以下に。

 3曲目は、演奏会で弾かれることは、まずないと言っていい曲「指の練習KV626b/48」です。
モーツァルトは、作曲家として生計を立てる以外に、ピアノ教師としても生活の糧を得ていました。
これは、ピアノ教師としてのモーツァルトが残した、ほとんど唯一の教材です。
面白いことに、細かい音符(16分音符)のすべてに、指使いの数字が書き入れてあります。
モーツァルトの場合、他に指使いが書き入れてある曲はほとんどありませんので、これはたいへん貴重なものです。

今回、この指使いで弾いてみて、一般的な現代の私達が使う指使いとはかなり違う、特異なものに私自身驚きました。
ですが、そこから読み取れることがいくつかあります。
―― 少し専門的な話になりますが、モーツァルトは、細かい音符をすべてポリフォニック(複数の声部)なハーモニーとして捉えていたこと、また、連続する16分音符を4つづつアーティキュレイト(区切る)していたことなどが読み取れます。
―― 難しい話はさておき、練習曲ではあってもさすがモーツァルト、響きがとてもきれいです。
曲の最後は、まだまだ続くように書きさしのままなのですが、今回は、一応曲を終わらせたいので、一音だけ私が音を変えて弾きます。

・・・・
コメントは、明日に。

今日は、母の容体がやや回復、
病院より車椅子で一時帰宅ということで
つかれはてましたー。
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プログラムノート2・ト短調アレグロ

2008-03-19 22:06:34 | モーツァルトに会いたい・3
3月10日「モーツァルトに会いたい3・モーツァルトマニアック」の
当日プログラムノートの一部を再録します。 

次の「アレグロ ト短調KV312」は、実は、未完の作品で、自筆譜は展開部の途中までで中断、その後、誰だかわからない人の筆跡で書き継がれています。モーツァルト晩年の窮乏生活のなかで、借金のために書くソナタの第1楽章だったと考えられています。
 ピアニストとして私が何よりも興味があるのは、この曲が短調のソナタだということです。モーツァルトの全作品中、短調で書かれたものはたいへん少なく、でもその短調の曲がいずれも名作であることは有名ですが、私自身の実感として、案外、完成されず断片として残っている短調の曲が多い、と言えるような気がします。そういえば、昨年6月の「モーツァルトに会いたい②」での「ピアノトリオ」の回にも、断片の短調のトリオを演奏しました。

・・・以下コメントです。

この曲は、最初は、その「誰だかわからない人の筆跡で書き継がれてい」る所も全部演奏するつもりでした。
が、練習しているうちに、だんだん腹が立ってきて。

弾くのが難しいパッセージでも、音楽的に素晴らしければ何の苦もないのですが
苦労して練習する価値がないようなパッセージを
時間をかけて何度も弾くのは・・・。

結局本番では、モーツァルトさんが書いた部分のみを弾きました。

ホントのこというと
モーツァルトさんが書いた箇所も
テーマなどはなかなかインパクトがあるのですが
その後の展開がもう一歩で
結局途中で投げ出したのも
なんだかよくわかるような・・・。

モーツァルトさんの短調作品は
たとえば
同時代先輩のハイドンと比べても極端に少ないのですが

もともとの資質として
短調体質ではなかった?

だから
時々短調作品を書くのだけど
なかなかうまくいかない。

でもときどき
音楽的必然性から
どっちかといえば苦労して(何しろ短調体質ではないのですから)
短調作品を書き

破棄したり
途中放棄したりしたのも多くありながら

その中の少数作品が
本当に音楽的に深いものになったのではないでしょうか。

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谷川さんんと漫才?

