実務家弁護士の法解釈のギモン

弁護士としての立場から法解釈のギモン,その他もろもろのことを書いていきます

会社法改正法案-監査等委員会設置会社(2)

2013-12-09 09:55:50 | 会社法
 監査役会設置会社とどこが違っているかというと、まず第1点として、監査等委員会の委員は取締役の一人であって監査役ではないということ、従って、監査等委員会の委員は取締役会で他の取締役と同等の権限を有している、という点がある。この点は、監査役会設置会社と大きく違う点で、監査等委員会が旧委員会設置会社の監査委員会に似た仕組みであり、この点では委員会設置会社に似ていると言える。
 
 しかし、監査等委員たる取締役の選任は、他の取締役とは区別して選任することになっている。そのため、監査等委員の選任の実体は株主総会の専権事項といってしまって差し支えない。
 この点で、委員会設置会社の委員は、法律上は取締役会で選定することとなっていることとは大きく異なっていて、監査等委員の選任は、むしろ監査役を選任するのと、大差ない選任方法と言えそうな気がするのである。そして、監査等委員は3名以上で組織され、過半数を社外取締役としなければならないが、監査役会設置会社の監査役も、半数以上を社外監査役としなければならないという仕組みとほとんど変わらないのである。

会社法改正法案-監査等委員会設置会社(1)

2013-12-05 10:45:43 | 会社法
 会社法改正法案が正式に決まったところで、いくつか私なりのコメントを。

 まず、改正要綱案で「監査・監督委員会設置会社」と言っていた仕組みが、「監査等委員会設置会社」という名称になった。そして、これに伴って、従前、「委員会設置会社」と言っていた仕組みについて、その名称が「指名委員会等設置会社」と変わった。改正法案で設置される「監査等委員会」も委員会の一つなので、従前の「委員会設置会社」という名称のままでは、混乱が生じる恐れがあるからであろう。名称変更の趣旨は分かるのだが、「委員会設置会社」という呼び方は、既に定着しており、基本的な仕組みの名称だったので、これを今さら変更するのは、混乱が生じないだろうか。気になる点である。

 そして、問題の「監査等委員会設置会社」であるが、このブログでも要綱案の段階で多少コメントをし、そのときは監査役会設置会社と委員会設置会社を足して2で割ったような仕組みのようだと言ったが、実際に法案化された内容を見てみると、むしろ、監査役会設置会社とあまり代わり映えがしない仕組みになっているような気がする。監査役会設置会社と違っているところを探す方が早そうなのである。

会社法改正法案

2013-12-02 13:17:58 | 時事
 会社法の改正法案が、法務省のホームページで見ることができるようになった。

 法案そのものが附則を入れると150ページもあり、新旧条文対照表は200ページを超えている。思っている以上に膨大な改正というイメージである。改正要綱案はざっと目を通したつもりではあるが、それでも改正法案を把握するにはそれなりの時間がかかりそうである。