河野美砂子の「モーツァルト練習日記」+短歌+京都の日々の暮らし

11/23(土)13時30分 NHK文化センター京都「マズルカ⑫最終回」Op.67、Op.68全曲 

ソロモンのショパン

2007-09-09 20:29:31 | ショパン
昨日8日土曜日は
たくさんの買物をしてしまいました。

三条、四条あたりで
CD、楽譜、本(以上3つはすべて複数です)、お財布、ツーピース、シャツブラウス、口紅2本…。

昨日の目玉は
なんといってもこれ↓。

十字屋さんで
「ショパン全作品集」CD30枚が
なんと7000円!!

30枚で7000円ということは、
CD一枚が200円あまり?!

中身もあんまり確かめず買ったのですが、
全作品のほかに
「歴史的演奏」というのが別に何枚も入っていて
フリードマン、プニョ、パハマン、ゴドウスキー、ソロモン、ローゼンタール、ブライロフスキー、コルトー、ラフマニノフ、ホロヴィッツ、リパッティ、その他たくさん。

今日はそのうち4、5人を聞いたのですが、
みんなめっちゃ面白い!

特に、ソロモン、すばらしい!!

ソロモンのベートーヴェンのソナタが素晴らしいと
杉本秀太郎先生が前からおっしゃってたの思い出しました。

このショパンも、
特に、「エチュード」Op.10-9ヘ短調、25-2ヘ短調、25-3ヘ長調の3曲を
組にして演奏しているのと、
それから「子守唄」には
ほんと、まいりました。

昔の録音なので
却って演奏の全体像がつかめるのですが、

ソロモンの音楽を見る視点が
ものすごく高いというか、遠いというか、
神様みたいな所から
音楽を一掴みで捕らえているような。

エチュードOp.10-9のハーモニーの色の推移。
この曲って、こういう曲だったのね。

25-2では、繊細極まりない右手のタッチ。

それをさらに極めたのが「子守唄」で、
もうこの世とは思われない右手の装飾が延々とつづき、

左手は、最初から最後までまったく同じ音型を
寄せては返すおだやかな海辺の波のように
何度もくりかえす。

右手のタッチと左手のタッチが
当たり前ですが
天と地ほど違う。

左手が地上の海辺の波なら

右手は
空中の、
風に乗って運ばれてくるかぐわしい匂い、
光にきらめくこまかな粒子の雨、
次々と形を変える雲、
天上から降ってくる恩寵のような金色の光。

要するにこの曲は
ハーモニーでいえば
Ⅰ(主和音)とⅤ(属和音)の交代のみでできている
タグイ稀な単純な曲なのです。

元来は、
半音階的なハーモニー推移の陰影が身上のショパン。

それが、この曲では
これ以上考えられない単純なハーモニーを敢えて繰り返し
それで1曲を仕上げてしまうのだから
これはすごい。

ショパンの好みの陰影は、
この曲に限ってはハーモニーでなく、
右手のタッチのみで付ける。

その曲のすごさを本当に伝える演奏、
というのが、この
ソロモンの演奏だと思います。
コメント (1)
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