実務家弁護士の法解釈のギモン

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一般社団,一般財団法人法 - 社員・社員総会(1)

2009-11-27 16:43:34 | 一般法人
 社員・社員総会(1)

 一般社団法人の社員の規定については、やはり株式会社における株主に関する規定との比較が重要である。もっとも、当然ではあるが、株式会社法においては、直接「株主」を規律するのではなく、「株式」という権利の規律を行っているが、一般社団法人に関しては、一応直接「社員」を規律しているという建前になっているといえる。が、社員名簿など、類似の制度は会社法と非常によく似た規定となっている。
 株主との比較で権利内容の違いをいうと、まず、社員は、定款の定めるところにより、経費支払義務を負うが(27条)、原則として退社の自由がある(任意退社・28条)。また、法定退社事由も明確化された(29条)。法定退社のうちの除名については、社員総会の特別決議による(30条、49条2項1号)。従前の社団法人においては、社員の資格の得喪に関しては、一切定款の記載に任されていたが(旧民法37条6号)、新法は上記の範囲で明確化した。
 しかし、その他の社員の資格の得喪に関する規定は定款の必要的記載事項である(11条1項5号)。従って,設立後の入社の方法などは,全て定款に記載されることになる。
 また、この社員の規定は、株主となった段階ではもはや何らの義務も負わず、基本的に退社が認められていない株式会社とは大きく異なり、むしろ持分会社(合名会社、合資会社、合同会社のこと)の社員の規定に近いと言えようか。

 他方で、社員名簿の設置を義務づけ(31条)、社員による閲覧・謄写を可能とし(32条)、一般社団法人から社員に対する通知・催告は、この社員名簿記載の住所においてなせば免責され(33条)、この通知・催告が5年以上到達しなければ、もはや通知・催告は不必要となる(34条)。以上の効果は、株式会社における株主名簿と同様であり、一般社団法人による社員管理を株式会社の株主管理にあわせて簡便にしたものといえよう。

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