河野美砂子の「モーツァルト練習日記」+短歌+京都の日々の暮らし

11/23(土)13時30分 NHK文化センター京都「マズルカ⑫最終回」Op.67、Op.68全曲 

ベートーヴェン交響曲4と5

2010-11-28 22:15:14 | ベートーヴェン
前回のブログに以下のように書きました。

・・・・・
4番変ロ長調シンフォニーの冒頭、ユニゾンの♭シ――・・・・が伸びているところへ
 ♭ソ――・・♭ミ――・・ファ――・・♭レ――・・・・・

  ↑
これって、何か気づきません?!!!
・・・・・

・・ようやく気づいてくださる方約一名。

そうです、5番ハ短調シンフォニー(「運命」)の冒頭
♪ソソソ♭ミ―――・・・ ♪ファファファレ―――・・・

の、「ソ、ミ、ファ、レ」という音型の予行演習なのです!

これは、偶然似ている、とかそういったものではゼッタイありません。

あの「運命の動機」として有名な「♪ダダダダ―――ン」というリズムが、
「運命」作曲以前にいろいろな曲(たとえば「熱情ソナタ」)で試されている、という話は有名ですが
リズムだけではないのですね。

以下は私個人的な見解ですが、書いておきます。

この「ソ・ミ・ファ・レ」という音型は、たぶん探せば他の曲にもいくつか見つかると思いますが、
元来、下降音型(「ソ→ミ」も「ファ→レ」も3度下降)ですので
どちらかといえば、やさしさや柔らかさといった性格(4度や5度ではないことも重要)を持つ音型です。

だから4番シンフォニーでは、柔らかいとは言えないかもしれないけれど、
神秘的、ミステリアスな雰囲気になりました(ソに♭が付いたことが大きい)。

それを、今度は5番シンフォニーで
なんと、ものすごい「エネルギーの爆発」にしてしまったのです!

「ソ→ミ」「ファ→レ」という、3度の下降音型を使って
あんなエネルギーのテーマを考えつくなんて、
というか、
ベートーヴェンは、従来の音の性格(下降音型や3度は、優しくて柔らかい)を
なんとか別物にしようと悪戦苦闘しているのです。

(モーツァルトはそういう場合、べトちゃんみたいに無理強いしないで
その音の性格を上手に利用してオンガクします。
両者、持って生まれた性格の違いですね。)


この他にもベートーヴェンは「動機(モチーフ=短い音型)」を、
何年も何十年もにわたってさまざまな曲に使う・・・というか
その音型を、ひっぱったり叩いたり、蹴ったりひっくり返したり・・

これでもかこれでもか、というほど使いまくり
それをすべて晩年の作品の中に昇華していく・・・。

たとえば、「大公トリオ」の一つ前の変ホ長調トリオ。
この曲のフィナーレに出てくるモチーフは、「大公」冒頭テーマをひっくり返した形です・・・というか、変ホ長調トリオのモチーフをひっくり返したものが、「大公」のテーマ。

あるいは、
第九交響曲の第2楽章冒頭、「レッレレ・ラッララ」(最初のレ及びラは、後の二つのレ及びラの、オクターブ高い音)の後に
ティンパニが「ファッファファ」(最初のファは、後の2つのファよりオクターブ高い)とやるのは、多くの意味で画期的(内容は略)なのですが、

ベトちゃんは、すでに第8シンフォニーでティンパニに「ファ・ファ」(オクターブ)と何度もやらせて試しているのですね。

私にとって一番身近な例としては、5曲のピアノとチェロのためのソナタ。
身近な例、というより、チェロソナタを弾いていてそういったことを気づき始めたのですが。

4番ハ長調チェロソナタのアレグロ部分に、どうみても不可解な音型が出てくるのですが、
それって、実は3番チェロソナタの冒頭テーマだったのですね。
そう気づいたとき、わらわらと他にもそういった例が見つかってきたのです。

そして、あの5曲は、5曲全部で一つの大きな作品になっている。。。
(ここで詳細を書くことできませんが)

ピアノソナタにしても、似たようなことはたくさんあり。

そういったサブリミナル的なものが、作品の一つのエネルギーというか
作品を長く強く支える、影のチカラになっているのでしょうね。

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ベートーヴェンの周到さ

2010-11-18 22:38:09 | ベートーヴェン
忘れないうちに書いときます。

10月27日のブログ「第九の冒頭」のところに書いた続き。

ベートーヴェンの用意周到さというか、その執念とも言えるこだわりは
たとえばシンフォニーの「冒頭」に関してのみを取り上げても
1曲1曲すべてがそれぞれ異なっていて、一つとして同じものがない、みたいなお話でした(いつも新しいことを実験してる)。

それで・・・気づいたのですが!!