2008-03-17 22:44:22 | モーツァルトに会いたい・3
3月10日本番のプログラムノートを順次掲載するつもりだけど
その前に、
当日のお話も少し再録。

まず私が、京都芸術センターと楽器ペトロフのことを少し。

次に谷川さんが、なんで自分がここにいるか、ということを。
その際披露されたエピソードがけっこう受けてたみたい。

それは他でもない、戸隠での「お話と朗読と音楽の夕べ」の時のこと。

戸隠は、JR長野駅から車で約1時間の場所なのですが、
その長野駅に行くのに
私は、京都からまず名古屋まで新幹線、
名古屋で乗り換えて中央線で長野まで、というコースが常でした。

毎年、谷川さんや私は本番前日に戸隠入りをします。

ある年のこと、
私はぼんやりしてて
楽譜と衣装の入ったカバンを新幹線の網棚に置いたまま下車、
中央線特急に乗ってから気づきました。

(谷川さんは、途中、松本かどこかから乗車され、
たまたま私が座席で眠りこけてるのを見て
荷物が少ないなぁ、と思われたそうです。)

荷物だけが東京へ!!
と、超あわてましたが、
特急の車掌さんが連絡を取ってくれて
その荷物は新幹線の中で無事発見、保護され
東京駅に保管されました。

問題なのは、その荷物のピックアップをどうするか。
(何しろ本番を明日に控えて、私は楽器に慣れるためにも少しでも早く練習をしたいのです。)

長野駅に着いて
世紀の詩人、谷川さんは
こうおっしゃいました。

「僕が取りに行くよ。」

げげっ。

河野美砂子の忘れ物を
谷川俊太郎氏が取りに行く?!
しかも、長野~東京の往復!!!

谷川さんは
とてもなんというかデリケートにこちらの事情や気持ちを察して下さる方で
私がなんとしても練習したい、と思ってるのを察知、
谷川さんの方がそのとき時間に余裕があったので

口笛吹くみたいに気軽に
長野東京往復を
あっほピアニストのためにやってくださったのでした・・・・。

コメント (2)
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当日プログラムノート+コメント 1

2008-03-14 21:56:37 | モーツァルトに会いたい・3
3月10日、皆さんにお渡しした当日のプログラムノートをアップ、
その下にコメントしてみます。

プログラムノート ―――――――――――――― 河野美砂子

 前回までの「モーツァルトに会いたい」シリーズでは、演奏の合間に、その曲の成り立ちやエピソード、あるいは演奏の裏話などをお話していましたが、今回は、谷川俊太郎さんが来てくださいましたので、その朗読やお話をお聞きすることにしたいと思います。曲目に関しては、以下をご覧ください。

 シリーズ第3回目の今回は、「モーツァルト・マニアック」と副題を付けましたとおり、演奏されることの少ない作品を中心にプログラムを組みました。

 最初に演奏します「前奏曲KV284a」は、以前は1778年にパリで書かれた「カプリチォ」と考えられていましたが、その後、手紙の内容や、自筆譜の紙質の科学的な研究などにより、1777年作曲とされるようになりました。姉のナンネルが、弟のモーツァルト宛の手紙の追伸に「c(ハ長調)からb(変ロ長調)進むプレアンブル(前奏曲)を送ってね。」と書いたものがこの曲だろうと推測されています。
 当時の前奏曲には二つの目的がありました。一つは、次の曲への導入。もう一つは、クラヴィア(当時のピアノ)の性能を試す、ということです。鍵盤のタッチの加減、調律の具合、各音域での響きなどを試すのに、こんな曲が弾かれたと想像するだけで楽しいものです。
 曲は、アレグレットから始まり、すぐに、小節線のない(拍子がない)パッセージが延々と続きます。めまぐるしくテンポや曲想が変化し、最後は4/4拍子のカプリチォ。曲は唐突に終わります。よし、この楽器の具合がわかったぞ、とでもいう感じでしょうか。

・・・以下コメントです。

この曲はインパクトがけっこう強かったらしく、
・・つまり、いわゆるモーツァルト的ではない、という意味で・・
お客さんの反応が大きかったです。

特に前半、小節線がない(拍子がない)のを延々と弾くっていうのは
練習時に意外に苦労しました。

バロック的な(拍の最初が重くて、その音から渦を巻くようにリズムが生まれる)リズムの感じ方が身につくと問題ないのですが。

モーツァルトって、やっぱバッハなのね。

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モーツァルトに会いたい3本番 アマデウスへの手紙3-6

2008-03-12 00:50:54 | アマデウスへの手紙
モーツァルトさん、こんにちは。

昨日は、「モーツァルトに会いたい③ モーツァルト・マニアック」の本番でした。

谷川俊太郎さん人気で、超満員。
会場に出ると熱気がすごかったです。

アンケートや頂いたメールなどによると
皆さんたいへん喜んでくださったようです。

約100歳のピアノ・ペトロフは
その時によってずいぶんご機嫌が違うのですが
昨日は
修理直前の、ちょっと危うい感じではありましたが
楽器の良し悪しを越えたあの場の空気感があり
それはそれで「味」になっていたと思っています。

