河野美砂子の「モーツァルト練習日記」+短歌+京都の日々の暮らし

7/27(土)13時30分 NHK文化センター京都 ショパン「マズルカ」Op.59全曲、「バラード第3番」等

気持ちいいユビ

2006-09-27 00:15:23 | 06年「モーツァルトに会いたい」
なんでか、弾いててユビが気持ちいい。

なんというか、キイの深さがとても柔らかく感じられて、温泉つかってるみたいな気持ちよさって言ったらいいのかしら?
キイは、実際には約1センチ=10ミリ程度しかへっこまないけれど、その1センチが、とても深遠に感じられる。

実は、現代の立派なスタインウェイ(B型ですが)でモーツァルトを弾くのが、音色的に(派手すぎて)だんだんイヤになって来た時もあったけれど、今は、鍵盤のタッチの深さ、ある程度の重さが無限に感じられることの方を、優先したい心境。

フォルテピアノなどの鍵盤は、もっともっと軽いタッチで、軽いタッチというのは、実は、ものすごくコントロールが難しい。
でも、スタインウェイで、たとえば100通りくらいのビミョウなタッチの違いを体得していれば、軽いタッチの鍵盤でもそれを応用できる。

以前、シューベルトのピアノソナタなどで、和音をゆっくり押さえて弾く時に、温泉つかってるみたい、と思ったことあったけど、モーツァルトの速いパッセージでそう感じるのは今回が初めて。

不肖ワタクシの指、このトシになってようやくピアノの鍵盤と和解した?!

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プログラムメモ

2006-09-24 22:53:40 | 06年「モーツァルトに会いたい」
11月7日本番の『モーツァルトに会いたい』― ピアノ曲でたどるモーツァルトの生涯。
今日は、そのプログラムメモを書いた。
以下に転載します。
 
◇◇◇◇

5歳から、死の年35歳までの作品を年を追って弾いてみたい、と考えましたが、ただ音楽史的に「年代を追う」だけでは、演奏会として音楽的には充実しにくいものです。あるいは、音楽的によくできた作品を弾きたい、と並べてみると、時期が重なってしまったり。   

また、モーツァルトは、あらゆるジャンルの作品を残しましたが、時期によっては、オペラやシンフォニーに熱中し、ソロ作品を書いていない年代もあります。

このプログラムを組むのには、けっこう苦労しました。


◇メヌエット K.1、K.2、   アレグロ K.3 (1761年~62年/5歳~6歳)
・記念すべき、ケッヒェル番号1番を持つ愛らしい小品たち。

◇ロンドン音楽帳から K.15hh、K.15ii その他  (8歳~9歳)
・数多く書かれた小品から、異なった特徴の曲を選んで弾きます。

◇モルトアレグロ K.72a ト長調   (14歳)
・有名な肖像画「ヴェローナのモーツァルト」の中で、チェンバロの前に広げられた楽譜がこの曲。楽譜は、現在、断片(35小節)しか残っていません。演奏会当日、ひょっとしたら、曲の続きを私が作曲して弾くかも?

◇アダージォ ヘ短調 ソナタK.280より  (18歳)
・後年の名曲「ピアノコンチェルトK.488イ長調」第2楽章冒頭のメロディとそっくり。とても深い曲です。

◇「私はランドール」の主題による12の変奏曲 K.354 変ホ長調 (22歳)
・たいへん充実した変奏曲。「私はランドール」は、ボーマルシェのオペラ「セヴィリヤの理髪師」の中のロマンス。あまり有名ではない変奏曲ですが、何年か前、モーツァルトの変奏曲を探している時に楽譜を読んでみて、よくできている曲にびっくりしました。後で知ったことですが、モーツァルト自身もこの曲を気に入っていて、何度も人前で演奏したそうです。

ただ、各変奏曲自体は非常に充実しているのですが、構成にほんの少し疑問あり……、と思って練習していたところ、現在私が使用している楽譜(ヘンレ原典版、ウィーン原典版)以外に、変奏曲の順序が異なった版もあるとこのこと。本番までに、曲の順序を試行錯誤することになりそう。

◇ソナタK.310イ短調  (22歳)
・言わずと知れた、モーツァルトピアノソナタの白眉。今回のプログラムは作曲年代順に演奏するのが基本ですが、この曲だけは、トリに。

◇ソナタK.330ハ長調  (27歳)
・「かつてモーツァルトが書いた最も愛らしいものの一つである。」(アルフレート・アインシュタイン)

◇ロンドK.485ニ長調  (30歳)
・個人的なことになりますが、私が幼いころ、生まれて初めて弾いたモーツァルトの作品。

◇アダージォK.540ロ短調  (32歳)
・モーツァルトの数多い作品のなかで、唯一のロ短調の曲。

◇アイネクライネジーグ(小ジーグ)K.574ト長調  (33歳)
・モーツァルトが、ライプツィヒのトーマス教会(バッハが長年勤めていた教会)を訪れた際に書かれた、ポリフォニックな小品。半音進行など、弾いていてぞくぞくします。

◇メヌエットK.355ニ長調  (33歳)
・上記の「アイネクライネジーグ」と、今回はペアで弾きます。トリオなしの小曲。小曲なのに、大胆な響きに魅せられます。
最後の何小節かが書かれていない未完の曲で、シュタートラーが補筆。でも、弾いてみると、そこに若干の違和感が。できれば、別ヴァージョンを私自身が作りたいのですが?