4番変ロ長調シンフォニーの冒頭、ユニゾンの♭シ――・・・・が伸びているところへ
 ♭ソ――・・♭ミ――・・ファ――・・♭レ――・・・・・

  ↑
これって、何か気づきません?!!!


皆さ~ん、気づいてくださいませ!!

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大塚美術館プログラム

2010-11-15 22:32:32 | 全曲演奏付き講演会
今度の日曜日、11月21日の日帰りバスツァー(京都駅~鳴門大塚国際美術館~京都駅)での
N響メンバーによる室内楽の、全プログラムをお知らせします。


・ヴィヴァルディ 〈四季〉より(弦楽四重奏版)「春」第1楽章
・ヴォルフ     イタリアンセレナード
・マルチェロ    オーボエ協奏曲 ニ短調
・モーツァルト   オーボエ四重奏曲
・ハイドン     弦楽四重奏曲「皇帝」

という、盛りだくさんなもの。

メンバーや時間、料金など詳細は、http://music.geocities.jp/misakn95/ へ。

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N響メンバーによる室内楽 in 大塚国際美術館

2010-11-12 18:56:47 | 全曲演奏付き講演会
お知らせです。

引率の先生(?!)やります。
鳴門の大塚国際美術館、一度は行ってみる価値ありです。

昨年はじめて開催された日帰りツアーで、
前回はクラリネット五重奏曲などのプログラムでしたが
今回は、オーボエ四重奏曲(モーツァルト)他。

行きのバス車中で、いろいろとお話します。
お弁当も大好評でした!

・・・・・・
日時 11月21日(日)
行程 JR「京都」駅八条口集合(午前9時出発・車中で弁当の昼食)

大塚国際美術館(鳴門)(午前11時30分ごろ着)

・館内自由行動
・N響メンバーによる室内楽コンサート(午後3時30分集合、4時開演)
  モーツァルト・オーボエ四重奏曲、ヴィヴァルディ「四季」(弦楽四重奏版)より他
・午後6時ごろ美術館出発

JR「京都」駅八条口(午後8時30分ごろ着)
旅行代金 1万5300円(入館料、N響鑑賞料、バス代、昼食代含む)

※昼食は京の名工・花登のオリジナル寿司弁当
 
※京都リビング新聞社スタッフ同行
講師 河野美砂子(ピアニスト)

詳細は、ウェブサイト「紫野通信」をご覧ください。

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舞踏プロジェクト

2010-11-08 18:52:17 | その他・旅行、ものまね、プロレス、など
来週の月曜日11月15日午後2時~2時40分、アトリエ・ワムの前庭を使って
舞踏プロジェクトが開催されます。

・・・といっても、わたしが躍るわけではありません(笑)。

観覧自由、無料です。

企画主体は、”studio いかる”で、
舞踏家・今貂子さんによる身体的な庭園解釈を切り口にして
”私たちにとっての庭”について考えていけたら良いなというもの・・・・だそうです。

今回は、”今貂子と綺羅座”の今さんが、ソロでかつ即興に近い形で
三味線の演奏に乗って踊って下さいます・・・・とのこと。

詳細は、http://music.geocities.jp/misakn95/ まで。

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徳井さん、おみごと!

2010-11-01 00:50:59 | ショパン
見るつもりなかったBSの「ショパン」。

4~5時間くらいの番組(ナマ放送)だったのだけど、
結局、始まって数十分後からあと、全部見てしまった・・・。

その中での一番のは、
芸人(漫才師?)チュートリアル徳井さんのピアノ演奏、「別れの曲」!

ふつう、こういう超初心者が1か月余りで挑戦する場合
ハ長調に移調したもので、しかもとても簡単に(弾きやすく)編曲したものを弾く、というのが一般的ですが、

なんと徳井さん、
ショパンオリジナルのものを弾いた!!

ホ長調・・・つまりシャープが4つ。
しかも、右手は2声または3声。

もちろん、あの有名なメロディの箇所(楽譜1ページ目)だけだが、
あれを楽譜も読めない超初心者が弾くことがどんなに凄いことか
私にはよ~くよ~くわかります。

本人は、モテたい一心だったとか・・・。

いや~、動機がたとえ邪(よこしま)なものであっても
なかなかあそこまでできるものではありません。
この一か月あまり出番前の楽屋でも、電子ピアノを運び込んでひたすら練習+練習、だったみたい。

チュートリアルの漫才は、実は私は
彼らがM1グランプリを取ったとき1度だけしか見たことないけど
その時の徳井さんも、ちょっとフツーじゃないイッちゃってる感じで
とても印象的でしたが。


・・・・
「楽典ことはじめ」の講演会は無事終了しました。

ちなみに、
前の日記に「明日のお楽しみ」と書いたのは、
もちろん「明日の講演会をお楽しみに」ということでした・・・。

次回は、12月9日(木)「メロディと音階のヒミツ」です。
コメント (7)
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