冒頭に弾いた「前奏曲(カプリチォ)K.284a」は
これがモーツァルトさんの曲か、と驚かれた方も。

ロンドイ短調も、やはり印象深かったという方が何人もいらっしゃいました。

私としては、一時は開催も危ぶまれる感じだったので
(母が病気+父が要介護……チケットだけが飛ぶように売れて)、
準備不足のままの演奏会をたいへん心苦しく思っていたのですが、
谷川さんのおかげで
皆さんが喜んで下さったようなので、本当にラッキーでした。

谷川さんとのこの8年のご縁を
今さらながら貴重に思いました。

谷川さんと私との掛け合い漫才を喜ばれた方も多かったみたい。

私が書いたプログラムノートを
またアップしたいと思います。
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明日、たのしみです アマデウスへの手紙 3-5

2008-03-10 00:11:22 | アマデウスへの手紙
モーツァルトさん、こんにちは。

いよいよ明日本番です!

谷川さんとご一緒に
モーツァルトさんの音楽を
存分に楽しみたいと思います。

お客さまもとっても多いみたい。

モーツァルトさんも
ぜひごいっしょに!!


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緊急!-アマデウスへの手紙 3-4

2008-03-07 23:52:57 | アマデウスへの手紙
モーツァルトさん、こんにちは。

今日はヘ長調ソナタについて、
面白い発見(後にベートーヴェンさんがパクった?!)をしたので
楽譜もアップして書くつもりだったのですが、
実は今日、隣りに住む母が体調悪く入院、
とっても書く時間がありません。

また明日にでも。

こういう、どっちかというとヒサンなときには
イ短調ロンドが、とても沁みます。

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ポリフォニックなK.533 アマデウスへの手紙3-3a

2008-03-05 00:11:44 | アマデウスへの手紙
モーツァルトさん、こんにちは。

昨日の続きです。

私がK.533のヘ長調ソナタ第1楽章を弾きながら思い出す曲は…
というお話。

アップした楽譜、
おわかりですよね。

バッハのフランス組曲第4番変ホ長調のサラバンド。

実はわたし
ついこのあいだ2月21日に
大阪での小リサイタル「シェーンベルクを中心に」で弾いたばっかり。

アップした楽譜は
サラバンドの後半、17小節目からですが、

この17小節目は
主役(メロディ)は、3声のうちのテノール。
次の18小節目は主役交代して、ソプラノが。
19小節目はまたテノール……と
次々とメロディ(主役)を奏するパートが交代します。

……一つの日記に複数の画像をアップできないみたいなので、
この日記はここでおわり、
続きはこの下(アマデウスへの手紙3-3b)をお読みください。

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ポリフォニックなK.533 アマデウスへの手紙3-3b

2008-03-05 00:05:04 | アマデウスへの手紙
上の日記(アマデウスへの手紙3-3a)の続きです。

ここにアップしたモーツァルトさんのソナタも
その、主役のパートが次々交代する、という点
同じですね。

この楽譜は
第1楽章再現部153小節目からですが、
153小節目と155小節目の前半まではバスが主役(メロディ)、
155小節目の後半から157小節目の前半まではソプラノが主役、
157小節目の後半からはまたバスが主役……と
これもまた次々に主役が交代します。

アップした楽譜の箇所だけでなく
この第1楽章は
ほとんど全体がこのような作りになっています。

それが、とってもたのしい。

バッハ(バロック音楽)とは異なった音楽で
ポリフォニーがこんなに自然に
しかもすごく高度(上等という意味)に使われているからこそ
この曲の、なんというか
「魅力」の影に
かくれた「作品の力」があるんでしょうね。
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ひらく和音・K.533 アマデウスへの手紙3-2

