実務家弁護士の法解釈のギモン

弁護士としての立場から法解釈のギモン,その他もろもろのことを書いていきます

会社法改正案-差止請求(1)

2014-02-07 13:28:50 | 会社法
 今回の会社法の改正案では、株主による差止請求が認められる場面が増えることになる。

 現行会社法で株主からの差止請求が認められている場面は、募集株式発行差止請求、新株予約権発行差止請求、取締役の違法行為差止請求、それから、略式組織再編差止請求などがある。
 これに対し、今回の会社法の改正案では、全部取得条項付種類株式の取得の差止請求、新たにできる仕組みである特別支配株主による株式等売渡請求に基づく株式等の取得の差止請求、それから株式併合差止請求が認められるようになり、さらに組織再編の場面では略式組織再編のみならず、簡易組織再編の場合を除き一般的に組織再編差止請求が認められるようになる。

サムライ債(5)

2014-02-04 10:02:17 | その他の法律
 結局のところ、サムライ債のデフォルトが現実に起きて訴訟沙汰となっており、その処理がうまくできていないという実体がある以上、「債券」発行に関する根拠法となる規定を制定すべきではないだろうか。しかも、今後起こりうる問題点は、債券管理会社の訴訟遂行権限だけの問題ではないかもしれない。その上で、公衆に対して起債する場合は債券管理会社の設置を認め、その会社に訴訟遂行権限を認めればよいのである。会社法上の社債の規定はその特則と位置づければいい。
 日本は制定法主義の国であるから、時によって法の欠缺は重大な問題を引き起こす。ソブリン・サムライ債の事案はまさにそういう事案としか思えない。

 金融庁あたりが立法化に向けて動かないだろうか。