実務家弁護士の法解釈のギモン

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会社法改正法案-監査等委員会設置会社(3)

2013-12-11 16:49:01 | 会社法
 相違点の第2として、取締役の任期がある。監査等委員会設置会社の取締役の任期は基本的に1年とされ、ただ監査等委員会の委員たる取締役は2年とされるようである。この点は、取締役の任期が2年、監査役の任期が4年とされている監査役会設置会社とは異なり、取締役の任期が1年とされる「指名委員会等設置会社」(すなわち、現名称「委員会設置会社」)に近い。
 そのため、「指名委員会等設置会社」と同様、剰余金の配当等を取締役会限りで行う旨を定款で定めることを認めた会社法459条1項が当然に適用できるという効果が生じる。
 ただ、監査等委員会設置会社や「指名委員会等設置会社」でなくても、取締役の任期を任意1年と縮めることは可能である。そのため、監査役会設置会社で459条の適用を考える場合でも、取締役の任期を1年に縮めるか否かという当該会社の選択次第といいうるのである。

 第3の相違点として、取締役の過半数が社外取締役であることを条件として、一定の重要な業務執行の決定を取締役に委任することができるようになるという点がある。この点は、重要な業務執行の決定を執行役に委任できるとする「指名委員会等設置会社」と同じような規律となる。
 しかし、この点はあくまでも全取締役の過半数が社外取締役とした場合であって、単に「監査等委員会設置会社」であればよいというものではない。少なくとも取締役の数が多い会社では、その過半数を社外取締役とすることはかなりの難題なので、上場会社を想定すると、実際上あまり機能しない規律のような気がする。