2008-03-03 01:36:51 | アマデウスへの手紙
モーツァルトさん、こんにちは。

昨日書いた
K.533ヘ長調ソナタ第1楽章の和音について
もうちょっと書きます。

この #ファラドミ は、ハ長調の5度上のⅤ(ドッペルドミナント)だと
昨日は書いたけど、
実はそういう、突然の和音の発見ではなく、
モーツァルトさんはこの和音を
横の線の流れ(ポリフォニー)で
生み出したのですよね。

この #ファラドミ の一つ前の和音は ソドミ ですから

ミ → ミ
ド → ド
ソ → ラ
ソ → #ファ

というわけですね。

テノールの「ミ」はそのままキープ。
バリトンの「ド」も同じく。
バスの「ソ」は、二手に分かれた。
ソ→ラ という、長2度上昇と
ソ→#ファ という、短2度下降に。

特に、バスの「ソ→#ファ」という半音階が眼目ですね。

今日またこの部分を弾いていて
#ファラドミ を弾いたとき

なんとなく花びらを柔らかくほぐす感じ、
「啓(ひら)く」、あるいは「剖(ひら)く」
というような
ややエロティックな感覚を持ちました。

一つの「ソ」が
「ラ」と「#ファ」の二つに開くんですね。

モーツァルトさんは晩年
大バッハの作品を数多く知ったこともあり
ポリフォニック(対位法的)な作品をたくさん書かれました。

このヘ長調ソナタは特にそれが目立つみたいですね。

この第1楽章を練習しながら
私がしきりに思い出すのは
どんな曲だと思います?

つづきは、明日のお楽しみ。♪


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アマデウスへの手紙 3-1

2008-03-02 02:24:42 | アマデウスへの手紙
モーツァルトさん、こんにちは。
ほぼ8ヶ月ぶりにお手紙書きます。

去年6月と7月の「モーツァルトに会いたい②」で
ピアノトリオ3曲と4手のためのピアノ曲について
いろいろと書きましたが、
今回は「モーツァルトマニアック」と題して
ちょっとモーツァルトさんのマイナーな作品を弾きます。

その中で一番の大曲は
最後に弾く「ソナタ K.533+K.494 へ長調」ですが、
実はわたし
この曲を弾くのは今回が初めてなのです。

ウィーン時代のソナタの中で
なぜかこのヘ長調ソナタは
耳にする機会がとても少ないと思うのですが
なぜでしょうね?

私も、以前から何度か譜読みをしかけては
なんとなく弾かなかったのですが、
今回ちゃんと弾いてみて
ほんとーにびっくりしました。

なんでこんないい曲なの?!

現時点で、私は他のどのソナタより
このヘ長調ソナタを一番愛します!!

有名な、最後のニ長調ソナタよりも
あるいは、
私の愛奏していたK.333 変ロ長調ソナタよりも!

こないだから譜読みしつつ弾いていて
思わずトリハダ立つこと何回も。

ずっとむかし
モーツァルトさんのイ長調コンチェルトK.488をやっぱり譜読みしていて
ほんとの涙が出たことあったけど(譜読みして落涙した唯一の経験デス)、
その意味はたぶん
「…なんでこんないい曲なの?」という一種の感動だったのに対して

今回のトリハダは
もっと体感的なもの…かな?

具体例を挙げます。

第1楽章83小節目から84小節目にかけて。

この、ハ長調Ⅰの四六の和音の次に来る
#ファラドミ の和音!

これはドッペルドミナントの9の和音の根音(D)抜き?

理屈はともかく
もうこの和音を弾くたんびに
私は
ぞぞぞっっっっ……
ってします。

すっごく新鮮!

モーツァルトさん、
ここ、ご自慢だったでしょう?

モーツァルトさんが自分でこの曲弾きながら
ここの箇所に来て
この和音を弾くとき、
にっこりするの
よ~く見えます。

私自身のことで言えば
むずかしいのは
練習時間の加減。

もちろん練習しないとコワイのですが
あんまり練習しすぎて
慣れすぎないように。

この和音を
そのとき初めて弾くみたいに
弾きたいですね。♪
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