河野美砂子の「モーツァルト練習日記」+短歌+京都の日々の暮らし

7/27(土)13時30分 NHK文化センター京都 ショパン「マズルカ」Op.59全曲、「バラード第3番」等

プログラムノート2・ト短調アレグロ

2008-03-19 22:06:34 | モーツァルトに会いたい・3
3月10日「モーツァルトに会いたい3・モーツァルトマニアック」の
当日プログラムノートの一部を再録します。 

次の「アレグロ ト短調KV312」は、実は、未完の作品で、自筆譜は展開部の途中までで中断、その後、誰だかわからない人の筆跡で書き継がれています。モーツァルト晩年の窮乏生活のなかで、借金のために書くソナタの第1楽章だったと考えられています。
 ピアニストとして私が何よりも興味があるのは、この曲が短調のソナタだということです。モーツァルトの全作品中、短調で書かれたものはたいへん少なく、でもその短調の曲がいずれも名作であることは有名ですが、私自身の実感として、案外、完成されず断片として残っている短調の曲が多い、と言えるような気がします。そういえば、昨年6月の「モーツァルトに会いたい②」での「ピアノトリオ」の回にも、断片の短調のトリオを演奏しました。

・・・以下コメントです。

この曲は、最初は、その「誰だかわからない人の筆跡で書き継がれてい」る所も全部演奏するつもりでした。
が、練習しているうちに、だんだん腹が立ってきて。

弾くのが難しいパッセージでも、音楽的に素晴らしければ何の苦もないのですが
苦労して練習する価値がないようなパッセージを
時間をかけて何度も弾くのは・・・。

結局本番では、モーツァルトさんが書いた部分のみを弾きました。

ホントのこというと
モーツァルトさんが書いた箇所も
テーマなどはなかなかインパクトがあるのですが
その後の展開がもう一歩で
結局途中で投げ出したのも
なんだかよくわかるような・・・。

モーツァルトさんの短調作品は
たとえば
同時代先輩のハイドンと比べても極端に少ないのですが

もともとの資質として
短調体質ではなかった?

だから
時々短調作品を書くのだけど
なかなかうまくいかない。

でもときどき
音楽的必然性から
どっちかといえば苦労して(何しろ短調体質ではないのですから)
短調作品を書き

破棄したり
途中放棄したりしたのも多くありながら

その中の少数作品が
本当に音楽的に深いものになったのではないでしょうか。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 谷川さんんと漫才? | トップ | プログラムノート・「指の練... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

モーツァルトに会いたい・3」カテゴリの最新記事