minga日記

minga、東京ミュージックシーンで活動する女サックス吹きの日記

ステロイドと「アンダーグラウンド」

2010年10月12日 | 映画、本、芝居関係
ここ一週間前あたりから体のあちこちにアトピーのような症状がでてきて、かゆくてかゆくて酷い状態になってきた。休み明け今日、ついに大嫌いな病院へ駆け込んだ。アトピーというのは「原因不明」という意味だそうだから、どうせちゃんとした原因もわからないし、薬を処方してもらうだけだが・・・。酵素のお蔭で肌のキメは相変わらず顕微鏡での診断で良くなっているのになあ。こんな酷いのは3年振りくらいか?

痛みは我慢できてもかゆみって本当に我慢できなくてつらい。ステロイドでも何でもいいからこのかゆみとブツブツを止めて~~~!!!という感じだ。人に会うのも本当は嫌なくらいなのに、ライブがあったりして・・・とほほ(涙)。幸い演奏には支障はなかったけれども。早く治ってくれないかしらん。

閑話休題。

村上春樹「アンダーグラウンド」をようやく読了。何故今頃?と言われそうだけどたまたま図書館で手に取ってみただけの理由です。この時期になるとノーベル文学賞の候補にあがる村上氏だからかなあ?

それにしても分厚い1冊で、読むのが早いだけが取り柄の私でも1週間くらいかかりました。あの地下鉄サリン事件の1年半後に春樹氏が被害者に直接インタビューを行って書き下ろしたものなので結構読んでいてつらくなる箇所も多かった。事実は小説より奇なり。苦労してインタビューを行い、インタビュイー(被害者の人たち)を好きになろうと努力しながら、淡々と彼らの話を書き下ろして行く春樹氏の文章が・・・・あな恐ろしや。

被害者たちは怒りを覚える人よりも「事件の犯人の事は何とも思っていません、ただただこれからの事を考えています。」という人たちの多かった事に驚いた。「ただ、公の機関はあてにならない事。TVの報道のいい加減さにはびっくりしました。本当に私が言いたかった事は伝えてはくれませんでした。」

もちろん中には「麻原を死刑に一刻も早くしてほしい。被害者たちがサリンの入った水鉄砲で麻原にかけてやりたい。」という怒りを表す人もいたが。被害にあわれた人たちはそれでも一所懸命に社会の中で前向きに生きている。支えてくれる家族と共に。

ちょうどあの事件の日は私も西荻の友人の家に朝から遊びに行っていたのでよく覚えている。テレビで大騒ぎしていて何かしら?と友人とお茶を飲みながら話していたし、友人のご主人は大丈夫?なんて電話かけていたから。荻窪~池袋間もサリンの被害にあっていたのだから、もし私が車で出かけていなかったら・・・と思うと本当にぞっとする事件だった。ま、ミュージシャンはあんなラッシュアワーに地下鉄に乗る事はほとんどありませんが。

オウムに入信していく人たちと自分たちは全く違う人種だと思っているけど、いつあちら側の人間になるやも知れない、という恐ろしい可能性を指摘する村上氏。重くてつらく深く深く考えさせられる本だった。やはりこの事件を風化させてはいけない・・・。

ドキュメントとかノンフィクションについつい惹かれる私だが、今度はもっと明るく楽しい「ベンダビリリ」の映画を観に行こうと思っております。