◇アンダンテ(自動オルガンのための)K.616ヘ長調  (1791年/35歳)  
・鍵盤楽器のための曲としては、最後となる作品。ケッヒェル番号が626(「レクイエム」)までしかないのを思うと、感慨をおぼえます。
「妖精のような童話のお姫さまのダンスに伴奏する音楽」(アインシュタイン)

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イ短調ソナタ K.310 第3楽章

2006-09-24 02:43:34 | 06年「モーツァルトに会いたい」
このソナタは10年以上前にリサイタルで弾いたけど、やはり今回、以前とは違ったことに目がいく。

フィナーレ。
これは、プレスト(モーツァルトでは珍しい)。
そして、冒頭、4声(ポリフォニー)なのですね。

sop. ドー ー シ| ラー ー#ソ | ラー ーシ | レド シー
alto ラ ー ー#ソ| ミー ー ー | ミー ーー | ラ ー #ソー

ten. ・ ラ ミ レ | ・ ラ ド シ | ・ ラ ド#ソ | ・ ラ ミミ
bas. ・ ラ ー ー | ・ ラ ー ー |・ ラ ー ー | ・ ラ ーー

この、たとえば2小節目、右手の一拍目(左手半拍休み)、ミ と ラ の完全4度音程が、なんとも空ろな、ある意味で厳しい、独特の響き。
3小節目も同じ。
4小節目は、ラ と レ の完全4度。

左手は、必ず強拍が半拍休みの切迫感。
そしてバスがずうっと「ラ」の持続音。

以前に弾いたときも、一応それはアタマではわかってたけど、いわゆるバッハのようなポリフォニーではないから、なかなか4声に感じられなかった。
テンポも速いし。

今日は弾くだけだったけど、明日は、弾きながらすべてのパートを声だして歌いつつ練習するつもり。 ポリフォニーのくんれん。
ポリフォニーを、ポリフォニーのように弾くのは、私は得意だけど、この曲はちょっと異質。

これが、ほんとに4声に聞こえたら新鮮やろうなぁ。
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ヨガとモーツァルト

2006-09-22 23:33:23 | 06年「モーツァルトに会いたい」
久しぶりのヨガ。
今日まで、演奏会雑用(練習以外)のため、ヨガの時間が取れなかった。

サボりながらも10年以上続けていると、それなりに体得するものは多い。

今通っているスタジオはチケット制で、自分の好きな時間に予約できる。
私には都合がいい。
先生も、その都度いろんな人に出会えるのが新鮮。
同じポーズでも、その感覚の説明のしかたが先生によって違うから、いろんな角度で捕らえられる。
今日の先生(若い女性)、身体の内的チカラと、それに支えられたゆっくりした動きがとても美しい。 女の私がほれぼれする。

その先生の説明でゆくりなくも思い出したのは、演奏の、通奏低音的捕らえ方、といったようなこと。
つまり、地についたところがしっかり安定しているからこそ、パワーが満ちて、自由になれる、みたいな。

モーツァルトって、いわゆるロココ調とか、軽快とか、そういうイメージも一般的にはあるけど(私自身は、モーツァルトは劇的と思ってますが)、その、どちらかといえば高音域が活躍する曲において、バス(左手)を、通奏低音と思えばいいのだ、ということ。
そうすると、右手がとっても自由になれる。
今回、それが実践できるので、私はうれしくてしょうがない。

(通奏低音とは、バロック音楽の基本で、バス(低音・チェロなど)がまずあって、その上に、和音がのり、メロディがのるという音楽。メロディがいくら派手でも、バスが影の音楽の支配者、指揮者のような役割。)

な~んや、アッタリマエ、と思う?

でも、ピアニストにとってモーツァルトは、やっぱり幼い頃からの習性もあり、一応右手が主役と思ってしまうのね(何しろ10歳頃からモーツァルトは弾いてるんやから)。

だから、アタマではたとえ左手を通奏低音と思えばいい、とわかってても、なかなか実践がムズカシイ。
たとえば、最近の学生さん(京都市芸大)はみんな本当によく弾けるけど、そういう通奏低音的捕らえ方、というのは、やっぱ若いからできない。

今日は、K.330のハ長調のソナタ(ソ ッ ソーーーーファミミレドシ …)をさらったけど、1楽章なんか、もう右手がはしゃぎまくる。
それを、左手が、右がはしゃぐの知っていながら、冷静にテンポキープしつつ手綱を締めたりゆるめたり……。

う~ん、すばらしい。
この調子。♪

コメント (2)
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